第10話 武器の強さ
....る.....りる....シリル.....シリル!!
大きな男の声が俺の聴覚の仕事を働かせてくる。俺の瞼は徐々に力を取り戻し、開くごとに光が俺の眼球が刺激してくる。「んん?」と声を小さく上げながら俺は完全に視界を開ききる。
「んあ?なんだ?」
「~っ!よかった!」
「グフッ!」
俺が上半身を起こし声を発したことでルーナは俺が生きていることに安心したため、ルーナには珍しい少し大きな声で俺のおなかに飛びついてきた。急にお腹が圧迫され俺の体もびっくりしているがルーナの涙目を見るとそれを止めることもできなくなってしまった。俺は飛びついてくるルーナに向けて頭をなでる。犬耳モフモフしてる~。しかしそんな気持ちよさもおさらば、俺が撫でていることに気づくとともにルーナは俺から離れ顔を紅潮させた。
「い、今のは...」
「いいよ、別に気にしてないから」
「大丈夫か!怪我は!?」
「あるし激痛だから触るな」
相変わらずうるさいアーロンの声、しかし今は俺を起こしてくれた声なので感謝はしている。感謝だけだからな。俺は上半身だけではなく体を起こし見れなかったステータスをちゃんと確認をする。
おぉ!結構いいのあるじゃん!『混合魔法作成』『捨て身』『武器鑑定』『理性凝固』か。『混合魔法作成』は初見で戦う相手には相当厄介な攻撃ができそうだ。泉魔法と霹靂魔法を合わせて感電させるとか。『捨て身』は今回のより短い、まぁエンシェントワイバーンのみの戦闘などで使うことになるかな。『武器鑑定』は後で俺が使った鎌とクナイに使ってみるとして。『理性凝固』もいいな、もう少し理性を強くすれば『鬼神化』を使いながら連携攻撃などもできるのではないだろうか。
とりあえず俺は『武器鑑定』をするため、え~と。あ、右横腹にクナイさしてるの忘れてた。俺はクナイを抜いた。今更だが結構かっこいいな。クナイの周りにまとわりつく水色の
【
ランク・
上から3番目のランク。この武器を手にしている者は移動速度の上昇と静穏性が上昇する。耐久性が抜群で相当な攻撃が来ない限り日々も刃こぼれすらしない。敵に攻撃すると相手の視界に霧を出現させて視界を悪くさせる。またクナイの特性である投げる攻撃はいつもの刃より2倍以上切れるようになる。そして投げた後、持ち主の手元へと戻ってくる。
お、おう。予想以上に強かったな。上から3番目ということもあって性能は高い。特に投げる攻撃に強さが偏ってるな。これは銃じゃ届かない場所とかで使ったりするだろう。
次はっと。俺が倒れていた付近を見渡すと俺が直接エンシェントワイバーンを殺めた鎌があった。運よくこれがあったがなかったら勝ててたかわからないな。俺はその鎌を手に取りさっきのクナイのように鑑定。
【
ランク・
上から2番目のランク。この武器を持って倒すと相手のステータスを少しだけ得ることができる。高ければ高いほど得るステータスも増えていく。そして鎌の刀身に魔法を付与することが可能。黒く光っている刀身は炎魔法だと赤く、泉魔法だと青く、岩魔法だとグレーに、霹靂魔法だと黄色に、疾風魔法の場合は半透明になる。その魔法を生かしているため、強く勇ましい炎を纏い、泉のように透き通った水を纏い、斬撃より打撃な岩を纏い、雷自体を操ってるような電気を纏い、鋭く突き刺すような風が纏う。また、与えた回数分スキルを
うん、鎌を選んでよかったな。ってかあの時俺よく炎を纏おうとしたな、えらい。よし、今日からおれはクナイと鎌で生きていく。俺のメイン武器は鎌でサブがクナイって感じでいこう。銃は....場合によって使い分けよう。
俺はクナイを投げて自分に戻ってくるのを試したり、鎌に魔法をかけてみたりと戦闘明けにしてはふざけすぎている武器遊びをした。
「よかった。また命の恩人を失うところだった」
「命の恩人なんかじゃない。俺が気まぐれで助けただけ」
「そんなことない!俺はお前がいたから生きてるんだ」
「そうか....ありがとうな、でお前らは泊ってくのか?」
「え?あ!考えてなかった!」
俺と一緒にいる時間が濃すぎたためだろう。時間の配分を忘れていた。もう俺とあってから相当な時間がたっていると思う。戦闘したのは夕方近く、今は月が真上に上がっている。ルーナはそんな状況の打開のためか手を顎に当て考え事。あ、ルーナの顔が上がって心なしか電球が見えた気がする。
「シリルが国を出ればいいんじゃない?」
「え?あ~」
確かにその考えはなかった。俺はこの生活に慣れてしまってる部分があるためこの国で生活していくという感覚が染みついてしまった。あれ?ここ以外にも国ってあるのか?今更だが俺はこの世界のことは全く知らない。礼儀作法やら貨幣、世界の情報などは全くだ、強いて知ってるといえばこの国がルキアルア王国跡地ってことくらいだ。そうだな、俺も15だしそろそろ国を出ても大丈夫なんじゃないか。
「確かにそうだな、俺が出てもいいかもしれない。なら早めがいい、今日中に出るぞ」
「え!今からか!」
「アーロンはここにいてもいいよ、死ぬだけだと思うけど」
「やめろ!俺も行くから!」
「喧嘩するなよ....ほら、拠点戻るぞ。早速荷物かたずけるぞ」
「これいらないあれもいらない。いらないものありすぎ」
「全くその通りでございます」
俺は拠点に戻り早速倉庫と化していた食料貯蔵庫を開封。そんな中身はいらないものばかり。使わなくなった衣類、完璧腐っている食料、分解したまま放置している失敗した研究銃、単純に折れて使えない短剣、試作途中の武器たち。これほどにもないゴミまみれだ。そんなのを女の子にみられるのは相当心に来る。しかもちょっとジト目なのがまたメンタルにボディブローをかましてくる。すると、懐かしいものが箱から現れた。
「懐かしいの出てきたな」
「ん?これか?こんな鉄くずがどうかしたか?」
「あぁ、俺が初めてエリートゴブリンを殺した武器だな。1回刺して倒せたけどそのまま殺されて短剣ごと粉々にされたんだ。『自己蘇生』があったから生きられて、その鉄くず後も取って帰ってきたんだ。10歳後半くらいかな?」
「....なんかごめん、思い出させて」
そんな思い出が出てきながらも、俺は荷物の片づけが終了。15年間の朽ちた国生活も突如に終わりを告げた。
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