第6話 レアリティ

 

「俺にはやる事があるから断るよ」


「・・・そっか」

(分かってたけどな・・・)


「ごめんな」


「頑張れよ」


「それじゃあリューさん、またな」


「おぅ…」

 


スタスタスタ……





「アリト…お前は本当に何者なんだ……」

(あの感覚を味わったのは数十年の歴戦で一度だけだったぞ)

 




スタスタスタ……



王都を散策し始めた時とは違って人通りが少なくなり

だんだんと暗くなる街に光が灯った。



「ふ〜宿を探そう」

「っと思ったら宿屋発見!」



ガチャッ

カランコロン



「いらっしゃいませ、お1人様ですね」


「あぁ、1泊いくらだ?」


「5000ルフェンになります」

「何泊されますか?」


「とりあえず1泊するよ」


「ありがとうございます」

「ではご案内致します」



スタスタスタ

トントントン…


 

「ではこちらの201号室になります」

「分からない事がありましたらいつでもどうぞ」


「ありがとう」



ガチャッ


パタン


「ワンルームにベッドと机のみ…」

「風呂が無いのは、しょうがないか」


アリトはそう言うと自分に魔法を使う。

それは対象の汚れを綺麗に落とす魔法である。



ファ――

キラーン



「これで風呂上がりと同じくらい綺麗になったか」

「この魔法の名前は『ファブ』にしよう」

(連想しただけだ…深い意味はない)



「次は夜ご飯…と言ってもコレなんだけど」


テーブルに並べたのは数種類のパン。


「パン1つ300ルフェンだったな……」



街を散策した事で物価について分かった事がある。

まず定食が1品で1500ルフェンほど。

衣服などは2000ルフェンくらいだった。


武器、防具に関しては特殊だ。

価格は2000ルフェン程度なのだが、レアリティというモノが存在した。

レアリティとはノーマルからレジェンダリーまである規格。

それによって値段が5倍~500倍へ変わるみたいだ。



「……今日稼いだ15万ルフェン」

「初任給くらいだったって事か」



「今日はもう寝よう…」



ボフッ!

ゴソゴソ…


「――やっぱりコレだよな」

「Zzz……」



アリトはいつも通りお腹に枕を乗せて眠るのだった。


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