第8話 勘違いの訂正

あなたは強いです。そう宣言された。


「え?いやいや、そんなことないって。俺はまだ鬼神化しないとキングオークの群れにすら勝てないんだぞ?」

「キングオークの強さをわかってない。まず世間一般ではキングオークの群れは殺戮集団と言われていて、DOUBLEダブルSシグマの熟練パーティーが必要になってくる。

「いや、それでも」

「しかも、単独冒険者な場合Zゼットランクに達していないと討伐なんて不可能。S級ならまだしもA級の人たちがあったら終わり」


俺に言葉を言わせないといわんばかりの言葉の大攻め。俺は口出しすることもできない。むしろ俺が声を出そうとする瞬間に声のボリュームを上げいっても聞こえないように工夫を施してくる。俺の行ったいることのすごさを丁寧に説明してくれる。


「キングワイバーンの攻撃をしっかり耐えてたけど普通あの攻撃を受けたら溶けるどころじゃなくなる。原型ごと消えて死んだか生きているかすらわからないくらいになる」

「スキルのおかげっていうのもあるんだが」

「スキルのおかげって言っても確かに間違いではないけどあなたの耐久値は普通に異常」

「え、あれくらい普通じゃないのか?」

「感覚がおかしい。はぁ」


ため息と同時に俺にステータスを見せてきたルーナ。俺はいきなりのことに驚きつつ、ルーナを見る。目が合いしっかり頷いたので俺はOKをもらったことをしっかり確認してステータスを見た。


攻撃力・551

耐久力・314

体力・791

魔力・202


特殊スキル

『嘘発見』


通常スキル

『鑑定』『幻覚』


条件発動スキル

『闘争心向上』


俺は目をかっぴらいて驚きを隠さなかった。俺はルーナたちよりもステータスは低く弱いと思っていた。しかし、ふたを開けてみればびっくりだ。数値ステータスは10分の1、スキルの数は俺の思っていた2倍くらい少ない。


「私たちとあなたは全然違う。スキルの量もかけ離れている。私たちのスキルがどんなに強かったとしても質より量で負ける。わかった?」

「あ、あぁ」

「はぁ、魔法のこともある」

「まだ!?」


魔法に関してのこと。

まず無詠唱のこと。え、無詠唱って普通なんじゃ...すいません。まずこの世界の常識として詠唱術式がメイン。そして具現化術式が一定の魔術師が使えるらしい。


まず詠唱術式は、決められた詠唱を口にし指に魔力を通す。種類は火、水、土、雷、風で分けられている。炎といz....すいません。初級、中級、上級、特級、超級と別れていてもちろん徐々に威力が上がっていく。


具現化魔法は古代にあった召喚魔法が衰退したもの。衰退したものの同じようなものが使える。生き物を生成する場合実際の強さの2分の1くらいになるらしい。あぁ、召喚魔法を研究途中で順調なことは黙っておこう。うん。


「お、わりか?」

「うん、終わり」

「ふぅ」


すんごい言葉攻めが終わったと疲れの意味を込め一息つく。いや別に調子に乗ったわけではない。褒められているのかいないのかも他国で暮らしたことがない俺はさっぱりだ。でも、ルーナの気迫と問い詰め方を見れば、俺が強いってことはたぶん本当だろう。でも数値ステータスそんな変わる?


「そういえば、帰ってこないな」

「そうだな、鎧はちゃんと着てったのか?」

「着て行ってなったらもう死んでるだろ」

「一応、確認するか」


俺は立ち上がり、錆びた短剣を腰にしまいハンドガンとショットガンを背負い、研究の成果を試すべく試作品のスナイパーライフルを手に持った。さすがの重量でうおぉっと言いながらも所持。スコープも倍率が違うのを何個か持っていく。


ルーナは剣を背中からしまい、よく見ると腰にも短剣がしまわれている。おそらく剣が壊れたよう、もしくは2刀流だろう。アーロンはクッソ重そうな大剣を腰当たりの高さで背中に真横でセット。筋肉がバッキバキだから大剣を背負うことなんて余裕そうだ。


