第7話 オケラからのボス部屋発見!!
「またあるね、セーフティゾーン。」
「そうだね。次がボスだったら良いんだけど。休憩いる?」
「いや、大丈夫。」
「じゃあ、そのまま降りちゃおう!」
「おー!!」
2階層目のセーフティゾーンに到達した2人は休憩なしで3階層目に降りることにした。
「次はどんなのが来るかな?」
「虫ばっかりだもんね。」
「うん、しかも気持ち悪いのばっかり。虫でも良いから気持ち悪くない虫でお願いしまーす。」
「気持ち悪くない虫ってこの世に存在するのかな?」
「..........蝶々。」
「すごい間があったけど.....そうだね。蝶々はきれいな種類もいるからね。まあ、地中にはいないけどね。」
「あ、確かに、そう、だね。」
「でも、何が来ても頑張って倒してね。」
「うん!!ってあれ?今、倒してねって言った?おかしくない?ちょっとアヤネも一緒に倒してくれるんだよね?アヤネ?おーい。何か言ってくださーい。」
ズシンッ
「「うわっ!?」」
2人の会話が一区切りついたところで突然、地面と壁が揺れ始めた。
「な、なに?」
「わからない。けど油断せずに行こう。」
「うん。」
しばらく進んでいると次第に揺れも大きくなってきた。
「アヤネ、結構、揺れてきたね。」
「うん、敵が近いのかも。」
敵に近づいていると聞いて一層、気を引き締めたユアとアヤネに後ろから突進してくる何かがいる。それにいち早く気付いたのがユアだった。
「アヤネ、後ろから何か来てる.....気がする。」
「え、後ろから?」
来てないだろうと思いつつも後ろに視線を向け、【千里眼】を使うと後ろからオケラに似た何かが突進してきていた。
「うわっ!!ホントだ。オケラ......かな?あれ。」
「どうする?進む?戦う?」
「どうしようか、ちょっと考える。」
(あれを放置して進んで揺れの原因となっているモンスターと戦っているときに後ろから乱入されたら面倒くさいし、ここで倒しといた方が後々、楽になる.....かな。)
「よし、倒そう。」
「わかった。」
2人は後ろに振り返り、歩き始めた。
「ところで、どんなモンスターなの?」
「オケラみたいな虫。」
「はあ、また虫か。」
「1階、2階の両方とも虫しか出てきてないのにこの階だけ虫以外はないと思うけど.....。」
「私たちの目的の【ONLY ONE】シリーズがここで出たとしても虫じゃないよね。」
「・・・・・・チガウヨ、キット。」
「間もあるし、カタコトだし、不安になってきたんだけど。私、絶っ対に着ないからね、虫だったら。」
「虫じゃないって信じよう。ね?」
「うん、信じる。」
「ほら、来てるよ。泣いてないで集中。」
「はーい、私はとりあえず斬りに行くよ?」
「うん、お願い。」
ユアはオケラに向かって走り出し、アヤネはオケラの攻撃パターンを観察するために【隠密】を使い、オケラのモンスターに近付いていった。いつでも【水遁】か【火遁】を使ってユアを助けれるようにユアとモンスターとの距離を保ち、オケラの様子を窺う。そして、ユアがモンスターの平たい前脚をかわしながら斬って、斬って、斬りまくってHPゲージの色が黄色になるまで減らしたときオケラモンスターが土に潜った。
「どうしよう。潜られたらどこにいるか分からない。」
「ユア、とりあえずそこにいて。」
アヤネはそういうとユアの周りの地面や壁を見始めた。
モンスターが地面や壁から出てくるときは前兆があるはず。その前兆さえ見つければ攻略は簡単になる。
と考えつつ、ユアの足下を見たときに変化を見つけた。
「【火遁】!!」
ユアの周りを火のカーテンが取り囲むと同時にユアがアヤネの隣に転移する。
「アヤネ、何か見つけた?」
「分からない、けどユアの足下にさっきのモンスターの触角に似━━━━━」
━━━━たものがあった、と言おうとした時、火のカーテンに突っ込み、ダメージを受けているモンスターがいた。そう、さっきのオケラ型モンスターだった。
