第5話 お金の価値


王城を出たアリトは悩んでいた。



「目的地には着いたけどこれからどうしよう……」

「とりあえず王都を散策するか~」


スタスタスタ....


王都をぶらつくと気になったのは街の様子。


「飲食店や服屋が並ぶ見慣れた景色だが…武器、防具屋がある」

「ファンタジーだなぁ~んっ?あれは……」



「お前ら!木材を運ぶぞー!」

「へい!親分!」



目に入ったのは家を建てている大工。

機械などは見当たらず、人力で木材を運んでいる様子だ。



(ダイエットならジムに通うより効果ありそうだな…)


スタスタスタ....


「ん!??」 


いきなりキツい臭いがした。


「クサッ!!」

「敵襲か…?」


「なんだ兄ちゃん貴族の出かい?」


「冗談は顔だけにしてくれ、おっちゃん」

「飲食店…じゃないよな?」


「ここは質屋だ、俺は店長のリュー」


「アリトだ」

「質屋は何をする所なんだ?」


「討伐した魔物を買い取って解体する」

「皮は衣類や防具に、肉は食用になるんだ」


「鼻の曲がる様なニオイが心配だな」


「それは平気だ、ある程度の加工をすればニオイは無くなる」

「死骸は適切な処理で不思議と綺麗さっぱりさ」


「曖昧な言い方だな?」


「何故そうなるかは加工を生業にしてる連中も分からないらしい」



(手を加えるとアイテム化してるって具合か)



「あっ……おっちゃん、魔物買い取ってくれよ」


「おう!構わないぜ」





アリトが辿り着いたのは王都の入り口近くにある質屋。

店長のリューと会話を弾ませていたのだがある事を思い出す。

それは討伐した魔物が何らかの方法で武器に保管されていた事だ。

店内でリューの言う通り、受け皿に武器をかざすと討伐した魔物が出てきた。

だが受け皿にあふれ出るほどの数に驚く従業員。

そそくさと店の外に出されて、少し待つとリューが呆れた顔で店の中から現れた。




「買取金額が15万ルフェンだ…」


「15万ルフェンってどのくらいの価値があるんだ?」


「誰かさんが一度に675体も持ってくるから今日は大忙しだ」

「悪いが他を当たってくれ、捌くのに俺も手伝わないといけねぇからな」


「すいません……自分で解決するよ…」


「金額の内訳はこの紙に書いてあるから、ほら」

「また今度な」


「今度からは気を付けます!」



「待て!」

「あの切り口を見るにアリト…只者じゃねぇな?」


「……」




「お前うちで働かねぇか?」



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