後悔の始まり
閑話 死亡原因(第三者視点)
「ルキアルア王国跡地の魔物の出入りがなぜ少なっている?」
大きな窓には雨が降っている。部屋の中は暗く、雷が光るときに部屋が視認できる。大きくドスが聞いた男の声が部屋中いっぱいに響き渡る。声から不機嫌なことが聞いて取れるくらいだ。その男に向かい片膝をつき、完全に忠誠を誓っている部下らしき人間の
「わかりません。ルキアルアは私たちにも危険と忠告されているため内部の調査はまだ行っておりません」
「何故だ?時間は与えたはずだ」
「しかし、あの中には私たちでも到底敵わないよなオーラがにじみ出ていました。もしかすると、そちらが原因になっているかと」
「分かっているならなおさらだ。せっかく放った魔物なのだ、その原因となる者を始末してこい」
「は!」
ルキアルアの内部は危険だという部下に対して、全く聞く耳を持たずに原因となる者を始末することしか考えていない。しかし、部下は気づいている。その内部にいるものの力は尋常じゃないことに。外側、壁の外からもわかるほどの気迫がある。それを伝えると、男は魔物をこれ以上減らされたくないため部下に始末を命令した。
部下らしき者はは御意という返事を簡潔に行い、その部屋から姿を消した。男も、周囲に生物がいないことを確認するとその部屋から離れ、別の部屋へと移動した。
「内部を確認する。バレないようなるべく私語は慎むように」
「「「了解」」」
8人近く、全員が全く同じローブを羽織っている。そのローブはフードに赤色の刻印が刻まれており、ど真ん中には何かのマークが飾られている。1人が仕切り、残りの7人がその言葉に同意。8人は4つの2人組に分かれ、かべのちょうじょうから飛び降りた。8人のトップと思われる者は西側を調査。
「所々に血痕がある」
「調べますか?」
「いや、おそらくこれはエリートゴブリンのだろう。時間がもったいない」
「了解いたしました....隊長、あそこにキングワイバーンがいます。一時撤退しましょう」
「本当か?」
「はい、すぐ左の40メートル先です」
「分かった。もう少し調べた後、東側と合流するぞ」
男たちは血痕、ワイバーンの羽の傷跡などありとあらゆる場を調査した。しかし、よい証拠はなくただの探検見たくなってしまった。男たちは東組と合流すべく東に向かった。東組にはすでに残りの2組は集合しており、パステル王国の騎士団の死体が大量に転がり落ちていた。
「なんだこれは?」
「生きてる状態で見つけたの~」
「殺したのか?」
「そうだよ~、私たちが魔物を減らしていたのは君たち?って聞いてもいい情報持ってなさそうだったから~全員殺しちゃったな~、み~んな弱かったよ~」
「はぁ、お前は少し歯止めがきくように努力しろ。頭が消し飛んでるではないか」
「え~だって~」
東組と残りの組がこの何十人もの騎士を殺したらしい。こいつらはめぼしい情報を持っておらず、そのまま殺した。そう言ってる女は顔がいつも紅潮しており、騎士たちの戦闘はすぐ終わったけど楽しかったと物語っている。女は手についている血をなめとり、目がトロっとしている。そうしていると、後ろから声が聞こえてきた。7人の騎士だ。
「君たち...何をしている!」
「その特徴的なローブと紋章、『アサシン』か!?」
「っへへ、そうだよ~。僕たちがアサシンだ」
「おい、何を言ってるんだ」
「どうせ殺すから問題ないでしょ~、ねぇねぇ騎士さんたち、私と一緒に殺しあいしようよ!」
「望むところだ!我ら有志ある騎士団が極悪非道なアサシンを殺して見せよう!」
「っははは!いいねいいねノリいいねぇ!たぎるぜぇ!」
女は興奮を隠しきれずに口調が変わり、持っている愛用ハンマーで
「詰まんないの~」
「騎士団が強いはずねぇよ」
「まぁ確かにね~」
「ほら、まだ調査はある。奥の方が残っているだろ」
そういい隊長は全員を引き連れて奥へ行こうとする。しかし、その行動はすぐさまなくなった。目の前にエンシェントワイバーンとキングオークの群れが見えたからだ。知性の高い魔物と魔物通しは共生することが多々ある。しかし、それが厄介なオークとアサシンすらも勝てる相手が少ないエンシェントワイバーンとだ。全員、ワイバーンとオークを見た瞬間に鳥肌が立ち体調は全員に撤退命令を出した。
「撤退だ、俺らじゃこいつらに勝てない」
「え~いいじゃ~ん、戦おうよ~」
「お前だけ言ってお前だけが死ぬんだったら構わない」
「そんなこと言わないでよ~。はぁ、私も逃げる~」
「最初からそうしろ」
男たちはすぐさま物陰へと隠れ壁の頂上へ移動。少しだけ、人のような姿が見えた気がするが、体調はそんなことを気にするそぶりは見せずに、そのままアジトへと帰還となった。帰り道、その部隊が聞いた音はものすごかった。国の中からは、ものすごい爆音と戦闘が聞こえてきた。しかし、今はボスへの調査報告が先と思いながら部隊は帰っていった。この行動が今後命取りになることを知らずに....
「何か収穫はあったか?」
「騎士団が国の課へと調査に来ていた模様です。私たち同様、魔物の出入りの違和感があったのかと」
「原因は分かったか?」
「いえ、それはまだです」
「そうか、今回ばかりは仕方ない。すまない、無理な仕事を押し付けてしまって」
「問題ないです。わたくしの心身ともどもボスのためです」
「もう自室に戻ってよいぞ」
「は!」
男は今回はゆっくりと部屋から退出していった。何もない、雨音ない静寂の部屋に、低い男の声が響きだした。
「あと少し、あと少しなんだ。最近はいいエルフが奴隷商でセリがあるからな。絶対に勝ち取って見せる」
男は興奮で胸を躍らせていた。長年の夢をかなえる瞬間は誰にとっても快感がある。そんな言葉を投げかけられるかのような。自分の欲望、私利私欲を求めるためなら何でもする言葉が聞こえてくる。しかし、この夢は近いうちに消えていくことになる。シリルの存在なんて知る間もない。まず最初は、セリに負けるところからだ。
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