第8話 鳥籠の思い
両親の自殺。
嵌められた世界。
俺は.....目の前の横山を見ながら、凄いな、と思う。
そして俺達は高校に登校した。
「.....」
2時限目の中休み。
俺は窓から頬杖をつきながら外を見渡す。
それから欠伸をした。
やれやれ忌々しい夢でも見たのだろうか。
その影響で多分.....俺は寝不足だ。
そう考えていると教室に.....永島龍子が来た。
笑顔で横山が接している。
その姿を見てからまた外を見ていると。
「ねえ」
そんな声がした。
顔を横に向けると横山と話していた筈の永島が俺に声を掛けてきていた。
俺は、!?、と思いながら永島を見る。
すると永島は、ちょっと話がある、と俺を見据える。
その言葉に俺は、何だ.....?、という感じで返答しながら。
横山は待たされる感じで俺は空き教室に呼ばれた。
「.....永島。.....どうした」
「.....一言.....言って良い?.....貴方はもう近付かないで。.....沙羅に」
「.....」
「貴方が.....接するときっと沙羅は不自由になる」
「.....そうか」
そういう話だったか。
思いながら俺は溜息を吐きながら、分かった、と言おうとしたのだが。
全く正反対の言葉を口にした。
それは断る、と。
俺も唖然としながら思考を直結させるが。
訳が分からない。
「.....何ですって?」
「.....それこそアイツの自由を奪っているんじゃ無いのか。俺はどうでも良いがアイツは俺に好き好んで接している。.....人に会うのを制限する.....いや。.....お前が制限している」
「.....私はそういうつもりでやっているんじゃ無いけど」
「お前は.....横山を縛っているんじゃないのか」
何でそう言えるのアンタなんかに、と苛立つ様に俺に話す永島。
俺は、あくまで俺は馬鹿だ。だから何も分からない。.....だけど1つだけ言える事がある。.....お前のやっているそれは鳥籠の行為だ、と答える。
さっきから真逆の事ばかり言っているのだが。
どうなっている。
「.....アンタなんかに分かる訳ないでしょ。あの子は繊細なの」
「.....お前は母親の様な感じで見守っている。大切なんだな。横山が。.....だけどもう少しだけでも自由にさせてあげたらどうだ。横山は.....悪い子じゃない」
「.....」
「.....俺は.....人間関係は脆いって思っていた。.....だけど横山に教わって考えた。.....それを考えると俺は.....お前のやっている事は到底容認出来ない」
アンタなんかに、と言いながら永島は言葉に詰まる。
俺はその言葉に真剣な顔をする。
それから、アンタが心配しているのは重々分かる。.....横山の事が心から心配なのも分かる。.....だけどやり過ぎだと思う。アンタのやっている事は。俺が言っても仕方が無いんだろうけど。俺はあくまで.....モブであり。.....そして.....馬鹿だから、と告げる。
「.....俺は.....あくまで考えは纏まらない。.....だけどな。俺は.....お前のやっている事は過保護過ぎて人の人生を破壊している」
「.....過保護なぐらいが丁度良いのよ。あの子には.....」
「だからそれが悪いんじゃないのか」
「.....は?.....それはどういう意味.....」
「アンタがアイツを束縛する事でアイツは成長出来なくなっている」
ショックを受けた様に顔を顰める永島。
それから.....愕然とした。
俺はその姿を見ながら窓から外を見る。
するとドアが開いた。
それから待っている筈の横山が入って来る。
「.....そんな大切な思いだったんだね」
「.....さ、沙羅.....何で.....」
「待ってろ?そんなの聞かないよ今の状況で。.....私は.....貴方が好きなんだよ?龍子ちゃん」
「.....好き.....って何?私なんかを好きになるの?」
「なるに決まっているよ。.....どれだけ一緒に居るって思っているの?アハハ」
横山は駆け寄る。
そして永島を抱き締めた。
俺はその光景を見ながら微笑してからそのまま教室から出ようとした時。
横山の声がした。
待って、と。
「.....有難うね。.....君はいつも私のヒーローだね」
「.....一つ言うが俺はただの不良だ。.....だから.....何もしてないし。何も俺は.....お前に出来てない」
「.....そう言うけど私は.....貴方が.....山形くんがいつも何処でも救ってくれているって思う。私は.....貴方の事をクラスメイトとして.....そして尊敬する」
「そいつは有難い。.....だけど.....」
俺は少しだけ悲しげな顔をする。
それから、俺はあくまで不良だから。.....だからお前は光の道を歩け、とだけ告げてから.....そのまま部屋を後にした。
そうしてから教室に戻る。
そして椅子に腰掛けた。
まあ少しだけ.....人を殴るとかよりもスカッとした。
これが救いって事か。
そう納得しながら俺は世界を見渡した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます