異端な私と悪魔な彼女の楽園追放 ～依存系メンヘラ大悪魔と行く失格魔術師のポストアポカリプス世界で下克上！～

初めての仕事//蹂躙

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　──初めての仕事//蹂躙

『スワロー・ツー・ゼロより全機。これより目標に対し共同交戦を実施する。ZEUSを通じて戦術リンクを使用。同時に攻撃を行う。戦術リンクに接続せよ』

『了解』

　ファティマに向かって来る4体のアーマードスーツがZEUSを通じた戦術リンクでそれぞれのそれぞれのアーマードスーツの射撃（F）統制（C）システム（S）が連携し、効率的な火力の投射を実施する。

『全火力を叩き込め。射撃開始！』

　ファティマに向けてアーマードスーツの全ての兵装が叩き込まれた。

「温い、です！　反撃ですよ！」

　ロケット弾の何もかもファティマの展開している赤いエネルギーシールドを無力化できない。ファティマは健在なまま、MAGのコントラクターたちを惨殺していた十本のエネルギーブレードを次はアーマードスーツに向ける。

『スワロー・ツー・ワン！　エネルギーブレードが向かって来てる！　アクティブ（A）防護（P）システム（S）が作動するも迎撃できず！　助けて──』

　赤いエネルギーブレードがアーマードスーツの胸部に突き刺さり、操縦手とベトロニクスを破壊。さらにそのままアーマードスーツの胴体を真っ二つにし、火花を散らしながらアーマードスーツが崩れ落ちた。

『ああ！　クソ、クソ、ファック！　クソの山め！　こちらの攻撃は全く通じてない！　無意味だ！　どうしろってんだよ、こん畜生が！　こいつは何なんだよっ！？』

『連携を乱すな！　勝機はある！』

　地上でアーマードスーツが劣勢となる中、空でも動きがあった。

『ドードー・ゼロ・ワンより地上部隊。近接（C）航空（A）支援（S）の要請を確認した。目標を指示してくれ。すぐに片付ける』

『スワロー・ワン・ゼロよりドードー・ゼロ・ワン！　目標に向けて白のスモークグレネードを投擲した！　さらにレーザー照準器で目標を照射している！　そちらから確認できるか！？』

『ドードー・ゼロ・ワン。目標を確認。攻撃する。地上部隊は警戒せよ！』

　オウル攻撃機がファティマたちに口径30ミリ機関砲、口径70ミリ誘導ロケット弾、小型の対戦車ミサイルであるアーバレスト対戦車ミサイルを一斉に発射した。

『爆撃の効果はどうか！？　目標は撃破できたか！？』

『現在、確認中だ！』

　駐車場は2機のオウル攻撃機から叩き込まれた爆弾の炎と煙で状況はまるで把握できず、目視でも、赤外線でもファティマたちがどうなったのか分からない。

『次の攻撃を準備しろ。相手はまだ無力化されていない可能性も──』

　上空援護機の指揮官機が命令を出そうとするのにオウル攻撃機の防弾ガラスに守られた操縦席にいた彼の目の前に赤いエネルギーブレードが現れた。

　そして、それが一瞬で防弾ガラスを貫き、指揮官の首を切断すると同時にオウル攻撃機のアビオニクスを破壊する。オウル攻撃機が制御を失ってふらふらと飛行するとそのまま墜落し、警察署付近の建物に突っ込み、爆発炎上。

『クソ！　指揮官機がやられた！　敵は対空兵装を保有してやがる！　距離を取って攻撃する！』

　もう1機のオウル攻撃機は回避運動を取りながら急速に上昇と旋回を行い、ファティマに向けて再び全ての兵装を叩き込むために照準を行う。

「やらせません。クラウンシールド展開」

　赤いエネルギーシールド。十本の赤いエネルギブレード。そして、次は七個の赤い王冠状のエネルギーシールドだ。

　サイズ感は暴動鎮圧に使用されるライオットシールドほどだが形状は完全に王冠のそれであり、通常のエネルギーシールドと違って遠隔操作できる盾で、ファティマを中心として円状に展開している。

「迎え撃ってください！」

　その王冠の形をしたリモートエネルギーシールド──クラウンシールドがオウル攻撃機に向けてそれぞれ別の軌道を描きながら飛翔。

『くたばれ、化け物！』

　オウル攻撃機がそれに気づかず一斉に兵装を発射するも機関砲弾も、対戦車ミサイルも、ロケット弾も、その全てにクラウンシールドがインターセプトし、空中で大規模な爆発が生じた。

『なっ！？　冗談だろ！？　どうなって──』

　いきなり生じた空中の爆発にオウル攻撃機のパイロットが困惑するのもつかの間、指揮官機同様に飛来した赤いエネルギーブレードによって操縦席が貫かれ、操縦士は何も理解できないまま死亡し、オウル攻撃機は墜落した。

