第5話 襲われた横山

浮気されてから俺の人格はおかしくなっている。

彼女に不倫されて絶望に。

そしてクラスでもボッチという感じになっており更に友人も不良以外は居ない絶望。

それから教師からもあまり期待されておらず絶望。

親父にはぶん殴られて.....とにかくまあ絶望的だった。


そんな中で俺に何故か声を掛けてくる女性が居る。

女性の名前は横山沙羅というのだが。

俺に笑顔をニコニコしながら振る舞いながら向いてくる。

そんな姿を見ながら俺は何故か少しだけ明るい気持ちになった。


「.....何故だろうか」


そんな気持ちを抱きながら帰宅をする。

すると女子の声で、は、離して下さい、と声が聞こえる。

俺は、?、を浮かべてからそのまま覗く。


そこで.....先に帰っていた筈の横山が捕まっていた。

俺はその姿に顎に手を添えてから声に耳を傾けてみる。

するとこんな声が聞こえた。


「この女さ。アイツってか確か山形の知り合いなんだろ?」

「そうそう。まあ犯してしまおうぜ。腹立つしな」

「確かになぁ」


横山は泣きながら首を振り抵抗する。

他校の不良だな.....。

俺はその姿に、まあ.....アイツは知り合いだが.....、と思う。

それから俺は踵を返そうとした。

のだがムカムカな感じが胸を突く。


「.....」


俺は踵をまた返し声を掛ける。

そのまま、オイ、と言いながら。

服を破ろうとしている不良は顔を上げて、あ?、と反応してから。

俺を真っ直ぐに見てから3人の不良はそのまま青ざめる。


「こ、コイツ!」

「や、山形!?」


オドオドする3人。

俺は真っ直ぐに見据える。

それから3人は何をするかと思ったのだが。


俺に襲い掛かってきた。

殴り掛かってくるというか。

チェックメイトの奴らって本当に醜いよな。


拳を躱してから思いっきりその拳を振ってきた不良の手を握った。

因みに俺の腕力だがリンゴは潰せるぐらいある。

いてぇ!!!!!、と言う不良を見てみる。

それから威圧する。


「お前ら。見逃してやるから。今ならな。二度と手を俺らに出さなければ」

「.....この野郎.....」

「.....」


俺を見ながらそのまま不良達は頷き合う。

それから側に落ちている角材を拾った。

やり合う気か。

思いながら居ると、人質を取れば問題無いからな、と言いながら素早く横山の首筋にナイフを突きつける。


「.....お前ら.....」

「お前の彼女を殺してやるよ。マジに。こうしたらお前も何も出来ないだろ」

「.....」


涙を浮かべる横山。

クソ.....こうなると闇雲に動けない。

思いながら居ると。

背後からサイレンが聞こえた。


俺は、!、と思いながら背後を見る。

そこに何故かpoliceと書かれたドアを携えた警察が。

警察は飛び出して俺達を見てくる。


「動くな!!!!!」


と言いながら。

不良達は、な、何でこんなに早くサツが?、と慌てる。

ナイフを持った奴も警棒を持った警察に驚いて横山から離れた。

それから慌てる。

するとこんな声がした。


「沙羅」


透き通っているが。

あくまで冷たい冷徹な声で。

俺は、!、とまた思いながら顔を上げる。


それから見ると.....そこに永島龍子(ながしまりゅうこ)が居た。

クラスメイトの黒の長い髪をした.....凛とした美少女。

モデルの様な感じが見える。


「こっち」

「.....あ、有難う。龍子ちゃん」

「大丈夫だったかしら」

「あ、うん.....」


それから永島の元に向かった上着を被せられる横山を見ながら。

俺はホッとする。

そして踵を返しながらそのまま帰ろうとした。


捕まった奴らの乗った車両以外にも警察の車が続々と停まる。

すると、待って、と声がした。

背後を振り返ると横山が声を掛けてきていたが。

それを.....永島が止める。


「待ちなさい。沙羅。その男に声を掛けたら駄目」

「.....え?それってどういう事。龍子ちゃん」

「こんな危険な状況を生み出した根本でしょ」

「.....え?」


永島はそう言いながら俺に対して眉を顰める。

それから永島は、穢らわしいし最低、と言い放った。

俺は、.....成程、と納得してから、そうだな。最低だ、と言いながらそのまま鞄を持ってからその場を去ろうとする。


すると、ま、待って!違うよ!違うよ.....、と永島の顔と俺の顔を見つつ必死に説得する横山。

俺はその声に身体を向ける事はせず去ろうとした。

だが。


警察に事情を聞かれる為に呼ばれてしまい。

そのまま警察署に行く事になってから解放されるまで1時間ぐらい掛かった。

最悪なもんだな。



「.....」


2時間ぐらい経った中で俺は窓を開けてからまた外を眺める。

それから汚い部屋を見渡した。

俺はそんな汚い部屋を見渡しつつ溜息を吐いてから再度外を見る。


そして昨日貰った物を食べているとインターフォンが鳴る。

その事に思いっきりビクッとしてから警戒する。

するとノックまで聞こえた。


「.....誰だ」


そう声を掛けてみると。

ノックが止んだ。

それから、わ、私だよ。横山だよ、と声がする。

その声にかなり驚愕する。


「横山?何で.....」

「.....そ、その。生徒手帳が落ちていたの。.....それで住所を知った」

「あ.....すまない。さっき落とした分か」


俺はその言葉にドアを開ける。

そこにニコニコした横山が立っていた。

俺を見ながら笑顔を浮かべる。

その姿を見ながら眉を顰めたのだが。


「.....お部屋に入っても良い?」

「.....いや入って良いが.....汚いぞ。部屋の中」

「気にしないよ」

「.....」


あんな目に遭っているのに.....何故来たのか。

思いながら俺は嫌がる俺に構わずに部屋に上がる横山を見る。

それから、良い部屋だね、と笑顔になる。

俺はその姿を見ながら真剣な顔をした。

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