第7話 孤独と孤立?

 妹を訊ねて、妹の友達が遊びに来たという話は前述の通りであるが、母屋にいない時は納屋を探すのが恒例であり、誰も他に家にはいなかったこともあって、姉の聡美にことわりを入れて友達が納屋に向かったというところまでは話していた。

 納屋の中は、別の居住空間ができていて、さおりはそこで過ごすのが好きだったようだ。

 なぜなら、納屋には新旧のどちらも味わうことができるようになっていて、その感覚を一番分かっていないのが、母親だった。

 家族のほとんどは、自由が好きで、心に余裕を持っているのだが、どこか遊び心が潜んでいるとことに共感するからであって、母親だけが、そんな環境に馴染めなかった。

 いかにも真面目な人で、自分の中で持っているカチッとした感覚に少しでも逆らうということは誰よりも自分が許せないことであり、

「私は、よほどのことがなければ、納屋で過ごすことなどないわ」

 と言っていた。

 そのよほどのことというと、街の中で何かお祝い事や祭りごとなどがあった時、この納屋を貸し出すことが結構あった。

 貸し出すことに関しては父が寛大で、

「どうぞ、家を使ってください」

 と、使用料を取ることもなかった。

「街の行政に参加するのは、義務のようなものですからね」

 と笑っていたが、母親はそんな父親の自由奔放が嫌いだった。

 むしろ憎んでいたと言ってもいいかも知れない。

 父親の自由奔放さは、真面目でカチッとしたことでないと我慢できない自分に対しての皮肉であり、挑戦だと思っている母親にとっては、これほど憎らしいことはない。ある意味、自分が自分であることの意義を、家族を仮想敵とみなすことで、自分の正当性を自分で納得することに掛けているようなところがあった。

 家族の中で、一人浮いているのが母親だった。

 しかし、これもバランスという意味でいえば、母がいることは大切なことだった。

 もし、母がいなければ、自由奔放ばかりになり、歯止めが利かなくなっていたことだろう。

 ただ、逆に母親がいなければ、家族の誰か一人が母親のようになっていたかも知れないとも思う。

 そしてその第一候補は、他ならぬ自分、聡美ではなかったかと最近になって思い始めた。

 その理由として、

「自分が母親を敵対視するのは、反発するところがほとんどなのだが、どこか似たところがあり、それを自分で認めたくないから、母親に対して反発するという、スパイラルになっているのではないか?」

 と考えるからで、

「似た者同士が反発しあう」

 という理屈も成り立つのではないだろうか。

 それは母親も分かっていることではないかと思うのだが。だからこそ、ムカつくのかも知れない。

 ということは、自分と同じくらいの怒りを母親は自分に持っているということであろう。ただ、程度は同じであっても、派生してくる場所はまったく違っている。育った環境も、年齢もまったく違っているのだから、それは当たり前のことで、娘が不利なのは、母親のように、相手の年齢の頃を知らないというのが不利といえるだろうが、この不利なことが、一番大きな問題を孕んでいるのではないかと思っている。

 母娘の確執、そして、父息子の確執はどこにだってあることだ。同性だから分かることもあるのだろう。

 分からないことが苛立ちに結び付くこともあれば、分かっていることが苛立ちに結び付くこともある。元は同じなのかも知れないが。一体どのように解釈すればいいのか、分かりそうで分からない。寸でのところで分からなくなるというのは、最初から分かっていないのを同じだ。

 むしろ、ひどいことなのかも知れない。

 妹の友達は最初に、妹が普段使っている部屋に行ってみたが、そこには妹はいなかった。そして、妹が使っている勉強部屋に入ったその時、友達は完全に身体が硬直してしまったようである。

「あっ、うわぁ」

 と、何か声に出そうとしたのは、誰かにこの場面を知らせて、自分と同じ恐怖を味合わせたいという思いがあったからだが、次の瞬間に、いきなり他の人を呼ぶのは恐ろしいと思った。

 それは、人に知られることで自分の立場が悪くなるという考えがあったからではない。単純に、同じ場面を見せて、自分と違った考えをする人がいるとすれば、それが怖かったのだ。

 だから声を出しかけたが、寸でのところで思いとどまった。そして、精神的に落ち着いてから、

「声を出さなくてよかった」

 と思ったのだ。

 声が出たのは、単純に想定外のことが目の前で起こり、どうしたらいいのか困り果ててしまったことが原因である。

 目の前には、向こうを向いて俯せになって倒れている人がいた。腕を前に出しているのは倒れた時に、無意識に顔を打たないようにしたからなのか、たいていの場合俯せで倒れている時、腕が前になっているのだが、この人も類に漏れずであった。

 胸のあたりから、夥しい黒く淀んだ液体がこぼれ出ているのが分かった。それが血だということが分かるまでにそんなに時間はかからなかった。

 それよりも、血が流れているのがすでに乾いていることから、もうすでにその人は生きていないだろうということは容易に想像がついた。いつからその場所にあったのか、倒れているというよりも、転がっていると言った方が正解ではないだろうか。

 友達は、その顔を覗き込んだ。完全に横を向いて、左の顔を地面につけて、右を向いた格好になっていた。目は開きっぱなしになっていて、土色の顔に、歯が剥き出し状態で、虚空を見つめるその目が、断末魔の形相を呈しているのが感じられた。

 断末魔の表情が激しすぎて、最初はそれが誰だか分からなかったが、さおりではなかった。もう少し老けた女性であり、よく見ると、母親であることが分かった。

 腰を抜かしてしまっていたが、身体が動くようになると、精神的にも安心してきたのか、自分が何をしなければいけないのか、分かってきた気がしてきた。

 すぐに母屋に戻り、聡美を現場に連れてきた。友達が明らかに慌てているのが分かり、

「何を訊いても、まともには答えてくれそうにもない。とんでもないことが起こっているのだろうが、下手に訊きただすよりも、自分の目で確かめた方がいい」

 と思った聡美は、彼女の案内にともなって、現場にやってくると、お約束のように、固まってしまった。

「どうしたの? これ」

 と、それまで何も聞かずにここまできた聡美だったが、さすがに事情を訊かないわけにはいかなかった。

「ここに来てみれば、この状態だったんです」

 というのが精いっぱいのようで、恐怖がそのうちに気持ち悪さに変わってきたようで、早くその場から離れたいという様子の友達だった。

「とりあえず、警察に連絡ね」

 と言って、聡美が警察に連絡すると、

「すぐに来るので、現場をそのままにしておいてほしいって言われたわ」

 と言ったが、それくらいのことは分かっていると思った聡美は、意外と自分が落ち着いているかのように感じられた。

 だが、聡美には一つだけ気になっていることがあった。そこに死んでいるのが母親であることは聡美にもすぐに分かったが、一番気になっていることは別にあったので、それを友達に聞いてみた。

「ねえ、肝心のさおりは見つかったの?」

 と聞くと、

「いいえ、彼女のいつもいる部屋と、この勉強部屋に来てみただけなので、よく分かりません。死体を発見しただけで精いっぱいだったんですよ」

 というではないか、

 まあ、もっともそれも無理もないことである。

 女子高生がいきなり一人で死体を見つけてしまったのだから、当分の間、トラウマとなり、夢に出てくるくらいのレベルのものである。

 聡美は、死体はこのままにしておかなければならないということは分かっていたが、妹を一刻も早く探す必要があるとも考えた。しかし、警察に通報してしまい、警察から現場の保存を言いつかった以上。下手に動くことは、自分たちの立場を危うくするという意味でもしてはいけないことだった。

 だが、聡美の一番の危惧は、

「妹が、事件に巻き込まれたか何かで、瀕死の重傷を負っていたとすれば、ぼやぼやもしていられない」

 ということであった。

 さらに、聡美はもう一つ恐ろしいことを考えていた。

「さおりがどういう理由だったかはハッキリとしないが、言い争いになってしまったことから、物の弾みで母親を刺してしまったさおりは、罪の意識からか、密かにどこかで自殺を企てているかも知れない。この近くにいるかも知れないし、どこかに逃亡したとも考えられる。何と言っても、見当たらないのが気になるところだ」

