第16話 質屋とバタフライナイフ

アーロンおすすめの質屋、見た目は普通の店舗。外からも少しだけ声が聞こえるのでそこそこ繁盛している質屋なのだろう。ドアを開けるとチャリンチャリンと鈴の音、すぐさま店主らしき人が店奥のカーテンから出てきた。


「いらっしゃ、おぉ。アーロンか」

「よぉ!じっちゃんは元気してるか?」

「もちろんじゃ。この通り」

「そんな激しく動かすとまた悪くするぞ」


見るからに普通の老人だが、中には奥深い強さを持っていることが分かる。アーロンとすごく親しげなことから何回かアーロンはこの老人にお世話になっていることが分かる。会話の中で老人が激しく肩を動かし、アーロンに心配されてる当たりおじいちゃんと孫のほのぼのした会話みたいだ。


「で、今日は何の用で来たんじゃ?」

「紹介したい相手がいるんだよ」

「どうも、シリルと言います。ここでいらないものを何個か売りたいですが」

「もちろんいいとも、むしろそれが質屋の本望じゃ。どれ、いらないものを出して見せておくれ」

「はい」


俺たちはカウンターに移り、アーロンは俺の紹介をしてくれた。俺は老人に向けて自己紹介としたいことを簡潔に述べた。老人はそれを承諾し、俺の売りたいものを出してくれと言った。俺は言葉の通り、いらないものを布に包んであるのでそれごとカウンターに出した。老人は布の包みを外し、中のものを見ると驚いた顔をした。


「お前さんが、これを?」

「あぁ、もう使わないものだらけだな」

「....高額で買い取らせてもらう!」

「おいおい!まだ鑑定もしてないだろ!?」

「こんなの鑑定しなくても上質なものってわかるわい!」

「そうなのか?」

「お前さんの持っているものはどれも品質が高い、金貨は5枚は行くぞ」

「俺が3か月無休で依頼しないともらえない大金をそんなに簡単に...もう奢らねぇぞシリル!」

「もともとおごりは求めてないぞ」


老人は俺の不必要品を見て上質なものだと判断して、どれくらい高いかわからんんが...金貨5枚は行くといった。えっと、ごめん価値分からんからすごいか知らん。まぁとりあえず大金が手に入ることを約束した俺と老人は、30分で鑑定を終わらせるといわれて店内で待つことにした。


「何見ようかなぁ」

「お前武器はいいだろ?ならポーションでどうだ、さすがにポーション屋より劣るがここも割といいのが出そろってるぞ」

「そうだな~......妙に視線が」

「そうか?別に気のせいだろ」

「視線を感じるのって普通か?」

「普通は感じるもんじゃないと思うぞ、まぁ気にしない方が得だな!」


アーロンとどこに回ろうか会話していると、なぜか妙に視線を感じる。よく感覚を研ぎ澄ませば女性が多い、俺を見てもメリットないと思うがなぁ。意味があるのだろうか?そんなことを思いつつも、アーロンの言う通り何も気にせずポーションを見に行った。


ここに並んでいるポーションは主に6つのポーション、1つずつ鑑定していくといろいろなことが分かった。


小・筋力ポーション

飲んだ者の筋力数値ステータスを10上げるポーション、時間は5分間でその間だけポーションの効果を発揮する。


小・耐久ポーション

飲んだ者の耐久力数値ステータスを10上げるポーション、時間は5分間でその間だけポーションの効果を発揮する。


小・体力ポーション

飲んだ者の体力数値ステータスを10回復するポーション、飲み切ると効果を発揮し、すぐさま回復する。


小・魔力ポーション

飲んだ者の魔力数値ステータスを10回復するポーション、飲み切ると効果を発揮し、すぐさま回復する。しかし、これを飲んだだけで魔法が得意になるわけではない。


小・治癒ポーション

飲んだ者の外傷を癒してくれるポーション、飲んだ分の外傷が癒えていくが小な分いえる傷は少ない。効果はすぐ発揮する。


小・再生ポーション

飲んだ者の外傷をゆっくり時間をかけ癒してくれるポーション、飲んだら5秒に1回程度で極小だが傷が癒えていく。


が主に並んでおり、中・魔力ポーションがあったしたが大などのポーションはなかった。個人的には治癒ポーションに目を惹かれた。再生はするが一気に治癒してくれるのはありがたい。これを1つ買ってくか。小と書いてるだけあって金札は銀貨2枚分。安いかどうか全くわからんがなくて命を落とすよりましだ。俺は瓶を1つもち、1度戻ろうとする。


