第3話 鬼神

「ふぅ」


そう俺はため息をついた。魔導書を見つけてから約2週間が経過した。この2週間の間、沢山の魔法を考えることが出来た。


署名術式は上手くいっておらずだが、無詠唱術式に関しては1歩先に行っている。魔法の強さも申し分なく、国のプラットフォームも真ん中に食い込んだと思う。


今日俺は、そんな魔法の研究成果を出すために王宮付近の魔物を倒そうと思ったのだが...


「真ん中の真の字も食い込めてない気がする...」


俺の目の前に映し出されている光景は酷いものだ。オークに殺されているゴブリン、群れごと燃やされている狼と燃やしているフェンリル。5対1で総攻めされるワイバーン。


俺が見ている光景はこれでも食物連鎖の下層部と考えると震えが止まらない。それでも、俺は王宮の魔物に喧嘩を売ると決めた以上、引き返すことはできない。


俺は、死という概念に恐れたことがたくさんある。現在15歳の俺はまだまだ未熟。成人が20と考えるとまだまだ5年。でも、この国で生きていくにはたくさんの死を経験し、たくさんの生きる意味を見出さないといけない。俺は、これでもかと言わんばかりに強くならないといけない。この国で生きていくには、強くなるしかないんだ。


俺は、これでもかという錆びている短剣を装備して初めてワイバーンに挑む。銃を使ってしまうと俺の本当の実力が分からない。だから、今回は錆びた短剣を使う。


ワイバーンは飛ぶ魔物の中でも低空。本にはC級と記されており、簡単に倒せると記載。しかし、俺から見たら恐怖しかない。今回俺が手を出すのはエリートワイバーン。ハイワイバーンの1つ上で、A級と記されている。


これを倒せれば、俺は強くなったと証明できる。倒すという意気込みを心に刻み、ワイバーンに手を突き出し魔法を使う。


(劫火の灯)


俺の腕に魔力が吸われていき、直径5センチの火弾がものすごい速度で射出される。エリートワイバーンは気づくことができず、羽が片方が消し飛び落下していく。


地面に落ちた途端に煙が舞い、俺の視界を完全に奪ってくる。しかし、ここで魔力を消費することも勿体ないため煙が消えるのを待つ。すると、徐々にエリートワイバーンの全貌が見えてくる。


エリートワイバーンは空中戦も行けるが、地上戦も厄介とされている。魔法が使え、知性もあり、足の発達された筋肉は岩と砕くといわれている。エリートワイバーンは俺によって片羽が消し飛んだことを知ると、叫び声を上げながら俺に向けて口を開けてきた。


次の瞬間、エリートワイバーンの口に魔法陣が展開され俺に向けて泉魔法が飛び込んでくる。


あらかじめ『予測眼』を発動した俺は、魔法をよけようとする。しかし、『予測眼』を使ってでもしても避けきれず再度ステップを踏んだ俺は左腕に切り傷を負った。


痛みに耐えながらも、俺も負けじと魔法を展開。霹靂魔法、雷神の怒り。上から雷が落ちてくるがエリートワイバーンはそれを岩魔法で防御。


驚愕して固まった俺をめがけ走ってきたエリートワイバーンは片羽を振りかぶり俺にぶつけてくる。俺は短剣を鞘から抜き正面から抑えた。しかし、両手で抑えた俺は攻撃手段がなくただただ耐えるのみ。


耐えきれなくなってきた俺は徐々に地面を擦り後ろへ後退していく。俺の体はまだまだ頑丈じゃなかったのだろうか、俺の右腕が折れてしまい吹き飛ばされてしまう。


「カハッ!」


受け身を取ることもできず地面を何回か転がった後に後ろに合った家の壁に背中が激突。俺は耐えきれず吐血し、体から押し寄せてくる疲労に押しつぶされそうになった。


しかし、こんな時になっても条件発動スキルが動いているため俺の体は徐々に癒えてくる。しかし、エリートワイバーンは待ってくれる様子もなくゆっくりと近づいてくる。俺はまだ完治していない右腕を使い立ち上がり、左腕で剣を満足しない構えをした。


エリートワイバーンは俺がもう戦えないのかと思ったのか、叫び大口を開けた。あけながらダッシュしてきたエリートワイバーンは俺を食う気満々。しかし、俺にはまだ勝機はある。


右腕を突き出し、言った。


「溶岩の暴れ」


いった瞬間、エリートワイバーンの口2分の1くらい溶岩が出てくる。それを予想していなかったエリートワイバーンは鍛え抜かれた足のせいで止まることができず、そのまま溶岩が口に入った。しかし、魔法名を見ればわかる。徐々に溶岩は溶けていき、マグマとなっていく。


「ゴォオォォォオオ!」


叫び声をあげても助かることはなく、徐々に舌が溶け歯が溶け顎が溶けていく。でも、顎が溶けるだけじゃどの生物も死にはしない。しかしずっと溶岩を当て続けられ、出血も止まる気配がなく徐々にエリートワイバーンの体は青ざめていく。