 と感じたのだ。

 少なくとも、姿が見えないということは、どんな形にせよ、事件に関わっていることは間違いないように思えたのだった。

 今までで母親と妹の確執をほとんど感じたことがなかっただけにショックではあったが、この事件がなければ、そろそろ忘れていくところであったことを思い出した。

 それが前述の、

「母親とは血がつながっていないのではないか?」

 という疑念をさおりが感じているということであった。

 本当なら、聡美が感じてもいいはずのことを妹が感じているというのは、聡美にとって、ある意味ショックだった。なぜなら、妹と母親が親子ではないかも知れないと感じた時、「自分が母親と性格が似ているかも知れない」

 などという考えたくもない思いに至らしめて、しかも、その思いが次第に信憑性を高めてきているようで、忌々しかった。

 けがをして輸血の時のことだという話なので、どこまで本当のことなのか分からないが、さおりは完全に信じていたようである。ただ、それも、一度だけ、

「ちょっと悩み事を訊いてもらった」

 という程度で、それ以降、その悩みについて話をすることはなかった。

 だから、さおりの中で、まだ、疑念が渦巻いているのか、疑惑ではあるが、もう気にしなくなったのか、そのあたりが分からなかった。

 ただ、もう聡美の中で、

「過去のこと」

 として忘れてしまいそうになっているということは、それほど、前に一度だけ、話題にしただけのことで、聡美が感じているほど、当の本人である。さおりは気にしていたわけではないのではないかと思うのだった。

 警察が来るまでの数十分間、聡美はさおりの友達と、不気味な部屋で二人きりでいなければいけないことが心細かった。

 聡美に至っては、

「これなら一人の方が、そこまで怖いとは思わない」

 と考えるほど、人と一緒にいることが、却って自分を臆病にさせるのだと思ったのだ。

 割り切れずに余りが出たのだが、その余りは、割った部分を通り越して大きな存在になっていることに気づいていないかのようだった。

 聡美にとって、時として、寂しさと孤立は、反比例するものだった。普通の人は、孤立することで寂しさが生まれるのだが、聡美にとって、孤立は最初にありきであり、寂しさは、孤立が減算法で削れていく分から生まれるもののようだった。

 そういう意味で、元々寂しさと孤立は一緒になっているものであって。どちらかが分裂して、小さくなることで、片方が大きくなるという意味の反比例という考え方であった。

 だから、聡美に孤立は害ではなく、むしろ力になるものだった。一人になることで、まわりとのわだかまりがなくなっていき。正しい答えを導き出す環境を作ることのできるものだと思っていた。

 害というものが、孤立に含まれているとすれば。孤立することで、どんどん膨れ上がってくる自分というものを見つめなおす力が、一度違った道に入ってしまうと、なかなかそれを修復することが困難になってくることであった。

 さおりの友達はというと、完全に一人で孤独と戦っているようだった。

「そうだ、孤独というのは、戦う相手なんだ」

 と、いまさらながらに、聡美は感じた。

 聡美は、中学生の頃くらいまでは、

「孤独というものとは戦うものだ」

 と思っていた。

 それがいつの間にか、

「孤独が共存するものであり、自分の力になるものなのかも知れない」

 と感じるようになった。

 それが、孤立という形のものだと聡美は思うようになった。

「孤独と孤立」

 言葉は似ていて、下手をすれば使い方を間違ってしまいそうにも感じるものだが、聡美はその二つを進化系による名称の違いであり、まるで出世魚のようなものではないかと考えるようになっていた。

「孤独があっての、孤立」

 そう感じることで、孤立というのは、決して悪いことではないという発想に至る、そう思うことで、孤立することが単独の行動に正当性を与え、「ソロ○○」などという単独での趣味が流行っているのだろう。


