第3話 初ダンジョンからの発覚
結構、頭を使いながら戦った忍者との戦闘を思い返していると、部屋の中央に宝箱が置いてあり、その横に大きな結晶が浮かんでいることに気が付いた。
「あ、報酬?やったー。私はあの忍者が使ってたスキルをくれると嬉しいんだけどなあ。.........オープン。」
そんな希望を胸に宝箱を開けると中には服やら武器やらがぎっしり入っていた。
「おぉー、お?」
<スキル【忍術Ⅰ】を取得しました>
<スキル【忍術Ⅰ】によりスキル【火遁】、【水遁】、【千里眼】、【隠密】を取得しました>
<Lv.9になりました>
「レベル9になったかあ。それとスキルが、【火遁】と【水遁】はあのカーテンみたいなのでしょー、【千里眼】は遠くを見れて、【隠密】が気付かれにくくなる感じ、かな。うん、めっちゃ便利!!それから宝箱の中身ね。えっとー?この短剣は」
【双忍刀】
STRが20増える。【忍術】のレベルがMAXになると、さまざまな特殊効果を発揮する。唯一無二の存在。破壊されてもすぐに元通りになる。
「なるほど。スキルレベルを上げないといけないんだ。まあ、気付いたら上がってるでしょう。この服は」
【忍装束】
これを着ているとVITが40増える。唯一無二の存在。破壊されてもすぐに元通りになる。
【忍装足】
AGIが20増える。隠密効果を高めてくれる靴。唯一無二の存在。破壊されてもすぐに元通りになる。
【忍頭巾】
思考速度が1.5倍になる。唯一無二の存在。破壊されてもすぐに元通りになる。
「うーん、じゃあこれからはこの服で活動しとくのがいいかな?まあ、これ以外の服は今着てる初期装備だけなんだけどね。これでおしまいかな?ならとりあえずこの装備に変えとこう。メニューを開いて装備変更っと。」
足元からだんだんと装備が変わっていく。全身の装備変更ができたところでタッチパネルが出てきた。
[色の変更]
【忍装束】、【忍装足】、【忍頭巾】の色を変更できます。ただし、色は1色で統一されます。
[青] [赤] [黒] [白] [黄] [緑] [灰] [茶]
「どれかを選べってことかな?うーん、忍者だし、やっぱり目立ちにくい色が良いよね。でも地味なのもイヤだなー。うーん、そうすると赤か青か緑かなー。フィールドには緑が多いし、隠れるなら緑が隠れやすいかな?でも、青と赤も捨てきれない。うーん、えー?どうしよう。」
悩み続けること15分。
「よし、決めた。緑にする。」
[緑]を押すと装備の色が深緑と黄緑のちょうど中間でちょうど良い緑に変わっていく。
「よし、装備ちゃん。これからよろしくね。あ、もうすぐ17時だし、終わろっかな。」
宝箱の横に浮かぶ結晶に触れると転移の光が身体を包み、ここに来るきっかけとなった木の前にいた。
「一応、町に戻ってからログアウトしよう。【隠密】」
さっき手に入れたばかりのスキルを使いながら走ることでモンスターが近くにいても襲われなくなった。
「スゴいね、このスキル。全然、襲われないよ。これなら予定より早く帰れそう。」
その後もモンスターに襲われることはなく、安全に町へと帰還した。
「ちょうど17時だね。メニュー出して、ログアウト、と。」
アヤネは足元からエフェクトを出して消えていった。
◇◇◇
現実世界に戻ってきた茜はリビングにいる母親に「ただいま。」と言って自分の部屋に戻ってきた。そこでスマホに不在着信があることに気づいた。
「ん?2時間前に不在着信。葵あおいからだ。掛けた方が良いよね。『テンテンテン、テンテンテン、テンテンテン、テンテンテテン、テンテンテン、テンテンテン、テンテ』もしもし?どしたー?なんかあった?」
『ううん、何もないよ。』
「なんか用、あった?あったならごめんね。さっきまでゲームしてたから。」
『それってFSO?』
「うん。そうだよ。」
『ホント!?ならさ1つお願い聞いてくれない?』
「なにー?したいとか言ってもムリだよー?」
