第17話 国王陛下のお礼
3日後、今日は国王様と面会をする日となっている。俺はこの国の礼儀作法とか全く知らないため、ルーナからギルド長に伝えてもらって、無礼は許してくれると話を伝えてくれた。でも、俺が分かるくらいの礼儀はしていきたいと思う。服をきっちり着てバックを持ち、一応クナイとバタフライナイフをしまい込む。
「アーロン、準備できたか?」
「あぁ、もうさっそくいこう。ルーナとは王宮で集合になってるからな」
「わかった」
現在時刻は6時半。俺たちは宿からでて、3日もたてば慣れる朝日を全身で体感した。目に入ってくる日光を手で押さえながら、俺はアーロンと会話しながら王宮に向かう。
「なぁ」
「なんだ?」
「俺さ、1回この国を離れたいんだ」
「え!?まだ来て3日だぞ!急にどうした!」
「いやさ、ルキアルアを離れてから、もっと世界を見たいなって感じたんだよ」
「....帰ってくるよな?」
「あぁ。まぁ1年以上離れる気はあるけどな」
「嘘だろ!俺らも連れてってくれよ!」
「嫌に決まってんだろ。お前らは俺をここに連れ出すのに命を懸けてくれたんだ。また命を懸けてまで一緒に旅をしたくない」
俺の今の夢、1年から5年の月日をかけて世界を旅することだ。ルキアルアの外の世界を見てから、俺はより遠くの土地に興味を持ちだした。この1つの国だけではなく、もっと広大な森や平原で世界を見てみたい。だから俺はアーロンに旅をしてみたいことを言った。この国に来てまだ3日しかたってないのにこの国を出たいと聞いたアーロンはもちろん驚いた。俺心の底からある本心をねじりだし、口から吐き出した。アーロンは帰ってくるのだったらいいみたいな顔をしている。帰ってくる。1年後くらいには。そういうと、やっぱ怒った。だが、俺のために命を懸けさせたくないと言うと、言い返せない顔になった。
「俺は....いいと思う。俺はまずシリルの行動を縛るほど偉くないしな。まず縛ったら返り討ちにされるのが目に見えてくる」
「ホッ、受け入れてくれてありがとな」
「当たり前だ、一応命の恩人だ。そこらへんも考えれば許すも何もシリルが決めることだ」
「そうか。まぁ、行く当てなんてないがな」
「お前ってホントにそこらへん駄目だな」
「しょうがないだろ、好奇心で国を出たいって言ってるもんだ」
「はぁ、俺はいいと思う。死んだら殺すぞ?」
「殺せるもんならな」
当たり前だと受け入れてくれるアーロン。あとでちゃんとルーナに説明しないとな。そう思いつつも、そんな重苦しい会話が終わり、いつもの通りまた明るい俺たちの会話が始まった。
「あ、来た」
「待たせたか?」
「ううん、あんまり待ってない」
「ほら!早く行こうぜ!」
「俺はこいつが国王様に無礼しないか心配だ」
「今だけはシリルが心配」
いつも通りの会話をする。ルーナもいつも通りの服装で杖を背負ている。よかった、俺もクナイとか持ってきて。そんなことを思っていると、王宮の門があいた。中からは、何十、何百の騎士がいた。顔は知らないが、鎧だけは見たことがある。俺は死体を思い出さないよう意識しながら、騎士団の方へ歩いた。
「国王様は謁見の間の奥の部屋にいる。くれぐれも無礼のないように」
「おう!わかってるぜ!」
「アーロン、そんなとこ」
「わかりました、忠告ありがとうございます」
建前の笑顔を顔に浮かべ、俺は王宮の中へ入る。中は豪華だ、天井にさらされているシャンデリア、たくさんの像、正直どこが美しいのかわからない絵画、赤いカーペット。おそらく黒金貨1000枚は下るだろう。俺らは門から入って一番前にある謁見の間に入る。俺らは謁見の間ではないため、部屋を見渡すと玉座の奥に扉があるのが分かった。一応この中で一番常識人なルーナ、アーロン、俺の順番で扉から入っていった。
中には国王様と....おそらく王女さまがいた。金髪でいかにも王様という赤メインの服。年は40代くらいだろう。着飾る物はすべて相当な金額だということが見て分かる。王女様は白色のドレスをまとっており、首にはオリハルコンとダイヤで作られているおそらく白金貨5枚分くらいのネックレスをしている。あ、殺されるの嫌なので鑑定はしてないです。
「お初にお目にかかります。私、ソロ冒険者
「お初にお目にかかります。私、『太陽の光来』元パーティーリーダーS級冒険者(←上がった)のアーロンと申します」
