第4話 お金の力
「決着はついたぞ」
沈黙を破ったのはアリトの声。
「…っ!」
異質な決闘を見た者達は緊張が解けたようだ。
「そ、そこまで!」
「勝者アリト殿!」
護衛の掛け声で決闘は終了。
喋り始めたのはアリトだった。
「国王陛下、申し訳ございません」
「報酬ですが壁の修繕費に使ってください」
「わ、わかった」
「見事な戦いだったな」
派手な決闘を見せた男が頭を下げる姿に戸惑う国王。
「僕はこれで失礼します」
「お手数ですが、アークの治療もしてあげて下さい」
「…」
バタンッ
アリトはその言葉を最後に玉座の間を後にした。
(あそこまで威力が出るとは思わなかったぞ俺……)
「陛下、アーク殿を医務室へ運びます」
護衛達は担架でアークを運び、掃除などを始める。
「何者だ……あのアリトという男は…」
「父上、先ほどからどうしたのですか?」
「ミラちゃんは決闘を見るのは初めてだったわね」
「あなた…説明」
「は、はい…」
「まず決闘についてだ」
「別名を盟約と呼ぶ…」
この世界は魔物を討伐する事で報酬を得られる職業がある。冒険者だ。
冒険者同士での問題は戦闘で解決しようと考える者が多く…。
そして定着したのが決闘というシステム。
「でも父上、冒険者が一般人に決闘を仕掛けるなど問題が……」
「それは無理だ」
「盟約は双方の同意が必要」
「さらに冒険者は一般人に攻撃をしてはならない」
「そのような決まりがあったのですね」
「それと…アリトという男に怯えていましたが?」
「あぁあれはこの世の者ではない可能性がある……」
「えっ……」
「どういう事ですか?」
「城の壁を壊す事が異例なんだ」
「この城にはな……」
国王が話した事は3つ。
王城が持つ特別な力。
さらに王家の血筋が持っている力。
そして修理にものすごくお金が掛かってしまう事。
「あなた、私は部屋で待ってるから」
「ミラよ、話はまた後でしよう」
「わしはちょっとエンゼと話してくるよ……」
「分かりました」
(ママとパパは本当に仲が良いな~)
護衛の掃除も終わり、事が収った。
玉座の間から退出する3人。
だが、王女は少しニヤついた。
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