七月十八日(月曜日)
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この日は予約が一件も入ってなかった。
たまに突然の予約が入ることもあったが、
そんなことは夏に雪が降ることよりも珍しかった。
僕は午後から店を閉めて
「稲置市営温水プール」
に行くために家を出た。
三十を過ぎて増え続ける体重に危機感を覚えて、
半年前から通い始めたのだ。
服装は白のタンクトップに下はハーフパンツ。
そして裸足にサンダルという夏場の僕の普段着だ。
本来であれば運転時のサンダルは違反なのだが、
「稲置市営温水プール」
まで車でおよそ五分ということもあり、
この程度ならばと高を括っていた。
ここに通い始めたのは
もう一つ大きな理由があった。
蝉丸空(せみまる そら)
このプールの女性職員である。
年齢は二十代前半。
塩素によりやや脱色された髪の色が
それとなく水泳経験者を物語っていた。
色白で小柄だが、
そのプロポーションの良さは
水着姿の彼女を見れば一目瞭然だった。
「稲置市営温水プール」は
火曜日が休館日になっていて、
それ以外で彼女がいない日は水曜日だった。
当然、今日は彼女がいる日だった。
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