『上空援護機がやられたぞ！　どうしろってんだ！？』

『あのエネルギーブレードがこっちに向かって来てる！　誰か──』

　上空援護機は壊滅し、アーマードスーツは次々に赤いエネルギーブレードによって屠られた。残る駐車場の廃車と言った遮蔽物に隠れている歩兵も遮蔽物を迂回して攻撃を行う赤いエネルギーブレードを前に次々にやられている。

『クロコダイル・ワン・フォーよりスワロー・ゼロ・ワン！　目標（パッケージ）を脱出させたい！　パワード・リフト輸送機を警察署の屋上に寄越してくれ！』

『了解だ。ここから脱出するぞ』

　ここでMAG部隊が裏切ったフォー・ホースメンの兵士2名を連れて逃げようとする。空中機動部隊のパワード・リフト輸送機が警察所の屋上に向けてアプローチし始めた。

「お姉さん。お姉さんを撃った裏切者が逃げようとしているよ！」

「分かりました、サマエルちゃん！　絶対逃がしません！」

　サマエルの言葉にファティマがすぐさま警察署の屋上に向かっているパワード・リフト輸送機を睨むように見る。

『シャイヤー・ゼロ・ツーよりクロコダイル・ワン・フォー。こちらは間もなく警察所屋上に──』

　警察署の屋上に向かっていたハミングバード汎用輸送機が両翼の反重力エンジンをファティマの放った赤いエネルギーブレードで貫かれ空中で爆発。炎上する残骸が警察署の屋上にぶつかりながらも駐車場に落下していく。

「さあ、殲滅です！」

　ファティマがにやりと笑い、十本の赤いエネルギーブレードを舞うように振るった。

『畜生！　この──』

『小隊長殿！　撤退命令を！　このままでは全滅です！　うわ──』

『本部（HQ）、本部（HQ）！　こちらスワロー部隊！　援軍を要請する！　上空援護機及び輸送機が全てやられた！　今現在、我々は──』

　MAG部隊は上空援護機を失い、続いてパワード・リフト輸送機を全て撃破され、アーマードスーツも全滅し、指揮官も死亡。残るMAGのコントラクターたちは警察署内に逃げ込むも、ファティマが迫ってきていた。

「近づかせるな！　何でもいいから叩き込め！」

「全て防がれてる！　まるで意味がない！」

　警察署のエントランスに急ごしらえの陣地を作ってMAGのコントラクターたちがファティマを射撃するが、ファティマが前方に展開させたクラウンシールドによって銃弾も爆弾も通じない。

「目標（パッケージ）はいただきます。さようなら」

　ファティマは警察署のエントランスに再び踏み込むと、MAG部隊の残党を殲滅した。

　もはや警察署の周りには大量の死体と鉄くずが転がっている、人間に焼ける臭いと血の臭いが漂う地獄と化していた。

「片付きました。終わりです！」

　ファティマは警察署のエントランスで満足そうにそう言う。

「お姉さん。その、どうかな？　その力、使えそう……？　使えるといいなって思うんだけど……」

「もちろんです！　とても使えますよ！　凄いです！　サマエルちゃんにはとても感謝していますよ！」

「良かった……」

　心配そうだったサマエルがファティマの笑顔にぎこちなく微笑む。

「では、目標（パッケージ）を確保しましょう。仕事（ビズ）はMAG部隊の殲滅ではありません。目標（パッケージ）の確保と引き渡しです」

　ファティマはそう言うと警察署内を進み、フォー・ホースメンの兵士2名を探した。

「ひっ！」

　フォー・ホースメンの兵士たちは3階のオフィスに隠れていた。そこにファティマがMTAR-89自動小銃を握って現れる。

「おや。こんなとろにいましたか。さあ、来てもらいますよ？」

「お、お前、何で死んでないんだよ！　死んだはずだろ！」

　ファティマが今度は銃口を向けたまま油断しないのにフォー・ホースメンの兵士が困惑と絶望から叫ぶ。

「何故でしょうね？　私にも分かりません。ですが、あなた方が私を殺そうとしたことははっきり分かっていますし、このことはフォー・ホースメンの司令官であるバーロウ大佐にも伝えるつもりです」

「ま、待て。取引しないか？　俺たちをこのままMAGに引き渡せば、あんたのこともゲヘナ軍政府に保護してもらうよう交渉してやるよ。ど、どうだ？　損は──」

　そこでファティマがフォー・ホースメンの兵士の頭をのすぐ脇にMTAR-89自動小銃から銃弾を叩き込んだ。

「お喋りは私とではなく、バーロウ大佐とすることですね。次は当てますよ。ついてきてください。逃がしません」

　ファティマは冷たい表情でそう宣言した。

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