第3話 魔法世界の魔女裁判

 魔女裁判。

 皆さまがたのなかには、おもわず苦笑いされた方もいらしゃることでしょう。

 剣と魔法のこの世界で、魔女裁判? と。

 ですが、かつてある街でこの魔女世界が実際におこなわれたことがあるのです。

 判決は—— 死刑でした。

 どんな罪をおかしたか気になりますか?

 それならば、60年後にその事件に巻込まれた若き青年ホルトの話をお聞きください。



第3話 魔法世界の魔女裁判-----------------------------------------------------


「そこの勇者どの、その街道を通っていくのはやめなされ」


 ホルト・クロイツは街の酒場でひとりの老人に声をかけられた。

 ひとごとのように聞き流したが、老人に肩をつかまれ、ホルトはそれが自分にむけられたことばだとわかった。


 ホルトは老人の手をやんわりとはらいながら言った。

「おじいさん。勇者はよしてくださいよ。まだぼくはパーティーを組むどころか、だれひとりとして、仲間になってくれる者とも巡り合えていないんだから……」


「そうかね。わしにはおまえさんがそれだけの資格を、じゅうぶん持っているように見えるがね」

「あ、ありがとうございます」

 ホルトは素直に感謝のことばを口にしたが、これが酒の一杯でも驕ってもらおうというこの老人の手口ではないかといぶかった。

「すみません。お酒をおごれるほど、手持ちがないんで……」


「だれもおまえさんにたかろうだなんて、これっぽっちも考えちゃおらんよ」

「あ、あぁ、失礼しました」

 

 ホルトはすこし気まずい気分で、老人の顔をのぞき見た。

 賢者を思わせるローブ姿の老人は、フードをかぶっていたため、顔はよく見えなかったが、目の下や目尻には深い皴が刻まれ、頬はいくぶん垂れ下がっていた。顎をおおう立派な髭は白いものが目立っており、相当年を召しているのは感じ取れたが、ホルトを見る目は、とても老人のものとは思えないほど鋭かった。

 その眼光だけで、この老人がただならぬ人物だと感じ取れた。


「でも、なんでその街道を通っちゃいけないんです?。もしかしたら、ゴブリンとか、ワーウルフとかがでるんですか?」

「いいや、この街道はとても安全だよ。街道は路面も整備されているし、魔物や肉食獣なんぞ潜り込めんようになっておる」


「ーーですよね。ぼくもそう聞いてたから、こちらの街経由で王都に向うことにしたんですから」


「だがーー、おまえさんは、ちとまずいのだよ」


 そう言いながら老人が壁に貼られた、一枚の絵をさししめした。


 それは古めかしい額にはいった肖像画だった。おそろしく精巧をきわめた、複雑な紋様が彫られた額は、その絵に威厳を与えていたが、ところどころ破損し、木材の一部がくすんでいて、かなりの年代ものであることがわかった。


 ホルトはその絵から目がはなせずにいた。


 そこに描かれた人物が、自分そっくりだったからだ——。


「こ、これは……」


「おまえさんにそっくりだろう」

「ええ。年は12、3歳くらいだけど……これは……ぼく、そっくりだ」

「そう……。だから、おまえさんがその街道に近づけば、ミケネーに取り憑かれるかもしれんのじゃ」

「ミケネー?。誰なんです?」


「それを説明するには、いにしえの事件を話さねばならん……」


 老人は声をひそめて言った。

「実は60年ほど前、この街の裁判所で、魔女裁判が開かれたことがある」


「えっ?」

 ホルトはおどろいた。

「ここは剣と魔法の世界ですよ。魔女裁判ってどういうことです? 魔女がいてあたりまえでしょう?」

「そうだな。だがあった……」


「そして『死刑』の判決がくだされた」



「バカな。この世界で魔法を使ったとしてても、それは魔女だからあたりまえのことじゃないですか?」



 老人はおおきく息を吐きだしながら言った。



「黒魔術が使われたのだよ」



「いや、そんな……ばかな……」

 ホルトは耳を疑った。

「ぼくはマーベルグ魔法学園の出身ですが……」


「ほう、名門だな。あそこはじつにいい学校だ」

「いえ、どうも……」

「だが、黒魔術については、まったく教えてくれなかった?」

「そ、そうです。存在しないということは、なんとなく感じ取れましたけど、一度もその話が授業で言及されたことはありません」



「だが黒魔術は存在するのだよ」

 老人は念をおすように言った。


「おまえさんはマーベルグ魔法学園の『戦士科』だったのではないかね?」

「ええ、そうです。ですが魔法についても魔法科と同等のカリキュラムを……」

「魔法科の生徒にしか教えんこともあるのだよ」

「ぼくの魔法科の友人からも、そんなことは……」



「死んだ人間を蘇らせた——」



 老人のひとことで、ホルトはことばを続けられなくなった。一瞬にして思考の一部がふっとどこかに飛んでいったような気分だった。


「ま、まさか。それは禁忌中の禁忌……」



「そう。黒魔術は、最愛の男、シーランを生き返らせるため使われた」


「そう。黒魔術は、最愛の男、シーランを生き返らせるため使われた」




 宿に戻ったホルトは、老人の話が気になったものの、ここまで来て引き返すことはできないと判断した。この街道を抜けたところにある町に、勇者パーティー登録のためのギルドがあるのだ。

 ギルドへの登録なしに冒険の旅にでても、パーティーは組めないし、なによりクエストの依頼を受けることもできない。ここ以外のギルドで登録しようとすれば、もう数ヶ月無駄にするのを覚悟するしかない。

 前に所属していたパーティーを抜けてから、すでに2ヶ月も経っていて、手持ちの金もこころもとない。

 どんなに思案したところで、はなっから選択肢はないのはわかっていた。


 ホルトは朝一番で出立することにした。街道を抜けるにしても、朝方であれば安心だし、なにより問題の場所へは、真っ昼間に通りかかることになる。


 話では街道沿いに森を抜けていくと、ふいに視界がひらけて広場が目の前にひろがるということだった。

 そここそが、死刑執行所の跡地——


 そういう話だった。

 だが、ホルトが実際にその広場にたどりついてみると、そこは拍子抜けするほど、なんにもない野っ原だった。


 ホルトは頭上から降り注ぐ日の光を、手でひさしを作ってさえぎりながら、広場の果てのほうに眼をやった。処刑場の設営のため森を切り開いた、と聞いていたが、いまはただ草が野放図に生えた野原でしかなく、それらしい痕跡や施設なども残っていなかった。



 60年も前の話だからな——



 ホルトはびくついていた自分を、気恥ずかしい思いで照れ笑いしながら、あるきだした。

 リュックの金具に、ぶら下げていた鍋がふれてカチャンカチャンと音をたてる。その音がひろい野原に、いやに響いて感じられた。


 なんとも耳ざわりな音だ——

 

 ホルトは足をとめてリュックを降ろすと、金具をチェックしようと片膝をついて下をむいた。

 その瞬間——


 かがんだ自分の頭上に人影が落ちた。


『ちょっとぉ、シーラン。そんなところで座りこまないでおくれよ』


 頭上でしゃがれ気味の女性の声が聞こえた。

 ホルトが驚いて顔をあげると、そこに小太りの女性が立っていた。


「あ、いや……」

『シーラン、あんたがそこに座り込むと、ほら、馬車が通れなくなるじゃないか』

 そう言って女性はホルトのうしろを、あごでさししめした。


 ホルトは驚いて顔をうしろにむけると、シーランの背後にゆっくりと、馬車が迫っているのがわかった。


 ホルトは呆然とした面持ちで、あたりをみまわした。



 そこに村があった——


 街道の両側を挟んで、簡素ながらもしっかりとした作りの、わらぶき屋根の家々がひしめき、そこここの煙突から煙があがっている。

 食欲をそそるいい匂い——

 もしかしたら、昼ご飯の時間なのかもしれない。

 ホウキにまたがった女性がふたり、屋根の上を飛んできながら、こちらに声をかけてきた。

『あら、シーラン。こんな時間にお目覚めかしら?』

『またホーキンズさんに叱られましてよ』


 ホルトはおもわず答えた。

「ブリードさん、マリードさん、ぼくはとっくに起きてますよ。いまからメッセ先生のところで、魔道書の二巻目の魔術を教えてもらうところです」


 ホルトは自分の口からついてでたことばに、驚いていた。

 いつの間にかこの村のことを知っていた。この村のこと、そこにいる人たちの名前、どの家にだれが住んでいるかさえ、なぜか知っていた——



 目の前の小太りの女性、そう、レットルさんがしゃがれ声をはりあげた。

「ブリード、マリード、あんたら、ずいぶん腹がめだつようになったじゃないか。おとこンとこ、戻らなくていいのかい?」

「あら、レットルさん。わたくしたちは、魔女のしきたりに従ってるまでですわ」

「そうですよ、レットルさん。出産はかならずこの村でおこなうこと。それに子供を産むのに、男の出番なんかありませんわ」



『おい、シーラン!』

 ふいにうしろから背中を強く叩かれ、ぼくはおもわず前につんのめった。

『魔術もいいが、剣術もしっかり学んでいるか!』


 この村でこんなに荒っぽく接してくるのは、魔法戦士のモリットしかいない。

「いたいよぉ。モリットぉ」


 浅黒い茶褐色の皮膚、鍛え抜かれた、筋肉隆々の腕——

 モリットは女性だが、ちいさいときから父親代わりとなって、ぼくを鍛えてくれた。


『シーラン、おまえさん、隙がありすぎだ。いついかなるときも、神経をまわりに張り巡らせろ、って教えたはずだぞ』

「ここは森のなかじゃないよ。もう、モリット、もうすこし加減してくれよぉ」


『男の子がなぁに泣き言いってる。おまえさんはこの村、唯一の男なんだ。もうすこししゃきっとしてもらわんと…… それもこれもララルンガが甘やかせたからなんだろうな』


『あーら、モリットさん。聞き捨てなりませんわね」

 数冊の本を抱えて、すーっと地面を滑ってきたのは、ララルンガ先生だ。モリットの顔がくっつきそうなところまできて、ぴたっと止まった。

 ララルンガ先生は三角型の眼鏡を、すっと持ちあげて言った。

『モリットさん、男の子だからわんぱくで良いという時代ではないのですよ。男性もエレガントであるべき時代なのです』


『ねぇ、シーラン。あなたには純血の血を絶やさない、という重要な役割があります。でも洗練されてない男性でなければ、だれもあなたを選んでくれませんわよ』


『でもつよさも必要だ、ララルンガ』

『ええ、それはもちろんですとも。なにもあなたの授けた強さを否定しているわけではございませんのよ。スタイリッシュな強さをと……』


 そのとき、村の通りの奥のほうから、ぼくを呼ぶひときわ目立つ声がした。


『シーラン!。食事は済んだのかい』


 母さんだった——

 にこやかな笑顔を浮かべながら、家の窓から手をふっていた。


『母さん。メッセ先生の魔術の訓練がおわってからにするよ』

 ぼくは大声でそう叫ぶと、森の奥のほうへ走り出そうとした。


 村のひとたちみんなが、ぼくを見ていた。とてもあたたなか視線。

 魔法の力を借りなくても、すぐにわかった。


 愛おしそうな目をむけるひと——

 心配そうな目でぼくをみつめるひと——

 頼もしそうに見送るひと——


 ぼくにとっては、村のみんながぼくの母さんだった——




 ふいに一瞬にしてあたりが真っ暗になっていた。

 さきほどまで、肌を炙るような太陽の日差しが満天から降り注いでいたはずだ。


 ホルトははっと我にかえった。

 あわててあたりを見回すと、さきほどまであったはずの村は跡形もなく消えうせて、最初にみた、荒れ果てた野原がひろがっていた。

 

 だが、おかしなことがあった。

 いつのまにか広場の中央に一本のおおきな杭が立っていた——


 ホルトははっと我にかえった。


 あわててあたりを見回すと、さきほどまであったはずの村は跡形もなく消えうせて、最初にみた、荒れ果てた野原がひろがっていた。

 

 だが、おかしなことがあった。

 いつのまにか広場の中央に一本のおおきな杭が立っていた——


 ホルトはその杭から目がはなせずにいた。


『シーーーーラァァァン……』


 女性の声が響くとともに、杭にくくりつけられた女性の姿があらわれた。後ろ手に縛られて、がっくりと首をたらしていた。

 突然、その杭の根元から蒼白い炎が、ぼわっとふきあがった。

 一瞬で女性の全身を包み込むようなおおきな炎。

 蒼い炎が女性のからだを這い回っていく。足首まである長いドレスを燃やし、皮膚を焦がして、熱で皮膚が風船のように膨れあがって破裂した。

 苦しげに顔をゆがめながらも、女性は叫ぶ。


『シーーラァァン……』


 ひらいた口から炎がもぐりこみ、顔を中から焦がしていく。水分の沸騰によって眼球は膨れあがり、ぽん、と間の抜けた音がして、水晶体があたりにはじけとんだ。目の玉がどろりと垂れ落ちて、真っ黒な眼窩がんかがあらわになる。


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」


 ホルトはおもわず尻餅をついた。

 手や脚がガタガタとふるえて、言うことをきいてくれない。


『シーーラァァン……』

 

