第11話 初めての魔法


王都から南下して辿り着いた街のギルドで出会った。

大男の名前はザミヤ、ギルドマスターであった。

そこでミラ達は冒険者になる為の試験がある事を知らされる。

アリトだけ試験が免除になるのだが…

ザミヤの一言でアリトはミラに戦い方を教える事になった。


           ーー


そして現在…



「ねぇザミヤさん、訓練はどこでやればいい?」


「南から街を出てすぐに訓練場がある」

「そこが良いだろう」


「分かったわ!」

「アリト、行きましょ!」


「あぁ」


ミラ達は早速、戦闘訓練をする為ギルドを離れた。



スタスタスタ…


「南の出口はこっちの方ね」


「そうだな…」


ミラ達は街に入って来た方とは反対の門から街を出た。



スタスタ


「ザミヤさんが言ってた場所はここね!」


「あぁそうだな」



ミラ達が訓練場に着くと、そこは木が一本も無い平地だった。

だだっ広い空間には訓練用のかかしが格子状に並んでいる。

そのかかしには防具が被せてあるが、かなりボロボロだ。



「私みたいな初心者が訓練する場所らしいわね」


「みたいだな」


「じゃあ早速始めましょ!」

「何を教えてくれるの?」


「そうだな…」

(近接、魔法まほう、弓……魔法で良いだろう)

「自分の魔法適性は分かるか?」


「確か…ママが『ミラちゃんの適性はアクアね』って言ってたわ!」


「水か…」

(水でどんな創造おふざけをしよっか……)


「アリトは水魔法アクアマジックを使えるの?」


「一応な」


「へ~!スゴイのね!」


「じゃあ、実際に俺がやってみる」

(こんな創造でいいだろう)

アリトはその場で1つの的を見た。


「楽しみ!」

 

「まず人差し指の先に水を作る」

「水分が集まるイメージで…バレット水の球体を作る」



シュー



アリトは直径10㎝ほどの水の球体を作り出した。


「スゴーイ!本当に水が出てきた!」


「指を標的に向け、肩から指までを一直線にしてから…」

バレット水の球体チャージ圧縮する」

チャージ圧縮はなるべく小さくすると良い」


シュルルル…


水の球体を直径1㎝まで小さくなる。


「すごい小さくなった!」


「そしてバレット水の球体スプリング水圧で押し出すっ」


バンッ


カーンッ


魔法は5m先の的に命中した。


「うわぁ!的に穴が空いてる!」


「これが水の弾丸アクアバレットだ」


「それが私の攻撃手段になるのね!」


「いや、今のは基本だ」

「これが出来たら応用技も教える」


「分かったわ!試しに私がやってみる!」

ミラは1つの的を見た。

「指先に水が集まるイメージ…」


シュー…


ミラが作り出した水の球体は直径5㎝ほどだ。


「わっ!出来た!」

「ここから小さくする…」


シュル…


「あれ⁈全然小さくならない…」

なんと、水の球体の大きさは変わらなかった。

「…とりあえず、これを…えい‼」


ボヨンッ


ビシャッ!


魔法は2m先で落ちてしまい、水溜まりが少し出来た。


「……」

「アリトみたいに上手くいかないわね……」

ミラは下を向いたまま黙り込んでしまう。


「初めての魔法なんだろ、気にするな」

(相当落ち込んでるみたいだな)

「先に応用技を見せる、見ておけ」


「う、うん…」


ザッザッザ


アリトはミラから距離をとり、的を見る。


「さっきと同様、指先にバレットを作りチャージする…」

「だが、今度は全ての指先だ」


「え?」


シュ、シュ、シューー…


シュルルルルー…


アリトは10本の指の先に水の球体を作った。


「そんなに多く…⁈」


「これは複数の標的を相手にする為だ」

「そして標的を確認して…」


ババン!ババン!バン!


ガガン!ガガン!ガガン…!



魔法は複数の的に命中した。


「今度は3つの的に穴が…」


「これが対複数魔法、水の銃弾アクアマック

「たくさん撃てるが、狙うのが難しい」


「そんなの私に出来るのかな…」


「ミラなら1週間あれば大丈夫だ」


「そうかな?」


「あぁ、問題ない」


「アリトが責任持って教えてくれるもんね!」


「そうだな」

(元気を取り戻したようだな)

「じゃあ最後の応用技だ」

「やる事は変わらないが、派手な魔法だ」

アリトは再び的を見る。


「派手?」


「両手を横に広げて目の前にデカいバレットを作る」



シューーーー


アリトは自身の前に直径2mほどの球体を作る。


「それをどうする気なの⁉」


「まぁ見ておけ」

「胸の前でチャージする」


シュルルル


水の球体の大きさは10㎝ほどになった。


「そしてこのバレットを囲む様に両手を前に…」

「両手の人差し指、親指同士をくっつけてバレルを作る」

「スプリングと同時に両手を素早く手前に引き、円の中にバレットを通す…と」



バァーーン‼


「きゃあ!」


バキバキ!バキ!

バン!


「スゴイ音…」

「え…?的が3つ、折れてる…」


魔法は5m先の的を折り、勢いは止まらず先の的2つまで折ってしまう。


「これが子供の覇者戯アクアメガホン、一点集中技だ」

「ふんっ」


「へ?」


珍しくアリトは嬉しげだった。


「この3つを覚えてもらう」


「無理に決まってるじゃな~い!」


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