第18話 増える旅人
「俺、国出たいんだよね」
「....なんで」
「もっと、広い世界を見たいから」
国王に呼ばれた翌日。俺は、ルーナを宿の部屋に呼んだ。着た直後はなんかそわそわしていたが、俺が国を出たいと言い出すと体を硬直させて、額を青く染まっていく。不安と恐怖が混ざった子で何でと質問してきた。俺は即座に本心を回答。
「私も」
「アーロンにも言ったけど、俺の都合でルーナの命を晒すわけにはいかない」
「別に、迷惑だなんて思ってない」
「そう思ってても、俺がルーナを連れて行きたくないんだ」
「....それはただの心配?」
「え?まぁ、そんな感じだ」
「そっか」
アーロンにも言った言葉、俺のせいでルーナたちを危なくさせたくない。本心でもあるし、俺がいなくてもルーナとアーロンはもっと活躍できる。俺はそう信じている。そして、あんなにも評価されてきたらさすがに俺も自分の強さに自信がわいてくる。自分が今どれくらい世界に通用するのかも知りたいし。しかし、ルーナは俺が連れて行ってくれない理由を迷惑になるんじゃないかと思っているかもしれない。そんな不安を俺に払拭しようとしても俺はルーナを連れていくつもりはない。あれ?ルーナの目尻に水滴が見えるな....
「私も、連れてって」
「え、でもルーナが危ない」
「そんなの関係ない!」
「~っ!」
「私は私の意見でしりるに着いていきたい。シリルがダメと言っても私はシリルに着いていきたい。それでもシリルが連れて行ってくれないって言うなら、私も同じ旅先だと豪語してついていく」
聞いたこともないルーナの荒げた声。驚いた、ルーナがここまで自分の意見を突き通そうとする姿に驚いた。その荒げた声は、少しばかりの震えがあり膝の上にある手はプルプルしている。その震えた声で言ったのは、俺と旅に行くための作戦。いやここで行っちゃうと俺対策しちゃうよ?
「私は、もっとシリルと一緒にいたい」
「る、ルーナさん?」
「もっと、シリルのことを知りたい。命の恩人に何も恩返しができてないし、あんな危険なところであったも何かの縁。私は、シリル以外なんかには2人旅なんて求めない。シリルだからお願いしてるの」
「.....」
ルーナは、俺の目を凝視して言った。俺といたいことこんなにも求める女の子を、しかも獣人を断ることはできるのだろうか?今後俺はこんなことはないかもしれない。う、そんなウルウルした目で見ないでくれ。ノックダウン寸前なんだ!
ほかにも、アーロンもルーナが行くことを聞いて俺もというかもしれない。ルームメイトとなるくらいまで仲のいいシャルロッテも止めるかもしれない。そこまでを考慮して、俺はルーナとの2人旅に出るのか。
「わかった」
「~っ!ほんとに?」
「あぁ、でも条件がある」
「何でも受ける」
「そんな難しいことじゃない。条件は2つ、旅先は基本的には俺が決めたい。もちろんルーナとも相談はするが、行きたいところがあったらそこを優先する。2つ目、こっちが大事だが。絶対に死なないこと。俺もルーナのことをできるだけ守りたいが、限界がある。無理をせず、死を悟ってら絶対に逃げること。約束できるか?」
「うん、それだけでシリルと旅に出るんだったら簡単の極み」
「それなら、これからもよろしく」
俺の旅仲間が1人増えた。正直ずるいと思う。あんなかわいい顔でダメかと聞かれたら全員男なんて瀕死になる。俺は自分がちょろいことに少し嫌気がさす。だからと言って、今更ダメとは言えない。はぁ、あとでアーロンにしっかり説明しないとな。
「とりあえず、明後日旅の予定だがこのルートで行く」
俺は自分への再確認とルーナの旅の説明を行った。
この世界の大地は線で分けられている。
俺たちがいるパルテル王国、ルキアルア王国跡地、キナ王国がいる土地をパルキ大土地。俺たちの大土地は最も北にある土地だ。