「よし、行くか」






「「「.......」」」


俺らの目の前には想像を斜め上以上いき絶望を繰り広げた。あたりには上半身が裂けているものや頭が欠け焦げている死体が転がりまくっている。そこには、俺が守った騎士の姿もあった。何故俺は送り出してしまったのだろう、ちゃんと話を聞いていれば、止めていれば、俺と一緒に行けば。なんてもう叶いはしない後悔を思いつ続けた。


するとルーナがある1人のしたいに近づいた。膝をつき、今にも泣生きそうな顔で騎士の顔を眺め、つぶやき始めた。


「また、守れなかった.....今までありがとうございます」

「あの人は副団長さんだ。まだ幼かったルーナを拾って育てた張本人でもある。ルーナも、悲しいだろう」


いっつも覇気があるアーロンですら悲痛な顔を思い浮かべ、両手を合わせだした。その時だ、真横からものすごい殺気を感じた。いや感じられるほど近くない。ルーナたちは気づいていない。キングオークと.....エンシェント古代ワイバーンだ。俺はすぐさま戦闘態勢、スナイパーを構え引き金をすぐに引く。


カチ......カチカチカチ


「嘘だろ!」


引き金を引いても弾が出ることはなく、カチカチと情けない音が鳴るだけ。ルーナも俺の声で俺の方を向く。駄目だ!今動くな!さっき俺がのぞいたのは8倍率スコープ。そこから見えたのは俺と同じスナイパーライフルを覗いていたキングオーク、その銃口は確実にルーナを狙っていた。俺はスナイパーを投げ捨て、ルーナを突き飛ばした。


バァァァァァァン!!!


銃声と共に俺の腹部へ弾が直撃。体を貫通し、俺の体の耐久値のせいかすぐに勢いを失い地面に落ちた。俺の腹に激痛が走るとともに急な出血に心臓の働きが忙しくなる。俺はそのまま地面にうつ伏せで倒れめまいが襲う。


ルーナは俺が撃たれたことに思考が追い付かず、「えっ」と文字だけ発し黙ってしまった。アーロンはすぐに動き大剣を盾のように構え俺を守る状態に徹してくれた。


「おい!ルーナも俺の後ろに!死にたくないだろ!」

「.....」


無言でアーロンの後ろの後ろに隠れ、そのまま時間がたった。俺はこのままの状態でどうやったら勝てるかを考える。この距離ではさすがに『傷害交換』は効かない。まずまずさっきのゴブリンたちの戦闘で魔力はまるでない。しかしここで今大切な体力を1.5倍にまで消費してスキルは使いたくない。


かといってこの痛みで俺は立てるか不安だ。仮に立てたとして俺はまともに戦えるだろうか。守れるだろうか、勝てるだろうか、相手にはDOUBLEダブルSシグマランクのエンシェントワイバーンもいる。


いや、勝てるかじゃない。勝つんだ。俺はせっかくあった人間と獣人なんだ。負けるわけには行けない。守り切るんだ。


「な、何してんだ!座れよ!」

「座って...お願い...お願い。これ以上恩人を減らしたくない」


泣きそうな顔をするルーナ。ごめん。俺は守り切りたいんだ。決心した俺は『鬼神化』を発動する。俺は懐かしの力が沸き上がる感覚が体中をめぐりにめぐる。瞳が染まり、角が出現して撃たれた穴は再生。


「さぁ!狩の時間だ!」


スキル紹介⇩


『嘘発見』

発動すると相手の発言の嘘が分かる。嘘の場合は声がワントーン高く聞こえる。


『幻覚』

相手に幻覚を見せることができるスキル。しかし、相手の視界を操るため魔力消費は火にならず、今のルーナの魔力では数秒も持たない


『闘争心向上』

戦闘中に発動される条件発動スキル。戦闘が長引けば長引くほど闘争心が上がり俊敏性が上昇する。

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