俺の目の前には1つのバタフライナイフが目に留まった。バタフライナイフは何度か見たことがある。ゴブリンが持っていたりと何度か見かけたことはある。しかし、ここまで良質なバタフライナイフは見たことがない。いやまぁ見た目錆びてて使い物になりそうにないが、俺の直感がただ物ではないといっている。


俺はバタフライナイフを手に取る。形状はまっすぐのまわしやすいタイプのバタフライナイフ。刀身部分は錆びているが持ち手は派手で黄色と緑、所々に自然を感じられるような形状をしている。中の方には謎の空間があり、よく見るとナイフの刀身部分に繋がっている。俺は軽くバタフライナイフをまわして見せる。回すと持ち手の部分の色が徐々にかぶっていききれいな黄緑色が見えだした。俺は誰にもばれないように武器鑑定を発動。


強欲ごうよくのバタフライナイフ】

ランク・Zゼット

上から3番目のランク。この武器を所持している状態だと徐々に体力が減少していく。しかし、体力減少分に徐々に筋力が増加していく。また、バタフライナイフで技を決めるごとに魔力が吸われ、その魔力でバタフライナイフの容器の中に液体状の毒が蓄積されていく。毒がたまっている状態で切りつけると、刃の先から毒液が漏れ相手を毒状態にさせることができる。その毒は伝説の魔物、フェンリルすらも戦闘を困難とさせるほど驚異的。その攻撃で敵を倒した場合、強奪したスキルが上位互換へと変化して得られる。


おぉ、これもまたえぐいものを取り扱ってる。しかし値札には銅貨3枚。まさかのさっきの牛肉に負けている。こんなもの買わないわけがないと俺はバタフライナイフとポーションを持ちカウンターへと戻った。


「おぉ、ようやく来たか」

「5分も待ったぞ!」

「逆に5分で待てないお前はどうなんだ?」

「とりあえず、鑑定は終わったぞ。これは大銀貨8枚、これは大銀貨6枚、これは金貨3枚、これは大銀貨2枚、これは大銀貨4枚、これは金貨1枚、これは大銀貨3枚。これは金貨2枚。合計金貨8枚と大銀貨3枚じゃ」

「シリル、ちょっと分けてくれ」

「嫌だ」

「なんでだよ!」

「嫌だからだ」


老人が行っていた予想売却値段の金貨5枚をはるかに上回る金貨8枚に大銀貨3枚分。確か貨幣は、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、黒金貨こくきんかだったな。まぁそこそこの収入だな。俺は渡されたお金をバックにしまい、バタフライナイフとポーションを取り出す。


「これを買いたい」

「ポーションはいいが、このナイフはいいのか?使った人は全員力を吸い取られてしまったといっておったぞ?」

「あぁ、俺は買いたい」

「...銀貨3枚と銅貨3枚だ」

「大銀貨1枚で頼む」

「おつりは銀貨6枚、大銅貨9枚、銅貨7枚じゃ」


俺は忠告する老人の言葉をながし、大銀貨1枚でそのまま購入。バラバラになったがお金を崩したと思えばいいだろう。っていうかバタフライナイフが残ってた理由能力のせいか。そりゃ買う奴は誰も現れないな。俺はバタフライナイフとポーションをバックに突っ込み、老人に一言言ってアーロンと共に退店した。



お金紹介⇩


銅貨(1枚10円)・これ1つでは到底買い物はできない銅貨、しかしチリを積もれば山となり、10枚で大銅貨になる。


大銅貨(1枚100円)・これ1つでぎりぎり何か買えるレベルだが全く持って足りない。10枚で銀貨になる。


銀貨(1枚1000円)・これ1つである程度のものが帰るようになるが、何か冒険などで使う金属系のものは物足りない。10枚で大銀貨になる。


大銀貨(1枚5000円)・これがあればある程度のものは買いそろえることができる。かといって高級なものや冒険道具意を大量購入などができる値段ではない。10枚で金貨になる。


金貨(1枚10000円)・これがあれば、日用品などの買い出しは基本高いものが用意できる。冒険などで使う剣も、平均的なものであれば少々のおつりが出てくる。10枚で大金貨になる。


大金貨(1枚50000円)・ここら辺になってくると平民は手が出せない金額になってくる。ここら辺は、奴隷などが買えるようになってくる。10枚で白金貨になる。


白金貨(1枚100000円)・ここまで来ると土地などの大きなことにならないと出てこない貨幣である。1か月でこれくらいの量を稼げるのは伯爵家くらいになってから。10枚で黒金貨になる。


黒金貨(1枚1000000円)・硬貨の中で1番上にある。これが使われるのは相当上質な奴隷や土地の売買で使われる効果になっている。ここら辺を日常的に稼いでいるのはトップの公爵家か王族になってくる。

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