初めての仕事//警察署の戦い
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──初めての仕事//警察署の戦い
ファティマはは指揮官と下士官を殺害。さらにスタングレネードを放り込むことによってMAG部隊は混乱に陥っている。
「残りは積極的に」
ファティマは視界、視野、見当識を失ったコントラクターたちを手早く銃撃で片付けながら、応戦しようとするセンサーが無事な
『クロコダイル・ワン・ツーより全部隊へ! アーマードスーツがサーマルセンサーによる攻撃を実施する! 警戒せよ!』
ヘカトンケイル強襲重装殻がそう警告を発し、アーマードスーツが熱源を探知するサーマルセンサーを利用してファティマたちを狙おうとする。
「そして、スモークグレネードをドン、です」
ファティマは次にスモークグレネードを投擲し、戦場が白い煙に覆い尽くされた。それによって敵はファティマの捕捉が非常に困難になる。
スモークグレネードで生じた煙幕においてもサーマルセンサーは熱源を捉えるものの、それだけでは友軍と敵の識別がつかないという問題点がある。そのため友軍部隊は友軍識別のためのストロボを使用していた。
だが、既に殺害したコントラクターからその識別用ストロボを奪ってたファティマはそれを使用し、相手が友軍識別を行うのを困難している。
「さあ、一斉に片付けてしまいましょう」
ファティマは残りのコントラクターに向けてライフル弾を叩き込みながら殺害し、射撃できない
「おい! どうなってるんだ!? 誰か──」
人体同様、頭を奪われた軍は脆い。誰が指揮していいかの混乱が生じ、さらに指揮を継承する人間に部隊を指揮する能力が欠如している故に。
「それ、貰いますね」
「貴様──」
ファティマは携行対戦車ロケットを保有していた兵士に煙幕の中で肉薄するとMTAR-89自動小銃の近距離射撃で
「あ、あが……」
「いただきます」
致命傷を負って苦しむコントラクターから携行対戦車ロケットを奪取。
ファティマがコントラクターから奪ったのは砲弾口径140ミリのSRAT-140対戦車ロケットだ。開発されて随分と経つが信頼性があり、様々な用途に使えることかrあエデン統合軍で広く使用されている。
「さて、アーマードスーツを叩きますよっと!」
「敵が対戦車兵器を奪取した! 使用させるな! 撃て!」
コントラクターたちはファティマが携行対戦車ロケットを奪ったことを察知し、すぐさまアーマードスーツや
アーマードスーツや
「おっと! エネルギーシールド展開です」
銃弾が降り注ぐのにファティマがエネルギーブレードと同じようにエーテル粒子を操作することでシールドを展開。
ファティマを中心に青緑色の粒子がドーム状に広げられ、敵が叩き込んできた銃弾がそのエネルギーシールドによって防がれる。
「やれやれ随伴歩兵がまだ頑張ってますね。邪魔されても困ります。可能な限り牽制しておきましょう。ということで、ホイです!」
ファティマは自分を銃撃するコントラクターたちに向けてピンを抜いたキャニスター手榴弾を投擲。
AIによって制御される
「うわっ──」
電子励起炸薬が爆発し衝撃波が生じると同時に内部に仕込まれていた無数の小さな鉄球が周囲に撒き散らされた。生じた鉄と炎がコントラクターを殺傷し、血を流させ、死に至らしめる。
「効果大、ですね」
自分はエネルギーシールドで身を守っていたファティマがMAGの歩兵部隊が大きな損害を出したのを確認した。
「退避、退避! 遮蔽物に隠れろ!」
「クソッタレ! 殺してやる!」
その損害から立ち直るためにコントラクターたちからの射撃が一時的に止まり、ファティマは一時的な自由を得た。
「オーケーです。この隙にアーマードスーツをやっつけましょう」
未だにスモークグレネードの煙幕でまともに行動できていないヘカトンケイル強襲重装殻の側面にファティマが素早く回り込む。
『クロコダイル・ワン・ツーより全部隊! 敵の位置を戦術リンクにアップデートして共有してくれ! 攻撃できない!』
ヘカトンケイル強襲重装殻はアーマードスーツの構造としては一般的な全長2メートルほどの装甲化されたボディと2歩の脚部を有し、2本のメインアームと4本のマニュピレーターアームを備え、曲線的なデザインが特徴的な兵器である。
その多種多様な兵装による火力支援、装甲による防護、そして空中機動可能という展開速度の速さが売りの兵器だ。
駐車場に展開している2体のヘカトンケイル強襲重装殻は大規模な戦闘を予定していなかったためか軽装。その装備は固定兵装であるテレスコープ弾を使用する口径40ミリ機関砲とメインアームに装備する口径12.7ミリ重機関銃だけである。
それも今は攻撃できていない。
「操縦者が慣れてませんね。これはチャンスです」
ファティマは携行対戦車ロケットのランチャーを肩に背負って構える。
ランチャーに装備されている熱光学照準を覗き込み、アーマードスーツの熱源をランチャー搭載のAIがロックオン。
「行きますよっと」
ファティマがランチャーの引き金を引き、限定的な半誘導攻撃モードで対戦車ロケット弾を発射した。対戦車ロケット弾の推進剤が点火して加速し、一気にアーマードスーツに向けて飛翔する。
『警告!