「私の考察は合ってたみたいだね。」
「じゃあ、次に潜ったときもよろしくね。」
「自分でもちゃんと探してよ。」
「あとちょっと削ってくるよ。」
「はーい、頑張って。」
「アヤネも削ってくれて良いんだよ?」
「私はユアの援護担当なので。」
「はあ、まあ、いっか。」
ユアはもう一度オケラに斬りかかって、アヤネはユアを助ける準備だけして観戦する。
ユアはさっきと同じように振るってくる平たい前脚をかわしつつ斬る、を続けているとオケラ型モンスターのHPゲージが赤色になった。
「次は何をしてくるかな?」
少しワクワクしながら独り言ちるユアだが直後、表情は驚愕に染まった。オケラが前脚をユアとアヤネがいる方向に向け、高速で回転し始めたのだ。
「!こ、このまま突進して来る訳じゃないよね?」
オケラ型モンスターはユアの推測通りの攻撃をしてくる。対してユアは推測はできても回避する術を持っていない。驚きとそれが重なってその場から動けなかったがその横を1人の人物が通り過ぎた。
アヤネはオケラ型モンスターが前脚を自分たちの方に向けた瞬間にユアと同じ推測をした。そして回避する方法を瞬時に思い付き、オケラ型モンスターに向かって走り出した。
オケラ型モンスターの前脚がアヤネに当たるギリギリのところでスキルで回避に成功した。
「【変わり身】」
アヤネがいた場所には薪が現れ、アヤネはオケラ型モンスターの後ろに現れた。
ユアはアヤネがオケラ型モンスターに向かっていくのを見て「何してんの?」と呟いていた。
(さすがにアヤネでも回避は無理でしょ。あの前脚のせいで通れるところなんてないじゃん。回ってるし隙間ができても潰されるよ。)
と思っていたがアヤネが薪になった瞬間、「あ、そういえば。」と納得した。
「私はここで待ってれば【水遁】使って助けてくれるだろうから待機しとこ。」
その言葉通りオケラ型モンスターに当たる直前でユアの前に水のカーテンが現れ、ユアはアヤネの横に転移し、モンスターにもダメージを与えて水は消えていった。
「アヤネが突っ込んでいった時は自殺しにいったのかと本気で思っちゃったよ。」
「私はそんなことしないよ。現実でもゲームでも自殺しないし、仲間は見捨てない。そして私に出来る精一杯のことをやり遂げる。」
「今は、ちゃんとやり遂げたね。」
「じゃあ、次はユアの番ね。」
「任せて!!」
気合いたっぷりで駆け出したユアは残り僅かとなったオケラ型モンスターのHPを最後まで削りきった。
パリンッ
「お疲れ、ユア。」
「お疲れ、アヤネ。」
2人はお互いに労い合うと元の進行方向に歩き始めた。
「アヤネ、さっきはよく、思い付いたね。」
「まあ、自分のスキルだし、すぐに思い付かなかったら私は【忍術】を譲るよ。」
「言ったね?」
「欲しい?」
「私はいらない。」
「そっか。あ、レベル上がってない?」
「上がってる。7になった。」
「ほとんどのHP削ったもんね。」
「そうそう、ほとんどのHPを削らされたの。」
「じゃあ、もうここから先は1人で充分だよね。バイバーイ。」
「!待って!!ごめんなさい、調子に乗りました。すいませんでした。お許しください。」
「ほら、早く行くよ。」
「アヤネが原因でしょ。」
「バイバ━━━━━」
「行きます!!」
「見て、前。」
「はい。って......扉?」
オケラ型モンスターを倒してしばらく進むと2人の目の前に大きな扉が現れた。
「これって......」
「ボス、だろうね。」
「やっとか~。大変だったからな~。」
「浮かれるにはまだ早い。ボスを倒さないと。【ONLY ONE】シリーズが出てくるとは限らないし、最後だから気を引き締めて!!」
「了解っ!!」
「HPとMPは回復しといて。」
「大丈夫。」
「それじゃあ、このダンジョンのボスを倒しに行きますか。」
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