第12話 【デュエル】からの新たな出会い
アヤネとユアは【クライシスディフェンド】の効果を確認するため【デュエル】のフィールド、もとい闘技場にやって来た。
「それじゃあ、やろっか。」
「最大火力でお願~い。」
「最大火力でやっても一撃じゃ倒せないと思う。」
「そっかぁ。.....ならこれ使ってよ。【忍具生成:爆裂手裏剣】。はい。」
アヤネは爆発する手裏剣をユアに手渡しして少し距離をとる。
「良いよ~。」
「アヤネ、この距離だとまともに当たらない!!」
「え?なんで?」
「DEXにステータスポイントを振ってないから。」
「え?それって関係あるの?」
「当たり前でしょ!!器用さが0でどうすんのよ!コントロールなんて出来ないわよ。」
「へぇ、私、DEXの意味が分からなくて入れてなかったけどそういう意味だったんだ。」
「おいおい。アヤネ、弓選ばなくて良かったわね。弓選んでたら今ごろはレベル1のままで何百回も死んでるよ。」
「え!?どうして?」
「だって弓使うにはDEXが必要だから。」
「あらま。良かった、選ばなくて。」
「話がそれたけど適当に投げれば良いの?」
「えっとねー、じゃあ、上に投げて。当たりに行くから。あとユアは投げたあと、離れてね。」
「分かった。それじゃあ、行くよ?それっ。」
手裏剣が宙を舞う。アヤネの後方10mほどのところに落ちそうな軌道を描く。アヤネは直撃するように走って移動する。そして手裏剣が当たる直前にスキルを発動させようとするが、
「【クライシスディフェンド】!!ってあれ?動ける?うわっ!!」
『ドーン』
手裏剣はアヤネに刺さった瞬間、爆発した。そしてアヤネのVITが301になり、ダメージを無効化した。
「あれ?生きてる。動けない。ってことは【水遁】」
アヤネはその場に水を残してユアの隣に転移した。
「うお!!ダメージ0ってことは成功したの?」
「成功したよ。2つの意味でね。」
「2つの意味?」
「そう、発動したらちゃんと無効化するのか、って確認と硬直中にスキルは使えるのか、って確認。どちらも成功です!!」
「良かったじゃん。さてと、ここで大問題が発生した。」
「ゴクリ、そ、それはいったい。」
「負けを決めなければならない。」
「なんですと!!そんなこと......ユアが負けてくれるってことで解決。お疲れ~。」
「おい!!ちょっと待て!!ここは公平に決めよう。」
「良いだろう。」
「「なら」」
「手押し相撲で」「闘技場一周の競走で」
「「...って、それだとこっちが不利じゃん!!」」
「ダメだよ。公平って言ったじゃん。」
「公平って言ったでしょ?」
「「ちゃんとしよう!!」」
「指相撲!!」「50m走!!」
「「だ・か・ら、それだと不公平でしょ!!」」
「もう、真面目に考えてよ。公平なやつ。」
「ブーメランだよ、アヤネ。」
「「もう、分かった。あっち向いてほい(じゃんけん)!!」」
「「決まり!!」」
「どっちする?」
「じゃんけんは普通すぎたからアヤネの案で。」
「私先攻ね。あっち向いて...ほい!」
アヤネの指は下、ユアの顔は右。
「次、私ね。あっち向いてほい!!」
ユアの指は左、アヤネの顔は下。
こんな感じで2人とも外しまくること26回、ついに......諦めた。
「「よし、じゃんけんにしよう。」」
「「最初はグー、ジャンケンポン!!」」
「よしっ。」「うあ。」
ユアは拳を空に突き上げ、アヤネは2本指を地面に擦り付ける。
「アヤネ、降参って言って。」
「く、こ、こ、こうさ........ん。」
「良くできました。アメちゃんあげる。」
「いらないよ。」
「よし、戻ろっか。」
「そうだね。」
♢♢♢
アヤネとユアは【デュエル】のフィールドに行く前にいたスキルショップの裏に戻ってきた。
「このあとどうする?」
「もう買いたいものないもんね。どうしよっか。探索やダンジョンは今日はもういいや。」
「私も。」
「じゃあ、遊ぼうか。」
「遊ぶ?なにで?」
「湖。」
「え、ヤダ。私、泳げない。」
「ここはゲームだから溺れて死んだりはしないから大丈夫。」