アーマードスーツから警報が飛び、アーマードスーツの近接防衛用高出力レーザーが作動し、向かって来る対戦車ロケットを迎撃しようとした。
しかし、距離が近すぎたこととSRAT-140携行対戦車ロケットは
『クソ! 脱出──』
ミサイルがアーマードスーツに直撃し、タンデム弾頭の
「畜生! アーマードスーツがやられた!」
『こちらクロコダイル・ツー・ワン! ちゃんと援護してくれ! やられちまう!』
「じゃあ、まともに戦え!」
アーマードスーツが爆発してMAG部隊の混乱がさらに加速する。
「順調、順調。歩兵を片づけて装甲目標に集中しましょう」
ファティマは警察署の駐車場に放置されている車の残骸の陰から陰に移動し、自分の位置を把握しにくくしていた。
「敵はどこだ!?」
「現在、偵察妖精を展開中! 周辺を把握します!」
MAG部隊が戦術級偵察妖精を展開しようとしており、そのことにファティマが気づいた。戦術級偵察妖精を展開されると相手が奇襲による混乱から立ち直る可能性がある。
「では、ハンターキラー妖精を展開です。相手に空は取らせませんよ」
ファティマはかつては機能していた警察が機動隊を移動させるために使用していた人員輸送車の残骸の陰から、ハンターキラー妖精を生成し、上空に飛び立たせた。
MAG部隊が打ち上げた戦術級偵察妖精が上空を飛行して偵察を行おうとするのに、ファティマのハンターキラー妖精が突撃。妖精と言うエーテル粒子で出来た物質同士が激突したことで両方が機能を失う。
「おい! 偵察妖精は!?」
「撃破された! 敵は高位魔術師だ! 恐らくはアルファ級高位魔術師!」
MAG部隊は指揮統率もまともに機能していない状況で、敵の位置も規模も分からず、ただただ守勢に立たされていた。
「戦いに勝つには戦場での主導権を握ること。そして、主導権はいつの時代も攻撃によって得られる。常に攻撃し、迅速に行動、そして常に敵の不意を打ち続けることが寡兵が勝利する条件なのです」
ファティマはMTAR-89自動小銃に
そして、2台の
「救援を要請しろ! 救援だ! 俺たちは負傷者を抱えている! そして、敵は高度に訓練された人間だ! このままじゃ皆殺しにされるぞ!」
「爆発の確認に言った連中は戻ってきてないのか!?」
MAGのコントラクターは応援を呼ぼうとしていた。
既にMAG部隊は8名の歩兵のうち4名を殺され、アーマードスーツ1体が戦闘不能。恐らく報告を受けて爆発の確認に向かった1個機械化歩兵分隊が警察署に戻ってきているだろうが、すぐには到着しない。
「では、纏めてドカンです」
ファティマはMTAR-89自動小銃の熱光学照準を覗き、狙いをしっかりと縋るように
「応援はまだ──」
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