第25話 上の上

ミラはバレットの効かない狼の魔物デルスを相手に新魔法アクアソードを使用して勝利した。

そしてその後も数体のデルスを相手にしたのだった。


            ーー


そして現在……



ミラはアクアソードを使いデルスを倒す特訓を10日間ほど続けた。

次の日も山で特訓をしていた二人は……


ブンッ!


「よしっ!長い時間この魔法を使い続けられるようになった!」


「……」

(魔力総量が以前より数倍にもなっているな)


「しかし、このデルスは人と同じくらいの体格なのに皮膚が固いのね」

「私のバレットが貫通しないんだもの」


「五級魔物には通用しなくなったな」


「もっと多い魔力を練ったバレットなら威力が上がるのかな……」


二人が会話をしていると突然…


…ドサ

ダダダダ!

ドン!


「きゃー!」


「なんだ?」


枝の折れる音が近づき、アリト達の真横の木にぶつかったのは瀕死のデルスだった。

アリト達はデルスが飛んで来た方向を見る。

すると……


「あの魔物は……」

「あれも図鑑に載っていたわ、四級魔物ガント」

「身長3メートル、体重500キログラム」


「…」

(ゴリラってそんなサイズだったか?)


数十メートル先に佇むのはゴリラの魔物ガント。

さらにアリトはある事に気付く。


「右耳が無いな」


「たしかに、それよりアリト」


「なんだ?」


「私はあれを倒せるかな」


「無理だ」


「どうして?」


「さっきのデルスは奴の仕業だ」


「どういう事?」


「70キログラムほどのデルスを数十メートル先まで投げられる奴だぞ」


「なっ⁉」

「でも新魔法アクアソードが……」


「ゴリラは近距離専門だろうな」


「そ、そう……あっ!」

「新たなデルスがガントに向かって行ったわ」


ワォォー!

ダダッダダッ……


一体のデルスがガント目掛けて突っ込む。


ウォォ!


ブチブチ…

……

ゴゴゴ。

ガントは雄たけびをあげて一本の木を引っこ抜く。


ブン‼


ドガッ!


ガントは木を軽々と一振りし、デルスを吹き飛ばす。

そしてデルスは木に衝突し動かなくなった。


「あんな攻撃もするのね……」


「戦ってみるか?」


「む、無理に決まってるじゃない!」

「魔物等級が一つ違うだけで差がありすぎよ!」


「そうだな」

(俺がやるか)

「隠れていろ」


「分かった」


スタスタ……

ダッ…


アリトは右方向へ移動する。


ダッダッ


「…」

(この辺なら直線状にミラは居ないな)


スタスタ……


アリトがガントに向かって歩いている途中……


ウォォ!


「気付かれたか」


ブン!


アリトを認識したガントは持っていた木を投げる。


シュン。

ドゴーン!

避けた木は地面に刺さる。


「それが遠距離攻撃か、では防御はどうだ?」


ゴゴゴ…

ブン!

アリトは刺さった木を持ち上げガントに投げ返す。


ウォ!

バキン!

ガントは飛んで来た木を拳で粉砕した。


「なるほど……格闘で勝負してみるか」


スタスタ……


アリトは歩いてガントに近づく。

お互い攻撃をする事はなくアリトは立ち止まる、ガントとの距離1メートル強。


「……」

(アリト!あんな近くで何をやってるのよ!)

焦りながら見ているミラ。


「まだ攻撃をしてこないな」

(余裕な証拠か、それともその逆か?)


カチャ。

アリトは腰の刀を自身の後ろに置く。


「ふぅ~」


アリトが静かに息を吐いた瞬間!


ウォー!

ブン!

先に動いたガントは目にも留まらぬ速さで右フック。


サッ

アリトは、それをしゃがんで避ける。


地面に落ちている葉が舞い上がっている。

さらに…


ブン‼

右フックを終えたガントは、すぐさま左足の蹴り上げ。


サッ

サイドステップで体一つ分動き、それも避ける。


そして……

絶え間なく攻撃するガント、避け続けるアリト。

そんな攻防が続き数分後。


ウゥ…ウゥ…

息があがったガントは攻撃を辞めた。


「ふぅ…」

アリトは落ち着いたままだ。


ウゥ…ウゥ…ウォォー‼


「…」

(渾身の一撃がくる)


その日、最大の雄たけびをあげたガントは両手を振り上げ、手を組む。


「ふぅ…すぅ…」


呼吸をしたアリトは腕をクロスさせ頭上で構え、そして……



ズゴォーーン‼



振り下ろされたガントの両手はアリトの両腕が受け止め轟音が鳴り響く。

さらにアリトを中心に周辺が陥没した。



数秒後……


ドサーン!



ガントが倒れ、轟音が鳴り止む。


「アリトー!どこー⁉」


陥没して沈んだアリトの姿はミラの位置から見えなくなっていた。


「……」


タッタッタッ!


「アリト⁉」

ミラは陥没した地点まで駆け寄る。


「無事だ」

「ふぅ~よっと」

カシャ

刀を拾う。


「良かった~」

「その魔物は……?」


「もうすぐ死ぬだろう」


「そうなの⁉」

「ていうか何で最後の攻撃を避けなかったのよ!」


「ゴリラのメンタルは弱いんだ、だから最大の攻撃でも勝てない相手を目の前にするのは、相当なストレスが心臓に掛かる」


「そ、そうなんだ~、って何よその知識」


「まぁ俺の勝ちってわけだ」


シュピン。

シュー……


アリトはガントの首を落とし武器に吸収させた。


「今日は帰ろう」


「そうね、戦いを見てた私も疲れたわ~」


スタスタ……


こうしてガントを討伐したアリト達はケープの街へ帰ったのだった。

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ロマンティックRPG 初めての書き出し小説風 @mako1990_02

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