俺が魔法を出してから7分、エリートワイバーンは絶命し地に伏せた。俺は魔法解除し、死体を見る。俺の体は完治とは言えないが8割回復していた、治った右腕を上に掲げ、叫んだ。


「勝ったぞぉぉぉ!」


勝利をかみしめた。俺は目を瞑り強くなったことを喜んだ。



ぷつんと、俺の右ひじに痛みが走った。まだ完治していなかったのかと俺は目を開け右腕に目を向ける。しかし、俺の右腕にはそこにはなく地に落ちていた。


俺は自分の右腕が地にあることに気づいたとき、激痛が走りだす。血がだらだらと垂れ、今にも出血死しそうな量だ。


俺が周りを確認すると、そこにはキングオークがいた。しかも群れだ。キングオーク、俺は今まで読んだ本の中でキングオークの記録を引っ張り出す。確か単体でA級、群れでS級だったオーク界最強の種。


たしかに、ここは捨てられている国。1体ワイバーンを倒したくらいで舞い上がっていたら死を迎える。俺は右腕を抱えながら、迫ってくるキングオークに対して正面を向けながら後ずさり。すると、7体の1体が斧を投げてきた。俺は間一髪でよけきるが、頬に暖かい感覚が少し出始める。


俺はあの投げ斧に腕を落とされたのだろう。そう思いながら俺は後ずさりをし続けた。キングオークたちも、目の前でエリートワイバーンが倒されたことを注意しており襲い掛かってはこない。


しかし、限界は来るもの。俺の後ろに冷たくかたい感触が伝わった。後ろを向くと逃げ場はなく、俺とオークだけになった。さすがにキングオークも勝ちを確信したのだろうか、不気味な笑みを浮かべながら走ってきた。


俺はもう使うほかないなと思いながら、11歳で使うことを禁止たはずの『鬼神化』を発動した。


すると、俺の理性のダムは決壊。自我を失いながら体に力が湧いてくる感覚が伝わっていく。すると、俺の右腕は瞬く間に再生し、目は青から赤く染まり額からは6センチ近くの角が現れる。呼吸は荒くなり、目の前のものを殺したいという殺気にかられ始めた。


キングオークは変化した俺見ても、変わっていないと思い込んだのか。一度止まり、また走り出してきた。


俺は見逃さなかった。俺はほんのミリ単位、走るのが遅れたキングオークを見つけた。俺はそいつから狙いを定め、真正面から襲い掛かった。


オークは俺が消えたと思い、止まって回りと見渡した。しかし見つけることはできず、後ろを向くと首を跳ね飛ばされている仲間を見つけた。俺はその驚愕の顔が大好きで大好きで、1対1体違う殺し方をした。首をはね、気管を切り裂き、脳を刺し、脳を刺し、頸髄けいずいを切り、胸部大動脈を八つ裂きにした。


残りの1体を見ると、恐怖で震えあがり俺と目があるとビクリとわかりやすく体を震わせた。俺は笑みを見せた後に、素手で頭を掴み、握りつぶした。


全員を殺したことを確認すると、俺は四つん這いになり『鬼神化』が解除された。


俺は、自我を取り戻しギリギリの体力で近くの裏路地へと移動した。そして俺はステータスを開き、強奪できたスキルを確認した。


攻撃力・6449

耐久力・2252

体力・791

魔力・1873


特殊スキル

『無呼吸』『スキル強奪』『鬼神化』『弱点可視化』


通常スキル

『歩行音抑制』『鑑定』『予測眼』『知識倍化』『運調節』


条件発動スキル

『自動治癒』『自己蘇生』『銃スロー』『体力、魔力返還』


1つはよくわからんが、特殊スキルに関してはそこそこだ。ステータス全体は20くらいだが、魔力はに200くらいの上昇だろう。圧倒的な成長をした俺は、まだ回復しきっていな体を無理やり起こし、いつも通りの『無呼吸』と『歩行音抑制』を発動。気配を消しながら、拠点へと戻った。



スキル紹介⇩


『弱点可視化』

発動すると、相手の弱点が黒く可視化される。また、発動中は弱点への攻撃が2倍となり、通常ダメージが1.2倍される。


『体力、魔力返還』

どちらかが枯渇すれば発動。体力が枯渇すれば魔力でそれを補い魔力が枯渇すれば体力でそれを補う。補っているときは体力魔力ともに消費量が1.5倍になり、両方が枯渇すると両方が万全になるまで動くことが不可能になる。



鬼神化時のステータス⇩


攻撃力・186435

耐久力・91627

体力783800

魔力・6633510


特殊スキル(効果2倍)

『無呼吸』『スキル強奪』『鬼神化』『弱点可視化』


通常スキル(効果3倍)

『歩行音抑制』『鑑定』『予測眼』『知識倍化』『運調節』


条件発動スキル(効果10倍)

『自動治癒』『自己蘇生』『銃スロー』『体力、魔力返還』

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