ワールシュタット作戦//死とは何か
……………………
──ワールシュタット作戦//死とは何か
「降下、降下!」
「急げ!」
ゼレール元帥の暗殺を狙うウィッチハント部隊を退けるためにファティマたちは今まさにウィッチハント部隊による攻撃が行われている地域へと降下する。
「
「野郎ども! 敵を掃討しろ!」
トロルとガーゴイルがそれぞれそう言って交戦を開始。
バーゲスト・アサルトの隊員たちは主にMTAR-89自動小銃で戦闘し、ウィッチハント部隊も同様にMTAR-89自動小銃をメインに応戦してくる。
「グレースさん。私が攪乱しますのでそちらでゼレール元帥の保護をお願いします」
「分かった。気を付けて」
「ええ」
ファティマはグレースにそう言って頷く。
「サマエルちゃん。敵の通信妨害をお願いします」
「分かったよ、お姉さん」
「では、始めましょう」
サマエルが通信妨害を行う中でファティマはウィッチハント部隊に向けて突撃。
「デモン・レギオンの部隊だ。排除しろ」
「了解!」
ウィッチハント部隊はファティマに向けて銃弾と爆薬を叩き込む。
「喰らいませんよ!」
ファティマはクラウンシールドとエネルギーシールドで防御を展開し、銃弾の嵐の中を駆け抜けていく。
クラウンシールドとエネルギーシールド全ての攻撃を受け止めて弾き、ファティマは“赤竜”を展開させてウィッチハント部隊を攻撃。
『クソ! 不味い! 例のマギテク兵装だ!
“赤竜”が迫るのにヘカトンケイル強襲重装殻の
しかし、“赤竜”にそれは通じず、
「アーマードスーツがやられた!」
「テリオン粒子濃度上昇。やはりあのマギテク兵装、テリオン粒子を……」
ヘカトンケイル強襲重装殻を喪失したウィッチハント部隊を必死にファティマを阻止しようと応戦するが圧倒的に押されている。
「この調子で敵を殲滅してしまいましょう!」
ファティマはそう言い、ウィッチハント部隊が立て籠もる急ごしらえの陣地へと突撃していく。銃弾を弾き、“赤竜”を盾き込み、一気にウィッチハント部隊に迫った。
「随分と調子がよさそうだな?」
そこで不意に声がするとファティマの方に複数の超高周波振動刀の刃が振り下ろされてくる。
「おっと!?」
ファティマは一瞬それがエネルギーシールドで防御可能と思ったが、刃はエネルギーシールドを突破し、ファティマに迫る。
「殺し損ねたか」
「奇襲がお好きなようで、リーア・エラザールさん?」
投影型熱光学迷彩を解除して姿を見せたのはウィッチハント部隊の指揮官リーアであった。いつものようにリモートアームなどを使って超高周波振動刀で武装した彼女が姿を見せて、ファティマに対峙した。
「そのマギテク兵装については情報を得ている。テリオン粒子を利用したものだと」
「だとしたら、どうするんです?」
「こっちにも手はあるということだ」
ファティマに対してそう言うとリーアは襲い掛かってくる。
「クラウンシールド!」
ファティマはその攻撃をクラウンシールドで防ごうとする。
しかし──。
「突破された……!?」
これまであらゆる攻撃を弾いてきたクラウンシールドが引き裂かれ、その刃がファティマに到達しようとする。
「スローモーデバイス!」
そこでファティマはスローモーデバイスを起動し、それによって攻撃を回避。
「一体、今のは……」
「エリュシオン製の技術だ。テリオン粒子の凝集を拡散させるもの。テリオン粒子そのものは無力化も、どうすることもできなくともその物質の凝集は阻害できる」
「なるほど。対策はしてきたということですか」
ファティマの“赤竜”もクラウンシールドもテリオン粒子を利用したものだ。その凝集を阻害されれば威力のある攻撃や防御は行えなくなる。
「簡単にはいかなそうですがやりようはあります……!」
ファティマはそう言ってリーアに立ち向かう。
「残念だがここまでだぞ、
リーアは
そして、その胸に超高周波振動刀を突き立てた。
「あぐ……!」
「お姉さん!」
ファティマが口から気泡の混じった血を吐いて蹲るのにサマエルが叫ぶ。
「終わったな。テリオン粒子がなければ大したこともない」
リーアはそう言い勝利を確信した。
だが──。
「お姉さんは死なない……!」
サマエルがそう言うと赤い粒子が、テリオン粒子が凝集を始める。
「テリオン粒子……! 何故凝集している! 妨害は……!?」
この世界最高峰の技術を誇るエリュシオンが作り出したテリオン粒子の凝集を阻害するための装置が機能していない。テリオン粒子が凝集している。
そして、ファティマが起き上がった。
「“赤竜”」
ファティマがそう唱えると“赤竜”が舞い、ウィッチハント部隊に襲い掛かる。
「ぎゃっ──」
「クソ、クソ! 畜生──」
次々にファティマを取り囲んでいたウィッチハント部隊が死亡。
「死にぞこないが。今度こそ確実に死ね!」
そんなファティマに向けてリーアが突撃する。
「貫け」
しかし、そんなリーアに向けて全ての“赤竜”が襲い掛かる。
首を貫き、胸を貫き、腹部を貫き、あらゆる場所を貫いて“赤竜”はリーアを無惨にも八つ裂きにした。
『少佐! エラザール少佐!?』
無線に混乱した通信が流れる。
「……お姉さん」
「サマエルちゃん……」
ファティマが見たこともないような暗い表情でサマエルを見る。
「私は本当にまだ生きているのでしょうか? 私は……」
死んだ。ファティマは明白に死んだ。
だが、こうして動いてる。
これはファティマの生命なのか、それともテリオン粒子が生み出した偽りの存在なのか。本当にファティマは生きていると言えるのだろうか。
「お姉さんは生きてるよ。生きてるんだ。生きている……」
「そうですか。そうですよね」
自分に言い聞かせるようにファティマはそう繰り返す。
『ファティマ! ファティマ、来てくれ! ゼレール元帥は死んだ! こっちも不味い状況になりつつある!』
「ガーゴイルさん! 了解です!」
そこでガーゴイルが叫ぶのにファティマが応じる。
「ゼレール元帥の部下だった部隊は全滅していますね……。ウィッチハント部隊がやったのでしょうか……」
ゼレール元帥の身辺警護を行っていたエデン統合軍部隊は壊滅していた。
その先から激しい銃声が響いてきた。
「急がないと……!」
ファティマが急ぐ。
……………………
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