 しかも、昨今の世の中の状況を鑑みれば、集団行動による伝染病の流行を促すことが、いかに世の中をマヒさせる蔓延となるかを、人類は身をもって経験しているはずである。中には一部の不心得者による蔓延を抑止できない行動をする輩もいたが、それらを除いてはほぼ、理解したことだろう。

 政府の無能さ、有事の際のマスゴミと呼ばれる連中の無責任で、信憑性のない、そしてまったくと言って無責任な報道が、世間を混乱せしめたのは、いかなる罪よりも重たいのではないかと思えた。

 何度となく繰り返された、

「自粛と解除」

 意味もなく時間だけが過ぎ去っていき、残ったものは、政府への不満と、マスゴミへの不信感であった。

 政府は、利権のためだけに動くほとんどの政治家に、まったくと言って、リーダーとしての機能のない首相。国家の緊急事態なのに、

「どうせ私は次の選挙までの間のつなぎの首相だ」

 と言わんばかりのやる気と責任感のなさ。

 あれが我が国の元首だと思うと、恥ずかしくて世界に顔向けできないと思うほどであった。

 責任の優先順位としては、まずは一部の不心得な国民が一番であろう。

 なんといっても、蔓延の原因は、あいつらにあるのだ。一番悪いのは、それを自覚していないこと、自分たちの勝手な行動が、死ななくてもいい命を奪い、経済をめちゃくちゃにしたことで、自殺者も増えたりした。

 夜の公園でマスクを外して酒盛りをしている連中のすぐ横で、心筋梗塞であったり、交通事故などに遭い、救急搬送を必要とする患者を乗せた救急車が、どこの病院もいっぱいのため、そのまま救急車の中でどんどん死んでいくという地獄絵図を描いていることを全く知らずに、当然、罪の意識もない。それこそそんな連中は、

「地獄に堕ちろ」

 と、誰もが思っているだろうが、それでも口にしないだけのことである。

 もっとも、口にしないから、分からないのであろうが、ただ、あの連中には口で何を言っても分からないだろう。自分たちが死にそうな目に遭って、救急車の中で死んでいくという立場にならなければ分かるはずはない。これが、人間というものの、最悪の一面だと言ってもいいだろう。

 さて、優先順位の第二位は、マスゴミではないだろうか。本当は、マスコミというらしいのだが、私はやつらをマスコミとは認めない。マスコミというのは、正しい情報を、信念をもって伝え、ペンの力によって、正義を貫くものが、真のマスコミと言えるのではないだろうか。

 それができずに、記事が売れさえすればいいということで、信憑性があろうがなかろうが、書いた記事によって、その相手がどのようになろうが、やつらには関係ない。それこそ、血が通った記事を書くことができないという、ジャーナリズムの欠片もない連中の多くが、世界を混乱させるのだ。

 マスメディアの影響がどれほど強いものかということは、当然会社に入って自分で経験していれば分かりそうなものだが、上司のやり方によるものなのか、ジャーナリストとしてのプライドのない連中に限って、事の重大性が分からないのだ。これは、一番の戦犯である不心得な国民と同じである。やつらが直接的な責任だとすれば、マスゴミは、そんな国民を先導し、マインドコントロールを仕掛けるという大きな罪がある。そもそも戦犯の優先順位ということ自体、おかしいのかも知れないが、考えれば考えるほど、彼らの罪の深さに苛立ちを覚えるしかないのだった。

 では、三番目の悪の根源とはなにか?

 これは当然のことながら、政府であろう。

 世の中を実際に動かしているのは、直接的には国民だが、その国民を抑えるのは政府の仕事、ここでいう政府というのは、政治家すべてを含んだものであり、行政の長としての政府だけを意味するものではない。広義の意味での話であってここには国会議員も含まれるし、地方自治の知事や市町なども含まれる。

 やつらは、国民に安心安全を与えると言っておきながら、様々なお粗末で、後手後手にまわる政策しか行わず、社会を混乱させ、実際に、死ななくてもいい命が奪われたり、経済をマヒさせて、自殺者を増やす結果になった責任は大きい。

 もちろん、未曽有の大惨事に立ち向かうのだから、これほムスカしいということはないだろう。

 いつぞやの首相が言っていたではないか。

「政治家は結果がすべてである」

 まさにその通りだ。

 この言葉が本当であれば、一年も経ってから、政治家は総入れ替えになっていなければならないはずなのに、首相が病気を理由に病院に逃げ込んだくらいで、後は、適当にシャッフルしたくらいではないか、誰か責任を取った人っているのだろうか?

