第2話 睡蓮町のレオ様
「じゃあ、また明日放課後来てくれない?」
「わかりました、部長に伝えておきます」
「そういえば…まだ君の名前を聞いて…………」
「もねぇぇぇぇぇー-----一緒に帰ろうぉぉぉぉぉー---」
え?誰?というか声大きい。
僕たちの会話に知らない女の子が入って来た。
後ろを振り向いてみるとハーフツインのいかにもギャルっぽい女性だった。
髪は金髪に染めていて、ピンク色のリボンでまとめられていて、爪にはショッキングピンクに塗られていた。つけまつげと黒色のアイラインの主張が激しい。
「ちょっと、景子ったら声が大きいよ」
「ごめんってば、萠音ちゃん機嫌直して、てっへ」
「てっへで済ませば何でも許せると思ってるの?」
その景子という女性は夜叉川先輩とは全然タイプの違う容姿だし、それに夜叉川先輩はあまりほかの人とつるんでいるのを見たことがない人がほとんどだ。
「ねえねえ萠音、誰と喋っていたの?」
「演劇部に所属している一年生だよ」
「そうなんだ……あー--------!」
「どうしたの景子?人に指を刺して」
「睡蓮町のレオ様じゃん、私めっちゃファンなんだよね、こんなところで会えるなんて、私めっちゃラッキー」
マジか、この人中学の頃の僕を知っているか、それは予想外だった。
中学時代の僕を知っているのはこの睡蓮高等学校付近の地域は無いと思っていたが…
「ねえねえ、景子その睡蓮町のレオ様ってそんな有名なの?」
「え!有名も何もこの高校に睡蓮町のレオ様が入学するって女子の間じゃすごい話題だったよ」
「ふうん、そうなんだ。確かにこの子綺麗な顔立ちしているなあとは思っていたけど、そんな有名人だったのね。でもなんで睡蓮町のレオ様なの?確かにレオナルド・ディカプリオみたいに顔立ちは整ってるけど、髪色も違うし、瞳の色も…」
「名前が蒼井玲央だからだよ」
「なるほど、確かに演劇というのも共通してるね」
「それにそれに、レオナルドディカプリオ並みにお芝居も凄いんだよ。中学生の頃から天才俳優と言われたくらいにね」
「へえー」
「もう、萠音ったらもう少し興味を持ったら?イケメンでお芝居が上手で天才こんなの女子放っておかないでしょ」
「まあ、確かにね」
興奮気味の景子先輩に対して、夜叉川先輩はとくに驚きもせずただ相槌しているだけ。
「あの、お言葉なんですがそのあだ名というか睡蓮町のレオ様はやめていただいてもらえませんか、少し恥ずかしいというか…」
「そうなんだ、じゃあ玲央君って呼んでいい?」
「ええ、まあそれなら」
少しはマシにはなるな
「やったー」
素直に喜ぶ景子先輩。
「じゃあ、私もそう呼んでいい?」
首を傾げながらそう聞く仕草は少しミステリアスで高校生とは思えない雰囲気で僕は意識を持っていかれた。
「ええ、先輩がそう呼びたいなら」
「ふふ、ありがとう。じゃあ玲央君よろしくね」
優しく微笑む夜叉川先輩
その微笑みの中にどんな想いが潜んでいるかなんて僕はまだ知らなかった。
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