第8話 セガの誤算の連続その2

 海外で覇権を獲れた経験から次の次世代ハードでは任天堂を出し抜くため、長い間セガは計画していた。当時、業務用2D基盤最高峰であるラッドモービルが完全移植できるハードを出せば、性能面では任天堂に一泡吹かせられると思っていた。


 最高峰と言われた2Dハードの行き着く先である。当時のセガはこのハードを利用してカプコンなど自社に強い開発力がないゲームメーカーにこのハードの権利を売り、安価な価格で最高性能を実現する計画だった。


 ハードの名前も決まっておりSTVと言う基盤名であったり、これで長きに渡るアーケードハードウェア対決さえも終わるとさえ思っていた。


 これがうまく行っていたらセガはもっと大きな成功を手にしていたと思う。ソニーのところでも話したけれども、ここに誤算があった。


 セガの体感ゲーム基盤の開発は昔から最高スペックにて実現してきた。これは当時としては家庭用に出るにしても、その性能差は無視できると考えていた。セガでさえ3Dゲーム機の家庭用への実現はまだ先と考えていた。


 その理由は、自社の3Dハードも米軍の民間利用品であり、簡単にこのクオリティのハードを家庭用向けに開発できると思ってなかったのだ。


 ここに大きな誤算を招いてしまう。自社の開発したバーチャファイターにより、ソニーの新ハードへと注目を集めてしまったのだ。


 まあ、でもこれはセガとしても予想外のことだった。あの当時のタイミングで、3D特化したハードを開発するとは誰も思ってなかったのだ。


 そのくらいまだ、新しい技術が出てすぐだったのだ。


 セガはソニーのゲーム機が3D専用機になると知り、しかもそれがかなりの人気になっていると知った時に自社の新ハードをマルチコアCPUへと変更させる。


 どういうことかと言うとシングルCPUだと3D演算する余裕がないのだ。でも、マルチだと一台をGPU的に使うことができるようになる。


 ただ、このことが大きな逆鞘を生むことになった。そもそも2Dのハードではないプレイステーションと違い、サターンは背景画面を複数持ち、スプライトも大量に生成できる。ポリゴンを無理やり、スプライトに落とし込むなんて言う力技をしなくても、凄い2Dゲームが作れるハードだが、3Dメインの世の中になってしまえば、不必要なスペックになってしまう。


 結果的にシンプルなハードであるプレイステーションに比べるとかなりコスト高なハードになってしまい、そのことでかなり苦しむことになってしまった。


 また、サターンはGPUを持たないため、開発機材が揃うまで、かなり多くのメーカーが苦労した。バーチャファイター2を作ってからは、その開発データを他社に広めることにより、昔ほどは開発に苦労しなくなったが、セガサターンはプレイステーションと異なり、二つのCPUだけでなく、スプライトや複数の背景機能なども利用することで、やっとプレイステーションと同等レベルのゲームが作れるようになる。


 もともと2Dのハードのため、簡単ではないのだ。このおかげでサターンはプレイステーションほどは3D性能は高くないと言う話が一人歩きして、3Dのプレイステーションに比べるとイマイチという話が広まってしまい、苦しむようになる。


 結果的にスクウェアが参入して勝負あった。この後悔が次のハード開発を決めるが、このお話はまだということで。

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