ゲヘナ・レボルト//血塗れのバレンタイン
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──ゲヘナ・レボルト//血塗れのバレンタイン
ゴルフ・ワン作戦基地は巨大な基地である。
ゲヘナ軍政府支配地域防衛の要であり、ここが落ちれば防衛に大きな穴が開く。
ファティマたちが目指したのはそんなゴルフ・ワン作戦基地だ。
「我々バーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊は後方で破壊工作を。主攻がグリゴリ戦線が担当し、一気に突破して」
「ええ。こちらにも装備が回ってきましたから」
グレースが指示するのにシシーリアが頷く。
グリゴリ戦線の部隊は今やTYPE300装甲兵員輸送車で機械化され、少数だがARM74主力戦車も保有していた。
そしてその数たるや膨大だ。
「ゲヘナ軍政府は守りに入っている。だから、偵察が必要。バーゲスト・アサルトがそれを担当する。まず私たちが敵の防衛状況について調べてくるから待って」
「了解」
グレースが言い、バーゲスト・アサルト、イェニチェリ大隊、グリゴリ戦線の兵士たちが頷いた。
「では、偵察と行きましょう」
「私とサマエルちゃんも同行しますよ」
まずは偵察が行われることになった。
ファティマとグレースたちバーゲスト・アサルトは密かにゲヘナ軍政府支配地域に侵入し、フォー・ホースメンのフロント企業の倉庫を拠点に防衛態勢を偵察。
「ゴルフ・ワン作戦基地にはMBT90などの装甲戦力を含めた重装部隊。しかし、他のエリアには依然と変わらず軽装の巡回部隊と空中機動部隊のみ」
「ゴルフ・ワン作戦基地に先にテロを仕掛けて重装部隊を釘付けにすればグリゴリ戦線は何の苦労もなくゴルフ・ワン作戦基地に到達できますね」
「ええ。その方向で行きましょう」
ファティマが偵察から求められる答えを言い、グレースも納得した。
「それでは帰還してこの情報を全員に」
「バーゲスト・アサルトは一部ここに残す。敵基地の監視とテロの準備のために」
「了解です」
グレースの言葉にファティマが頷き、グレースたちはバーゲスト・アサルトからエキドナを指揮官とするチームを残して帰還した。
「偵察の結果」
そして、拠点に帰還後グレースが偵察結果を報告。
「それならば行けますね」
「ええ。恐らくは行ける。ゴルフ・ワン作戦基地の滑走路にも攻撃をしかけ航空支援を困難にさせることも考えている」
デモン・レギオン側の航空戦力はそこまで潤沢ではない。
「やってやろう! お姉ちゃんのためにも!」
「ええ。やり遂げましょう」
こうしてバーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊のやるべきことは決定。
そして──。
「攻撃開始です」
ファティマが指示を出す。
既に攻撃準備は整っている。いつでも攻撃は可能だ。
「予定通りバーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊は後方での破壊活動と敵の予備戦力の拘置を。グリゴリ戦線は基地までの突破と基地の制圧を」
「了解」
「では、始めましょう!」
そして、ファティマたちが行動を開始した。
バーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊は後方へと密かに浸透。
「乗り込め、乗り込め!」
グリゴリ戦線はTYPE300装甲兵員輸送車に歩兵が乗り込み、ARM74主力戦車がフォー・ホースメンで訓練を受けた将兵によって運用されて先頭を進む。
そうやって一斉に攻撃が開始された。
「サマエルちゃん。通信妨害を」
「分かったよ」
ファティマたちはゲヘナ軍政府支配地域にてグレースたちバーゲスト・アサルトとデフネたちイェニチェリ大隊とともに行動している。
彼女はグリゴリ戦線のための破壊工作を開始。
『ホーネット・ゼロ・ワンより
滑走路にいたバルチャー攻撃機がSRAT-140携行対戦車ロケットの砲弾を浴びて爆発炎上。残骸によって滑走路がふさがれ、離陸が不可能になる。
『カイザー・ゼロ・ワンより
グリゴリ戦線はその物量の任せて一斉にゲヘナ軍政府と
「前方に敵戦車!」
「撃て!」
前方にMAGのMBT90主力戦車が現れるのにグリゴリ戦線のARM74主力戦車が一斉に砲撃。放たれた砲弾に対してMBT90の電磁装甲が反応するも、敵戦車は撃破された。
「シシーリア様。我々は順調にゲヘナを解放中です。敵の抵抗はあれどこちらの方が勝っています」
「いいですね。このまま前進を継続しましょう」
グリゴリ戦線はその物量でゲヘナ軍政府と
戦場での通信はその全てがサマエルによって妨害されており、ゲヘナ軍政府もMAGもジェリコも状況がどうなっているのか分からない。
「敵、歩兵戦闘車を確認」
「爆破!」
グリゴリ戦線の大攻勢を前に少数の部隊が出撃しようとするも相次いで撃破された。
ゲヘナ軍政府支配地域ではサイレンが鳴り響ているが、どうして警報がなっているのか分からない人間が大多数だ。
「まもなくシシーリアさんたちがここに到達します。もう少しですよ」
「ええ。何とかなりそう」
ファティマたちは可能な限り敵を攪乱し、戦力を拘置してシシーリアたちグリゴリ戦線の部隊を援護した。
グリゴリ戦線の部隊は確実に周辺制圧しながら前進し──。
「ファティマさん!」
「シシーリアさん。さあ、ゴルフ・ワン作戦基地をいただきましょう」
グリゴリ戦線の部隊がファティマたちと合流してかいよいよゴルフ・ワン作戦基地に向けsて仕掛ける。
迫撃砲が基地を砲撃し、自爆ドローンが突っ込み、そしてそれらの攻撃が終わってからバーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊、そしてグリゴリ戦線が突入を開始した。
「殺せ! ゲヘナ軍政府の犬を殺せ!」
「自由万歳!」
相変わらず捨て身の攻撃を仕掛けるグリゴリ戦線。
「目標敵戦車、撃て!」
あらゆる方向から浸透してゲヘナ軍政府の砲兵陣地や予備部隊を叩くバーゲスト・アサルトとイェニチェリ大隊。
「敵の装甲戦力を止めろ!」
「友軍の戦車はどこだ!?」
敵味方問わず対戦車ロケットと対戦車ミサイルが飛び交い、双方は出血しながらも戦いを進めていく。
「ガーゴイル。あそこに敵の対戦車ミサイルがある。潰して」
「了解、少佐」
バーゲスト・アサルトはある程度後方を荒らし終えると前線に向かい、そこで精鋭歩兵としてグリゴリ戦線の前進を支援することにした。
ガーゴイルが口径12.7ミリの大口径ライフルを使用するSR-50CAL対物狙撃銃を使って携行対戦車兵器を持った歩兵や機関銃陣地を排除し、友軍の前進を支援する。
グリゴリ戦線は連携ができていないゲヘナ軍政府側の部隊を次々に撃破して進軍。ゴルフ・ワン作戦基地を制圧していった。
「ファティマさん。制圧完了です」
「やりましたね」
そしてついにゴルフ・ワン作戦基地は落ちた。
皮肉にも今日はバレンタインの日。
ファティマたちはその日を基地の奪取を持って祝い、ゲヘナ軍政府側は血を流して祝うこととなった。
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