 さらに、国家的大プロジェクトが控えていることもあって、どうしてもそれを実施したいという思惑があるため、国民の命など関係ないとでも言わんばかりの政策に国民は苛立ってしまっている。

「政治家は利権に塗れ、自己保身に必死なんだ」

 と、これもマスゴミによる扇動が大きいのか、ほとんどの人が思ったことだろう。

 しかも、出してくる政策はすべてが後手後手に回ってしまい、

「いまさらそんなことをやっても」

 と誰もが思っていることを、平気でしようとする。

「ああ、そうだ、それよりも一番の極悪を忘れていた。ハッキリとは言えないが、こんな世界を作ったのは、人災だということだ」

 という人の話を訊いたことがあったが、そういうことなのであろう。

 私がこの作品を書いている時期と、これをサイトにアップする時期とでかなりのタイムラグがあるだろうから、これをアップする頃には世の中がどうなっているのか、見ものというものである。平和な世の中が来ていることを切に希望し、敢えてここに記すことにしたのだが、さすがに偏見が詰まった書き方になった。私も、マスゴミの一員になってしまったのかも知れないな……。


 話は横道に逸れてしまったが、おっと、こんなことを書いているうちに、警察が到着したようだ。

 この街を管轄する警察署から三人の刑事と、鑑識がやってきて、あっという間に、殺人事件現場として、保存されることになった。

 鑑識のテキパキ差はさすがに初動捜査には絶対不可欠の鑑識、時間との勝負だということを見せつけられた気がした。

 さっそく母親の死体を見た鑑識は、カバンの中から七つ道具を出してきて、いろいろと調べている。刑事もそれを覗き込みながら、きっと自分の今までの経験が頭の中によみがえってきているのだろう。それを見ながら、聡美と、さおりの友達はじっと見つめていた。聡美は刑事ドラマなどでよく見る光景だと感じながら、どこか、他人事のように思っていた。

 殺されたのは自分の母親なのだが、なぜか悲しいという感覚はない。いきなりいなくなってしまったことに動揺はあるのだが、自分nこととして受け入れることができない感覚に、どう何を感じればいいのか分からない。

 隣で警察の行動を見ている妹の友達は、その視線に熱いものが感じられた。その目が好奇の目であるということは分かるのだが、警察に興味を持っているのかは分からない。

 高校生という年頃は何にでも興味を持つ年齢でもあるので、初めて見る光景に、目を奪われてしまったというのが、本当のところではないだろうか。

 それを思うと聡美は、

「警察というものが、ここまで形式的だとは思わなかった」

 という感情を持っていたが、妹の友達には、また違った目で見えているのかも知れない。

 ただ、二人が死体の発見者であることと、通報者という立場であることで、尋問を受けるのは当たり前のことである。しかも、聡美の場合は、親近者でもある。娘という立場から追及は逃れられないだろう。

 しかも、妹の姿がどこにもない。そのあたりも事件の大きなカギになるであろうことは誰の目にも明らかだろう。

 しかも、事件は聡美が帰ってきてから起こったことだ、警察は聡美に対して、嫌疑をかけるのは間違いないだろう。そのことも分かっているつもりだった。

 こんな田舎でなかなか怒らない殺人事件に、街の人はさぞかしビックリしていることだろう。

 ただ、田舎だからこそ都会にはないドロドロしたものが渦巻いているのかも知れない。都会にも田舎にも、いろいろな魑魅魍魎がいるということで、要は、事件を起こすか起こさないかということだけのことなのだろう。

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