第20話 大蛇の正体
チルストラップに戻って来たアリト達は一晩休み、次の日ギルドに居た。
受付をシロエが担当していて依頼の報告と報酬の話になった。
報酬を貰い、魔物の買取をするため別の建物へ…
そしてアリトが討伐した魔物をシロエが見ると受付奥へ案内されたのだった。
ーー
そして現在……
アリト達はザミヤ、シロエとギルドの受付奥の部屋に居た。
「早速だがアリト、あの魔物はどこにいた?」
「モールという村からさらに東に行った森だ」
「あんな場所に……」
ザミヤが何かを考えているとシロエと話し始めた。
「あの森はミッシュラビットしか出ない森のはずですよね?」
「そうだな、いや待てよ……そうだった、あの森に大蛇は出る…」
「知っているのですか?」
「あぁ俺が冒険者だった時に倒した」
「名前はテノボア、あの森の主だ…」
「それなら、アリトさんが討伐したのも同じだと言えます」
「全長は10メートルを超え、体重は約1,000㎏、胴体も直径1メートルほどあります」
「そして魔物のクラスは四等級」
「そうだったんですかー⁉」
「よ、四級って…」
ミラは驚いた。
「あぁ魔物は基本的に体格に比例して階級が上がるからな」
「森の中心から大きく動く事は無いらしいが……何故あいつと出会った?」
「依頼で薬草の採取に行った時に…」
「薬草の採取……確か、少し前にも……」
「はい、先日調合師の方が亡くなられています」
「助けに向かった冒険者の話では、その調合師は魔物が苦手なニオイを放つ劇薬を持っていたハズですが襲われ…」
「そして目の前でテノボアに飲み込まれてしまったのを見た、その後苦しそうに森の奥へ去ったと報告されています」
「劇薬を嫌わずに襲っただと…?」
「討伐依頼を出さずにいたのだが、やはり奴がまた…」
「だが、こんな頻繁に出てくる事はないはず……」
「テノボアの生態調査では、まだ活発になる時期では無いとされています」
「しかもプロの調合師がそんな重要な事を間違えるハズもないでしょう」
「あぁ」
「それってガーベラさんの……」
ミラは調合師が誰なのか気付いた。
「ん?何か知っているのか?」
「はい……」
そしてミラはガーベラの病と薬草に関する事を話した。
「そうか……」
「シロエ、その家には我々冒険者が助けられなかった詫びと薬草採取代行の確約書を出せ」
「分かりました」
「……っ!」
「良かったね!アリト!」
「そうだな」
ミラは自分の事の様に喜んだ。
「でもザミヤさん、また森の主が現れる心配は無いんですか?」
「それは平気だ、魔物が主となるまで50年以上は掛かる」
「だが前に倒してから30年ほどしか経っていないのに現れた」
「何が起きている……?」
チラッ
ザミヤはアリトを見る。
「アリト見て来て欲しい所がある」
「報酬は……」
「先払いだ」
「それなら構わない」
「……」
「分かりました」
ザミヤを待たずシロエが返事をする。
「なっ、お前!」
「ミラちゃんが居るのよ?」
「お金は必要でしょ」
シュンッ
「シロエさ~ん」
「よしよし」
ミラは最速でシロエに膝枕をされにいった。
「ったく、じゃあこれを」
ペラ
「これはなんだ?」
「目的の場所と接触して欲しい人物のメモ、そして……」
ササッ
「その人物に渡して欲しい物だ」
「前払いの報酬はシロエから貰ってくれ」
「あぁ」
アリトはザミヤからメモと手紙を受け取る。
そしてザミヤを残し三人は受付へ戻った。
……
そして受付にて……
「じゃあこれが前払いの報酬と買取の報酬です」
ドサッ!
「金額は…ここでは言わないでおきます」
「あぁ」
「ではお気を付けて」
「シロエさん、ありがとうございます」
「ミラちゃん、また会いに来てね」
「はい!」
スタスタ……
「アリトさん」
ミラとアリトが去ろうとした時シロエはアリトを呼び止める。
「ミラちゃんと…また会える事をお待ちしています」
「…あぁ」
(前にも……だが今回は…)
シロエの目から伝わるもの…それは以前とは違うものだった。
スタスタ……
……
そしてアリト達はチルストラップの街を出たのだった。
……
アリト達が去った後、ギルドにて……
「なぁシロエ、テノボアの死骸はどんなだった?」
「首辺りをあの刀で攻撃したようでした」
「どう思った?」
「…昔だったらあんな倒し方が出来たかもね」
「そうか」
「それよりも仕事が残ってますギルドマスター」
「あぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます