第23話 冒険者にも優遇処置を

前日、俺は武器の鑑定が終わった後にルーシーと仲良くなるために会話をしようとしたんだがなぜか俺よりもルーナの方が仲がいい感じだった。いや、仲がいいって言ってもちょっと話すぐらいの関係で見て取れるが、全くしゃべらない俺とは違う。俺は主人なんだけどな、奴隷が友達と仲良くする分には別に構わない。俺はそのままシャワーを浴び、就寝した。


翌日、俺は早めに起きて朝食の準備をしていた。ルーナも早めに起きたんだが、来月で14になるためそろそろ学園の準備をしとかないとと言っていた。え、14で確定学園なの?俺15だよ?あ、16からなのね。それは絶対っすか?そうっすか絶対っすか。行きたくないが、世間の道には進まなければいかない。俺ももう少し常識を1年で学ばないとな。ルーナの誕生日は?8月2日か。来月だな。俺か?俺は知らん。なんか誕生日っぽい火はステータスが色とりどりになるからそれで判断してる。はい、ちゃんと祝いますから。俺はもう終わってるから祝うんだったら来年な。そんな会話をしながら俺はキッチンに立つ。


俺は旅前に買っていた食材をバックから取り出す。ジャガイモとバターだ。あんまし食費をかけたくないため今日はじゃがバターだ。ジャガイモを水でよく洗い、焼き目がつかないように少しジャガイモを焼き、蒸し焼きする。その間にバターを取り出し、適量にカット。食塩も取り出し、蒸し終わるのを待つ。終わったらジャガイモを十字型に切り込みを入れてそれぞれバターを入れる、そして食塩をかける。俺はバターが少し溶けていた方が好きなので火の魔法で少しだけバターを炙っておく。完成。


「ルーナ、すまんがルーシーを起こしてくれ」

「私勉強してる」

「知ってる。学園なんて俺が先に入るんだがらお前は最悪大丈夫だ。むしろ俺の心配をしてくれ」

「はいはい、ルーシー。起きて」

「ん?はっ!すいません!こんなに長く眠ってしまって!」

「別に大丈夫だよ」

「大丈夫ではありません!ベットというものを使わせていただいたのに先に起きないな...んて」

「どうした?」

「何も、されてない?」

「え、シリル何かしようとしたの?」

「してないしてない」


ルーナがルーシーをゆすって起こすと、ルーシーは少し眠そうな声を出したが何かを思い出すとともにものすごい速度で飛び起き、俺に謝ってきた。別に俺は大丈夫だと言ってが全く聞く耳を持ってくれない。そして、何か謝罪の途中で言葉が詰まった。すると急になにもされていない(意味深)と言い出した。え、どういう意図っすか?ルーナにも少し冷ややかな目で見られたのでしていないという大事なことを2回言って否定。信用なさすぎかな俺?


「な、何でもありません!」

「そ、そうか。とりあえず飯で来たから全員食べろ」

「めんどくさい」

「次にギルド行って依頼受けるんだからエネルギーとっておけ」

「い、いいんですか?」

「さっきも言ったが、俺は奴隷常識を知らないからな。俺の中の常識でルーシーは生きてもらう」

「こ、殺したりしないんですか?」

「殺すために買ってたら白金貨5枚使って買わねぇよ....」


めんどくさいというルーナになぜか食べてもいいのかと聞いてくるルーシー。俺とほかの奴隷常識はそこそこ、行け結構離れているようだ。殺したりしないんですかって、俺はサイコパスじゃないぞ。俺は否定をしながら去れを器用に3つ持ち、テーブルに置いた。ルーシーは恐る恐る椅子に座り、ジャガバタをまじまじと見た。


「ちゃんといただきますしろよ、朽ちた国育ちのやつに言われたくないと思うがな」

「「いただきます」」

「うん、やっぱりシリルのご飯おいしい」

「お前俺の食うの初めてじゃないか?」

「あったかい....です」

「そりゃ出来立てだからな」


ルーナなんか俺の前の食生活みてすっげ引いてたじゃん。俺の勘違いっすか?そう思っていると、ルーシーが少し涙目でジャガバタに感動していた。あとから忘れたように敬語をつけ足して、俺はその反応に突っ込みで対応。そういうと、ルーシーはペロッとジャガバタを食べきった。ルーナも俺もそれに追いつくように食べきり、ごちそうさまをした。