『そうじゃなくて、私も予約できたの。だからさ、そのフレンドなってほしいなって。ダメ...かな?』
「葵も買えたんだね。フレンドくらい良いけど、まだ全然弱いよ?」
『良いよ、強さなんか。楽しくできれば。』
「分かった。じゃあ、明日の9時にゲーム内の噴水前に集合ね。」
『うん、分かった。ありがとう。』
「はーい。じゃあ、また明日ね。バイバーイ。」
『バイバーイ。』
「『ピロン』。へえ、葵も買えたんだ。リアルの友達とするのには時間がかかると思ってたけどラッキー。うーん、なんか情報探してみようかな。せっかくの機会だし、2人でどっか行きたいもんね。」
明日の探索をに思いを馳せていると階下から母の声が聞こえた。
「あかねー、今日パルクールの日でしょー?早く行きなよー。」
「はーい。タオルと水筒とパーカーと一応シューズ入れて、よし行こう。」
母の呼びかけに答えると手早く準備を済ませる。
「あ、パルクールで葵に会えるじゃん。その時に相談しよう。」
茜は階段を降り、玄関まで行く。
「忘れ物は.....ない。行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。」
家を出て、自転車に跨がる。自転車を漕いで10から15分程度の距離にあるパルクール練習場に向かう。
「『FSO』は今日リリースされたばっかりだし情報を集めるの難しいよね。どこかに良いところあれば良いんだけど。」
ずっと明日のことを考えながら漕いでいると目的地に着いた。
「葵、もういるかな?」
ウィーン。
「あ、葵ー。」
「茜ー。どうしたの?」
「明日、どうする?」
「?どうするって、何を?」
「フレンド登録したあとのこと。せっかくだし、2人で探索するのも良いじゃん?」
「あ~、理解した。それでどうする?か。なるほどなるほど。でもさ、今日リリースされたばっかりでしょ?あんまり観光って感じのところは見つかってないでしょ?」
「そうなの。だからどうしようと思って。」
「まぁ、明日考えれば良いんじゃない?」
「そうだね。そうしよっか。」
「おーい、みんな練習始めるぞー。」
『はーい。』
「じゃあ、続きは練習後にね。」
「うん。」
♢♢♢♢
パルクールで動き回ること2時間。
20時になったところで練習は終わった。
「今日はこれで終わりだ。気を付けて帰れよー。」
『ありがとうございました。』
「茜~。」
「あ、葵。とりあえず装備だけは知っとかないと困ると思うから教えて。」
「うん!とは言ってもまだログインしてないから初期装備なんだけどね。」
「えっ!?そうなの?じゃあ葵が私を見つけてね。私、忍者だから。」
「えっ!?忍者?どうして?だって今日リリースされたばっかりだよね?もしかしてもう買ったの?」
「違うよ~。たまたまダンジョンの中に入って、そこをクリア?したら貰えたの。」
「早くない?レベルは?」
「そのダンジョンのボス?かな、それ倒したら9になったよ。」
「9!?早い、早いよぅ。どれくらいやってたの?」
「えっとねー4時間。」
「うん、分かった。もう聞かない。それで、とりあえず明日の9時に忍者を探せば良いのね?」
「そう、あ、あと緑色だから。」
「りょーかい。じゃあまた明日。」
「うん、またあ明日。......さてと私も帰ろうか。」
程なくして家に帰った茜は晩ご飯を食べ、お風呂に入り、テレビを見て、歯磨きをしてベッドの中に入る。
いつもならこのあとはスマホを触って過ごすのだか茜は手に持っているスマホと机の上に置いたVRギアを交互に見る。そしてスマホを机の上に置き、VRギアを手に取るとベッドに倒れ込む。VRギアを装着して意識を『FSO』の中に移していく。
それから1時頃に帰ってくるとすぐに夢の中へ意識を移していった。
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