隣にあるエフスア大土地はエアロル王国、フリクル帝国、スオナトル王国、アニン王国。東にある大土地だ。
西はナオ大土地、ナルアリ王国、オキスパス王国がある。
そして最も南にある大土地はトダコリ大土地、トアグス王国、ダフォー帝国、コルステ王国、リセス王国がある。
そしてエフスア大土地の海を越えるとある島国、ニロン島がある。
俺は最初に西のナオ大土地に行く。この大土地は国が少ない分自然が多く、ステータス上げにはもってこいの大地。しかも、この国にはエルフ町があるといわれている。エルフは奇跡の種族と言われていて、多くは奴隷商人にわたっている。俺はエルフに会ってみたいのと、オキスパス王国はダンジョン国と言われるほどダンジョンが多い。俺は初めてのダンジョンはオキスパス王国がいいと決めていた。
「ってな感じだな」
「わかった」
「わかったも何もルーナが口出ししても絶対にナオ大大地いくけどな」
「....私、荷造りしてくる」
「え、明後日だぞ?」
「早めの準備大事」
「そうか、分かった。じゃあ俺はアーロンを待とうかな」
今更だが、アーロンは今買い出しに行ってくれている。今日と明日は俺が国を出る前なので少しばかりと宴会をする予定だ。あ、もちろんアーロンのおごりです。おいしくいただきます。ルーナが部屋を出て、30分くらいだろうか?アーロンが帰宅してきた。あ!豚肉買ってきてくれたのか?ありがたい。俺は肉の中で一番豚が好きだからな。
「豚買ってきてくれたのか?」
「あぁ、商店街で一番良さそうなのを買ってきた」
「アーロンやるな」
「まぁ俺だからな」
そんなふざけた会話をしながらも、意外と料理が得意なアーロン。コンロを点火させた後慣れた手すきで豚を切り、油をひいたフライパンに投入。ここで俺の出番。アーロンに料理の手伝いをお願いされたときにフライパンさばきがめっちゃうまいと言われたためフライパンの仕事は俺がやっている。もちろんフライパンだけではないぞ?味付けもある程度はできるぞ?
そうやって完成したのは、豚のガーリック焼き。香ばしい豚とバターのにおいにパンチのあるニンニク。この料理は俺の胃袋を鷲掴みにした。隣に米を置き、いただきます。豚肉を口に含み、その3倍近くのコメを口にかっ込む。あぁ!至高だ!!!
「「ごちそうさまでした」」
「いやー、うまかった。アーロンに感謝」
「いい豚肉があったからな」
俺たちは食事を終え、皿を片付ける。おなかが満足になっているくらいの方が、俺の話も受け入れてくれる確率も上がるだろう。あれ?スキルで『運調節』あった気が...まぁ世の中知らないものがあってもいいと思う。俺はアーロンと向きあい話を進める。
「アーロン」
「ん?なんだ?」
「俺、ルーナと旅に出ることになった」
「知ってる」
「まぁ、そこでアーロンも文句が....へ?」
「知ってる。今日ルーナの機嫌無駄に良かったしな。あいつの感情も考えると、シリルに旅一緒に行く許可出たんだろうなぁって予想はつく」
「お前さては天才だな?」
「別に今言われてもうれしくはねぇぞ。とりあえず俺は文句なんてない。ルーナもこんなやつとは大変だなと思うくらいだ」
「失礼じゃないか?」
「違う。あんなにわかりやすいのに逆にわかんないお前は逆にバカすぎだ。それでも、俺は文句なんてない。全力で旅して来い!」
「アーロン、ありがとうな」
知っているといわれて俺は驚愕。ルーナ、そんなにわかりやすいか?そんなことを思いつつもアーロンの許可が下りたことにより、俺は正式に2人旅をすることになった。俺はほっとした状態ベットに体を預け、意識を飛ばした。
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