「お粗末様、すまんな。今はこれくらいしか作れない」

「大丈夫です、今の私には十分すぎる食事です」

「そうか、ならよかった」

「シリル、行こ。ギルド混む前に」

「そうだな....ルーシーって武器持ってるか?」

「いえ、持っていません」

「そうか、じゃあ手出してくれ」

「こ、これは」

「ただのクナイ」

「ただのクナイだとは思えないような気が....」


俺はお粗末と謝罪をした。ルーシーは大丈夫と言ってくれた。ルーナは今頷いた気がするが気にしないが吉だ。すると、ルーナが早くギルドに行こうとせかしてくる。俺は賛同して、ルーシーに武器を持っているか聞いた。今はエルフ、一応俺のローブを着せるがもしフードがとれてしまったら誘拐されるこの上ない。一応武器を持たせた方がいいだろう。俺は持っていないと言っているルーシーの手にクナイをのせた。さすがにランクは避けておくが、見た目からしてただ物ではない武器が悟られている。返される前に行くか。俺は渡してすぐに宿を出て、ギルドに向かった。



やはり前回はギルド長や受付嬢がいなかったせいで居酒屋みたいになってたらしい。依頼が張り出されている部分にはそこそこの人達がたかり、席の方では基本的なパーティーは作戦会議的なことをやっている。しかし、俺たちが来たことによってその作戦会議や依頼吟味も変わり俺たちを見ることに集中砲火している。いや目的はルーナだということはよくわかるがここまでナルト自意識過剰になる。すると、ルーナが俺によってきた。


「どうした?」

「防衛」

「何の?」

「私はシリルを狩る獣をけている」

「お前は何と戦ってるんだよ」


ルーナは女性になぜか敵意を見せている。俺のことを見つめている女性が多いため、パーティーに誘われないようにしてくれているのか?だったらありがたい。俺は何なのかよくわからないルーナの守りを受けながら受けつけにいく。4つあるうちの右から2番目、行ってみると昨日会った受付人がいた。


「あ、おはようございます」

「おはようございます、今はギルド長などはいますか?」

「はい、いらっしゃいますので冒険者登録も可能です。そちらのローブを羽織っている方もですか?」

「いや、大丈夫だ。とりあえず俺とルーナだけで」

「分かりました。ルーナ様はほかのギルドで冒険者だったと思うのでログイン的な形になります」

「分かりました」

「では、新規登録ですね?」

「はい、分かりました。ではこちらに署名。メイン武器とサブ武器、分かるのであればランクも教えていただきたいです。あと、魔法適正と得意術式、ご自身が得意な特殊魔法もわかる範囲でご記入ください。奴隷がいる際にはここに名前だけお書きください」


俺は1度ルーナと離れ、ルーナは冒険者のログイン的なことを行っているらしい。俺は近くにあるペンを取り、新規登録を開始。普通に自分が知っていることを書くだけなので作業は単純。武器のランクを書くのは少し渋ったが、新規登録のため一応書いておいた。結果、書き終わった結果が下にある


紙⇩

・署名

シリル

・メイン武器

霊柩れいきゅうの鎌】ランク・DOUBLEダブルZゼータ

・サブ武器

閑静かんせいのクナイ】ランク・Zゼット

強欲ごうよくのバタフライナイフ】ランク・Zゼット

・魔法適正

炎、泉、岩、霹靂、疾風

・得意術式

無詠唱術式、署名術式(研究途中5割)、召喚術式(研究途中8割)

・特殊魔法

分からない。おそらく作ろうと思えば作れる(重力魔法、時空魔法、身体強化魔法、空魔法など)

・奴隷

ルーシー


こんな感じだ。正直説明を聞いて特殊魔法の説明はよくわからなった。まぁつまり魔法適正以外の魔法は何か使えますかってことだと思ったので、研究すればできると思う魔法をある程度書いてみた。ほかにも透明化とか考えてみてもいいかもしれない。そんなことを考えながら、俺は紙を提出した。


「ありがとうございます、確認してよろしいですか?」

「はい、問題はないと思います」

「かしこまりま.....」

「シリル何か変なのかいた?」

「ルーナは終わったのか?」

「終わったけど、固まってる」

「変なのを書いたつもりはないんだが」


俺は受付人...ネームプレートにアグネスと書いているのでアグネスさんと呼ばせてもらう。俺はアグネスさんに紙を渡して、見ても大丈夫と言ったのだが、見てもらった瞬間にアグネスさんが固まった。俺個人は何もしていない気がする。


