ゲヘナ・レボルト//スタート
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──ゲヘナ・レボルト//スタート
「──というわけで、私の余命は残り半年です」
ファティマはデモン・レギオンのメンバーにそう告げた。
ジェーンも、キャスパリーグも、アリスも信じられないという顔をしている。
「冗談、じゃないよな……?」
「事実です。私の体はテリオン粒子によって破壊され、テリオン粒子によって補われています。このままならば私は消滅するでしょう」
「クソ。本当なのか」
ジェーンが悔し気にそう呻いた。
「私はまだ諦めていません。ゲヘナ軍政府を打倒し、エデンとエリュシオンを倒すことで彼らの技術を手にレ、そして彼らの握っている医療技術を手に入れ生き延びますよ」
「それでこそっす、姉御」
ファティマはにやりと笑ってそう言い、キャスパリーグがそう言う。
「半年でゲヘナ軍政府を落とし、エデンとエリュシオンを?」
「そうです。私はやり遂げるつもりです。お願いできますか、アリスさん」
「給料分は働こう」
アリスはファティマの求めに応じる。
「まず打倒すべきゲヘナ軍政府の状況です。アリスさんの報告ではゲヘナ軍政府と
「確かだ。あたしは今ゲヘナ軍政府長官フリードリヒ・ヴォルフに近い地位の人間に近づているからな」
「それならば問題ありませんね」
ファティマがアリスの報告に頷く。
「これからは戦いの主導権は我々が握ります。つまり我々の側から攻勢を仕掛けるのです。ゲヘナ軍政府を相手に、
「勝ち目はあるのか?」
「ジェーンさん。何のために今まで味方を増やして来たと思っているです? そう、こういうときのためではありませんか」
「それはまあ確かにな」
ファティマが自慢げに語り、ジェーンは何とも言えない表情をしていた。
「ゲヘナ軍政府を攻撃するに当たってフォー・ホースメン、ソドム、グリゴリ戦線といった全ての反エデン・エリュシオン勢力を我々の陣営に組み込みます」
ファティマはそう言い全員を見渡す。
「そしてまずはゲヘナ軍政府を打倒し、ゲヘナを掌握。それからエデンへと侵攻します。その次はエリュシオンへ」
「ああ。やろう」
「では、フォー・ホースメンから当たりましょう。バーロウ大佐に会ってフォー・ホースメン隷下の部隊を貸してもらえないか相談します」
ファティマはそう言ってイーグル基地を訪れ、バーロウ大佐と面会。
「ファティマ。あまりいい状況じゃないらしいな」
バーロウ大佐はミアから話を聞いたのか、心配するような表情をしていた。
「ええ。ですのでエデンとエリュシオンの打倒を急ぎます」
ファティマは力強くそう返す。
「そうか。まずは何をするつもりだ?」
「ゲヘナ軍政府支配地域にあるMAG基地の占領によるゲヘナ軍政府への攻撃拠点の確保です。この基地を我々は狙っています」
「ゴルフ・ワン作戦基地か。いいだろう。バーゲスト・アサルトを貸してやる」
「ありがとうございます」
バーロウ大佐が頷くのにファティマが礼を述べた。
「あまり気を落とすなよ。エデンとエリュシオンには治療方法がるかもしれないんだ」
「はい」
バーロウ大佐なりの心遣いを受けつつ、ファティマは派遣されるバーゲスト・アサルトの構成員と合流した。
「ファティマ。バーロウ大佐から話は聞いている。できる限りのことは支援する」
「ありがとうございます、グレースさん」
グレースがファティマたちデモン・レギオンの拠点まで同行し、ファティマたちとともに会議室に入った。
「私たちの狙いはこの不ゴルフ・ワン作戦基地です。航空機を展開可能で、かつ武器弾薬も備蓄されています」
「けど、制圧すべき敷地は広い。バーゲスト・アサルトだけじゃあ戦力が足りない。他に手を貸してくれる部隊はいないの?」
「ソドムかグリゴリ戦線になります」
「ソドムからは武器を、グリゴリ戦線からは人を。それぞれ借りた方がいい」
「了解。当たってみます」
グレースからの意見を受けてファティマはまずグリゴリ戦線へ。
「ファティマさん、サマエルさん。どうされましたか?」
シシーリアがファティマたちを出迎える。
「シシーリアさん。聞いてほしいことがあります」
ファティマは自分の寿命が残り半年であることとそれを防ぐためにテリオン粒子に対する知識があるエデンとエリュシオンを落とすことを説明した。
「半年……? 本当ですか?」
「ええ。事実です。そこで力を貸してほしいのですが」
「分かりました。必要なものは?」
「この基地を占領するのに十分な戦力です」
ファティマはそう言ってゴルフ・ワン作戦基地の映像をシシーリアに見せる。
「グリゴリ戦線として全面的にそちらに協力する準備があります。また私自身も参加して指揮を執りましょう」
「ありがとうございます」
「部隊を編成したらそちらに向かいますね」
シシーリアはそう約束した部隊の準備を始めた。
「次はソドムへ」
「うん」
ファティマたちがソドムの拠点を訪れるとアヤズの執務室まで通される。
「ファティマさん。我々に何か?」
「近々我々はゲヘナ軍政府に対する大規模攻勢に出るつもりです。その際に支援していただければと思い参りました」
「ほう。例のエデンとエリュシオンを落とすという作戦をついに?」
「ええ。理由はシンプルです」
ファティマは自分の余命に関わることをアヤズに明らかにした。
「何と。分かった。そこまでのことならば支援しよう。おい、エルダーを」
そこでアヤズがエルダーを呼び、エルダーがやってくる。デフネもともに。
「エルダー。我々は投資をすることを決定した。ファティマさんの組織にな。よって彼女たちに武器を与えるんだ」
「どうしてそのようか心変わりを?」
「ファティマさんから聞け」
そして、アヤズの言葉を受けてファティマが語り始める。
「というわけです」
ファティマは自分の余命を含めた話を端的に説明した。
「半年……? お姉ちゃんが半年しか生きれないって嘘だよね!?」
「いいえ。事実です。エデンとエリュシオンにある技術ならばそれを変えられるかもしれませんが、今は半年のみです」
狼狽えるデフネにファティマはそう言って肩をすくめる。
「じゃあ、あたしも支援するよ。いいでしょ、パパ!」
「分かった。イェニチェリ大隊を動員してもいい。勝利しなければ見返りはないのだからな。ファティマさんたちには勝利してもらわなければ」
「オーケー。大船に乗った気持ちでいてね、お姉ちゃん!」
こうしてソドムからの支援も得た。
数日後グリゴリ戦線からは兵士が、ソドムからは膨大な数の武器弾薬とイェニチェリ大隊が送り込まれてきた。
「これで始められますか、グレースさん」
「ええ。やりましょう」
ファティマの問いにグレースがそう答えた。
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