「最愛」

最愛

柔らかき 貴方の指が 触れたるは 唯一無二の われの頬なり


遠くから 今も見えゆる 陽炎に 浮かび来るのは 貴方の笑顔


最果てに 何があるのか 知りたくて 二人で行かん 愛の国へと


悲しみに 打ちひしがれし 貴方の どうか私に 響かせたもう


おもむろに 夕陽は行かん 水面へと その姿見て 貴方は泣いた


幾重にも 重ねし想ひ 尊くて この手に残る 温もり消えず


そのまなこ 眠気に勝たんと 闘って 私の寝顔 いつまでも見ゆ


ありがとう そればかりしか 言えなくて 言葉選びの 難しさかな


映画館 眠る貴方に 出来る事 そっと微笑み 肩を貸す事


とめどなく 溢るる涙 ポンポンと 撫でるその手が 私の薬


青い春 とうに過ぎ去り 迎えるは 白髪頭しらがあたまの 紅い春


私には 貴方だけだと 言える事 瞳 嘘なく 世界に言える


物憂げな 賛美の声に 導かれ 逢えたことすら 奇跡たがわん


手を繋ぐ いつからしなくなったのか けれど変わらぬ 歩幅に笑みを


デコボコと 山あり谷あり 喧嘩あり なのに毎日 笑顔は消えず


寂しがり だから貴方は 連れてゆく きっといつでも 私は側に


雨上がり 奇麗な虹が 空を駆け 共に生けると そんな気がした


わずかでも 生きる希望があるのなら そう想い抜き 出逢った貴方


必ずや 貴方の最後 見届けて 私も逝こう 貴方の元へ


最愛の 意味知ったのは 本当に あなたに逢えた たったそれだけ

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「最愛」 @m-amiya

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