日露戦争編 序章1-2
突然だが、ナイチンゲール女史をご存知だろうか?名前だけ知っている方もいるかもしれない。彼女について詳しく理解するには、十九世紀中葉に勃発したクリミア戦争を深く掘り下げる必要がある。
事の発端は、ロシア帝国が汎スラブ主義を提唱したことが始まりである。スラヴ民族とは何か?これもまた非常に難しい。
六世紀頃から続いたスラヴ民族大移動によって、散らばった諸部族達は、主に三つのグループのまとまりで定住し、やがて定着していった。その三つのグループはそれぞれ、西スラブ、南スラブ、東スラブと分類される。
東については、周知の通り最大の勢力を誇るロシアとベラルーシ、ウクライナとの三つの民族で構成されている。
次は西スラブを見ていきたい。全スラブ民族のなかで最も西へと進出したグループだ。東ローマ帝国を破り、ゲルマン諸部族達と対峙した彼らは、しばらくの破壊活動を続けた後、中欧地域に定着していった。
ここで注目すべき出来事があった。キリスト教の改宗である。
西から西へと進出したスラブ人達は、ゲルマン人が信仰するカトリックに邂逅を果たし、カトリックへと改宗する部族が増え、現在の西スラブ人のほとんどが、カトリックを信仰している。
ここで汎スラブ主義を提唱したロシア帝国はどうか?彼ら東スラブ人の大半はギリシア正教を信仰している。
既に気付いた方もいるだろう。東西スラブは互いに、異宗派であることを……
実際、歴史上において、東西スラブが実質的な対等関係になったのは、ソビエト連邦を中心としたワルシャワ条約機構と
斜陽の軍国 紅林ミクモ @kurebayashimikumo
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