「すいません、シリルさんで間違いないですか?」

「え?あっはい」

「では、こちらに来てください」


俺の名前を再確認してくるアグネスさん、ちゃんと本名なのでしっかりそうと肯定すると、奥の階段へと案内された。心なしかアグネスさんが少し震えていた気がする。アグネスさんは俺の答えを聞かずにそのまま階段を上っていった。俺はルーナとルーシーを交互に目を合わせた。ルーシーは全くしゃべってないが、しゃべってもよいと言っていないからだろうか?ルーナは俺のことを見て静かにうなずいている。俺はため息を小さく吐きながら階段を上っていった。


階段を上るといくつかの部屋があり、すぐ近くの右の扉の前にアグネスさんは立っていた。


「今からギルド長と少し話してきます、少しお待ちください」

「え、俺なんかやらかした?」


ギルド長と話してくると言っているアグネスさん。ギルド長は国の中で1人。普通にすごい偉い人だ、髪を提出しただけで呼ばれるということは相当俺はえぐいことをしてしまったのかもしれない。俺は今までしてしまった悪いことを挙げてみる。奴隷を買った、質屋の武器を買う前に鑑定してしまった...これくらいしか思い浮かばない。質屋に関しては他国だしさすがにわからないとは思うんだが。そんなことを考えていると、ドアが開きアグネスさんが出てきた。


「どうぞ、お入りください」

「し、失礼します」


アグネスさんは俺に入っていいというと、すぐにドアの横に移動、そこから微動だにしなくなった。周りはパステル王国と変わらぬギルド長部屋だが、ギルド長が少し若いって感じだ。30代くらいだろうか。


「ようこそ、シリル君。ではそこに座ってもらって」

「は、はい」

「パステル王国のギルド長から聞いているよ、君の存在は」

「え、そうなんですか?」

「そうだよ、何なら割とギルド内ではそこそこ有名だよ。あのDOUBLEダブルZゼータ危険区域の生存者。冒険者の中でも有名でね、異名まである。狂気のように戦う姿、あの超危険区域でも生き残る強さ、『不死身アンデット狂戦士バーサーカー』と言われいている」

「不名誉この上ない異名ですね」


ギルドからは基本的な情報はいろいろな場所に回っているようで、ここのギルドの冒険者たちはシリルという名前は聞いたことがあるらしい。でも、俺は『鬼神化』を使って戦ったのはルーナとアーロンの前だけだぞ。


「ルーナ、漏らしただろ?」

「な、何のことかわからない」

「お前なぁ」

「まぁまぁ、ここでは別に不遇な待遇をさせてもらうわではありません。むしろ逆です。あなたからは冒険者DOUBLEダブルZゼータランクからのスタートです」

「何故に?」

「あなたのような人はしっかりとした評価でランクを渡したい」

「本音を言うと?」

「この国の難しい依頼をじゃんじゃんこなしてほしい」

「ルーナ、これは大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思う、実際のところシャルロッテはS級から始めてるから。ほんとに強い人にはちゃんとした対応をすることにギルドはしていると思う」

「そうか....あと1つ言う。ルーシー、座っていいんだぞ」


さっきから普通に会話していたが、ルーシーは俺の後ろでずっと立っている。全く会話に干渉してこないのにここでずっと立っていたらきついだろということで俺ルーシーに声をかけた。するとルーシーはビクッと体を身震いさせ、口開いた。


「命令ですか?」

「命令ではないが、俺のことを考えてかわからんが全くしゃべらないだろ?しゃべらないっていうの考えてしゃべるのより俺はきついて思うからここら辺は座ってリラックスしたほうがいいかと思ってな」

「.....かしこまりました、では座らせていただきます」

「お話はいいですか?」

「すいません、止めてしまって」

「問題ありません、ではDOUBLEダブルZゼータランクからのスタートでいいですか?」

「はい、大丈夫です」

「『冷血の執行人ブリザードエグゼキューター』には聞かないんですか?」

「ここで口出ししたら私が死にます」

「これはまた、さすが『不死身アンデット狂戦士バーサーカー』ですね」

「言いたいだけですよね?」


命令ではないというと、ルーシーは少し....感動?を映した顔で俺の隣に座った。もう1度しかっかりギルド長が確認を行ってきたので俺は了承した。そして、俺はDOUBLEダブルZゼータランクのスタートが始まった。


「ちなみに、冒険者ということでニックネームがつけられますがどうしますか?『不死身アンデット狂戦士バーサーカー』にします?」

「いいです!」

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