「却下!!」
「じゃあ、............別行動にする?」
「そうする?」
「そうしよっか。」
「わかった。またね。」
「またね。」
ユアがどこかに歩いていく。アヤネは少し考えると思いついた。
「そうだ!!忍具の大量生成をしよう。」
MPポーションを買った理由である【忍具生成】をすることにした。
「とりあえず19個作れるから作ろっか。配分は麻痺が......8、爆発が......6、毒が......5、で良いかな。麻痺が一番使い勝手良いし。【忍具生成:麻痺手裏剣】。ここに置いといて。MPポーション使って。【忍具生成:麻痺手裏剣】━━━━━━。」
この作業をMPポーションとMPが切れるまで続けた。
するとそこにユアからメッセージが届いた。
♢♢♢
一方、ユアは
「別行動にはなったものの、どこ行けばいいのかわからん!うーん、生産職の人とコンタクト取っとこうかな。作って欲しいものが出来たらお願いするために。よし、そうしよう。って言ってもどこに行けばいいんだろ。ま、いっか。」
目的はあるのだが放浪していた。が、1つの建物に目が止まった。
「ん?あれってもしかしたらもしかするんじゃない?」
ユアの視界に入ってきた看板。〘サティ工房〙。
ユアはとりあえず入ってみることにした。
カランカラン
「すいませーん。」
「はーい、いらっしゃいませぇ。あなたが最初の来店者よ。おめでと~う。」
建物の中に入ると20代前半くらいで髪が肩甲骨くらいの長さの女性がいた。
「ありがとうございます?」
「それで、来た理由は~?」
「あ、その、作って欲しいものが出来た時に作ってもらおうと思って、入ってみました。」
「じゃあ、フレンド申請をしときたいってことぉ?」
「あ、はい。そういうことです。」
「分かった。良いよぉ。はい、申請したよぉ。」
「はい、承認しました。ありがとうございます。」
「良いのよぉ。お客様、第1号なんだから。」
「まだ何も買ってないですけど。」
「これからよろしくねぇ。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
「それはそうと、あなたの装備って【ONLY ONE】シリーズだったりするぅ?」
「あ、そうです。友達と一緒に攻略したダンジョンでドロップしました。」
「2日目なのに凄いわねぇ。それじゃあその友達はどこに?」
「さっき別行動になって。あ、呼びましょうか?」
「呼んでくれるのぉ?」
「はい。あ、ちなみに友達も【ONLY ONE】シリーズですよ。」
「あら、あなたとその友達、レベルは?」
「私は9ですけど、アヤネは......11は超えてるけどそれいじょうはわからないです。」
ユアはアヤネにメッセージを送りながら答える。
「聞いた私が馬鹿だった。」
「すぐ来るそうです。」
「ホント!?やったぁ。」
「サティさんはどうして生産職に?」
「私はねぇ、幼い頃からものを作るのが好きでゲームの中でも何かを作れるなら作りたいなぁと思って。」
「そうなんですね。」
「そうなの。仕事はあんまり作らないんだけどね。」
「そうなんですか。」
2人が会話に花を咲かせているとドアが空いた。
「いらっしゃいませぇ。」
「アヤネ、来てくれてありがとね。」
「大丈夫。それで生産職の方?」
「あ、サティって言います。」
「よろしく。とりあえずフレンド申請送ったよ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
「?サティさん、どうして声が強ばってるの?」
「え?あ、ちょっとね。装備にちょっと驚いただけよ。よろしくねぇ、アヤネさん。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
このゲームを始めてから初めてユア以外のプレイヤーと話したアヤネと初めてアヤネ以外のプレイヤーと話したユアだった。
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