「えっと、お初にお目にかかります。私、ルキアルア王国跡地に生活していたシリルと申します」
「よい、面を上げよ」
ルーナとアーロンが片膝をつき、右腕を左胸に当て目を瞑った。俺もその通りにすると、ルーナから自己紹介が始まった。え、俺なんも特徴ないよ?えと、あの。何とか乗り越えると国王様が顔を上げろと言った。言葉と通りに上げると、国王様は安心の顔をしていた。
「私、パステル王国が国王。パステル・アルフレッドと申す」
「私、パステル王国の国王が娘。パステル・ソフィアと申します。この度は、私の父にお会いくださりありがとうございます」
「大丈夫です。私も予定は開いておりましたから」
「そうか、ならよい。腰を下ろしたほうがよい。私は重い話をするために呼んだわけではないからな」
「はい、ではお言葉に甘えて」
国王様と王女様の自己紹介を終えると、国王様はソファに座ってもよいといった。アーロンが1番最初に座り、俺のとなりにルーナが来るような形で俺らは腰を下ろした。腰を下ろしたと突然、国王様が俺に頭をさげ、腰を90度曲げて謝ってきた。え、ちょちょちょちょ!
「な!顔を上げてください国王様!あなた様のような人が私のようなもの死に損ないなんかに頭を下げないでください!」
「そうもいかん。シリルのおかげで、我が国の冒険者の死者数が少なくなっているのだ。礼をしないわけにもいかん」
「そんな!私はたまたまあそこに住んでいただけなんです!」
「そのたまたまが我が国を救ってくれたのだ。この礼をどうか受け取ってくれ」
「.....わかりました。受け取るので顔をお上げください」
「うむ、そうしてくれると助かる」
国王さんがすんごいお礼をしてくれた。俺はたまたまと言ったのだが、そんなに俺に助けてもらったのかと疑問に思うレベルで心がこもっている感謝を受け取った。国王様は、感謝を受けてくてくれたことを確認すると、顔を上げもう一度向き合う状態になった。
「君たちを呼んだのはほかでもない。礼を用意したんだ」
「それは大丈夫です、私たちもやりたくてこの任務を受けたんです。そんな簡単に国王様直々に褒美をもらうわけにはいきません」
「そうですよ」
「でもだ、一応もらっておいてくれ。すまん、出してくれ」
「はい、こちらです」
そういって出されたのは、大剣と剣。大剣は刀身が珍しい黄色で見るからに普通の常人じゃ持てない代物だ。剣に関して、刀身が細くどちらかというと斬るより突く方が得意そうな見た目だ。鑑定して大丈夫かな?.....しちゃえ。
【
ランク・Aランク
自然に似ている色をしている刀身で、森の中での活動がやりやすい大剣。しかし、欠点としてものすごく重い。
【
ランク・Aランク
突くことに特化した剣で、突く攻撃力が1.2倍化される。とても軽い計上をしていて振りやすいが、斬る面に関しては弱くとても折れやすい。
え、短いな!この説明!思った以上の説明の少ない武器だが、A級なこともあって弱いことはないだろう。
「これを授ける」
「...いいんですか」
「もちろん、むしろこれでは少ないくらいだ。では本命であるシリルよ」
「はい」
「君には、これを」
と言い、国王陛下は一つの真っ赤の箱を渡してきた。見た目は普通、何の変哲もない普通の箱。軽いし、何も入っていない感覚もする。
「開けてみてもよろしいですか?」
「よい」
「では、失礼して....」
黒金貨があった。しかも3枚。あ、やばい。俺もう遊んで暮らせるかもしれない。俺は少し開けて中を確認した状態で固まった。アーロンとルーナも箱の中身をちらっと見たが両者とも固まった。当たり前だ。普通は手に入らない代物を俺が手にしているのだからだ。もちろん俺は言う。
「こんな大金いただけません」
「もらってくれ、これは国王命令だ。さもなくば増やすぞ」
「......」
横暴だ!こんなの横暴だ!うれしい!確かにうれしいけどこれが国王のやり方か!うぅ、増やしてもらおうかな!いったん落ち着け俺、言うことはただ1つ。
「ありがたくいただきます」
俺は今日、大金持ちになった。帰宅中、黒金貨を3人で分けないと言ったら、10メートルくらい幅を取られた。悲しい。
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