第3話 佐和鳶一縷(さわとびいちる)
これでもか!と言うくらいに容赦無かった。
今更気付いても、「遅いか・・・。」トレパンのポケットに両手を突っ込み肩をすぼめて踵を返した。眼を瞑っていた
僕の心のナオを断ち切らなければ・・・。今でも繋がっている感覚はあった。
トボトボと歩く。
空は青く快晴ダケド、胸中は放射冷却だった。
直美からのフェーン現象が冷気になって吹き曝し凍えそうな心の襞に直美の陰がチラつき、反省点を打ち消していた。
銀杏並木のいちょう葉が足底に絡まり、今まで聴こえなかった直美の愚痴の様に一枚一枚、寂しいと言っては剥がれて圧着し、悲しいと言っては剥がれて圧着していた。
丸まった背中が寒かった。
俗に言う肩甲骨が離れていたからだったが、半日前のイチルは違っていた。
生き生きとして、理学療法士としての職責を果たしていた。
「外旋の癖を直しましょう。八束さん?
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