 街道をはさんで反対側にある広場から、声が聞こえた。

 ホルトがおそるおそる目をむける。


 そこに二本目の杭が立っていた。

 さきほどよりもかなり年配の女性が、縛られて蒼い炎に焼かれていた。


『シーーーラン……』


 その女性の声はあたまのなかに直接、吹き込まれてきた。



 その女性をホルトは知っていた。

「ララルンガ……せん……せい」


 おもわず口から名前がもれでる。


 別の場所に三本目の杭が立っていた。長い髪の女性が焼かれていた。

「ブリードさん……」


 呆然としているホルトをあざ笑うように、四本目、五本目と、次々と広場に杭があらわれていった。

 そのなかでもひときわおおきな杭に縛られていたのは、モリットだった。

 あの自慢の筋肉がまるでロウのように、どろどろと溶け落ちていっていた。

「モリットぉ」


 ホルトは泣いていた。

 なにが起きているか、わからなかった。なぜこんな幻影を見せられているのか、わからなかった。

 だけど怖くて、そして悲しくてしかたがなかった。


 みるみるうちに広場は、蒼い炎にからだを焼かれる魔女たちでいっぱいになっていく。

 ゆうに100人を超える魔女たち——


 そのなかに母さんの姿があった。

 完全に焼け落ちて、黒い炭となっていたが、ホルトにはそれがシーランの母であると、すぐにわかった。

 ホルトはその場に泣き崩れた。

 まわりで次々と焼かれていく魔女たちの姿に囲まれたまま、それをただ見届けることしかできない無力さに涙を流すしかなかった。



 燃え尽きた魔女が杭から抜けだし、青白い幽体となって宙を舞いはじめた。煙のように長い尾をひいて、ホルトにまとわりついてくる。

 目玉をなくして、表情もわからない魔女の幽体が、口元に笑みをたたえながら、ホルトの頬をかわるがわる撫でていく。


 ホルトは自分がシーランの代わりに、魔女の霊に取り殺されるのだと悟った。

 やはりあの老人の忠告どおり、この街道を通ってはならなかったのだ。あの肖像画をみたときに、引き返すという選択肢をもつべきだったのだ。


 すべての魔女が杭からときはなたれ、幽体となってホルトを取り囲んだ。魔女たちが呼ぶその声は、まるで呪詛のようになんどもなんども、頭のなかでこだました。

『シーラン、シーラン!、シーラン、シーラン、シーラン……』 



『シーラァァァァン…… いとしい、わたしたちミケネー族の、たったひとりの男の子……』


 その瞬間、ホルトは雷にでもうたれたように、すべてを理解した。

 頭のなかに彼女たちの思念が、すっとはいってきたのだ——


 そうか……そうだったのだ。

 彼女たちが禁忌をおかしてまで……全員の死をもってまで蘇らせたのは……



 ミケネー族に千年ぶりに産まれた、男の子だったのだ——



 女しか産まれない運命を宿命づけれたミケネー族。

 そんな彼女たちのあいだに、千年ぶりに産まれた男の子がシーランだったのだ。


 シーランは魔女たち全員の寵愛を受けた——


 シーランの屈託のない笑顔は、彼女たちの生き甲斐であり、シーランの男らしい仕草は彼女たちの楽しみ、そして魔女族の男しか持ちえない特殊な魔力は、彼女たちの希望だった。


 だが12歳になったある日、シーランは謎の病であっけなく命を落としてしまった。

 ミケネーの女たちの、命懸けの魔力もおよばなかった。


 そのとき、彼女たちの、未来、希望、生き甲斐…… なにもかもが一瞬でついえた。

 その悲しみはいかばかりだったろうか。

 その絶望はどれほど深かったのだろうか——


 そして全員の命をさしだしてでも、シーランを救おうと決断するまで、どれほどの葛藤を重ねたのだろうか? 

 禁忌をおかせば許されようもない罪を背負うというのに…… 

 なぜ、そんな無茶な決断をくだしたのだろう。


 いくら貴重な男の子だと言っても、100人の命とつり合うものだろうか——

 

 ホルトは心の中で問うた。

 だが、その答えはすぐにやってきた。


 あぁ……

 そうだ、なにも難しいことでも、無茶なことでもない——


 ホルトはいつの間にか回りを取り囲む魔女の霊たちにむかって呟いていた。


「お・か・あ・さん……」


 母なら、息子のため自分の命をさしだすことに、なにをためらうことがあるだろうか?。

 

 ここにいる全員がシーランの母——

 血はつながっていなくても、だれもが母親であろうとしたのだ——

 

 ホルトの涙はとまらなかった。

 彼は自分を取り囲むように浮遊する、魔女の幽体を見あげながら言った。


「シーランを……あなたたちの大切なひとを思い出させてごめんなさい。でもぼくはシーランではないんです。シーランの代わりになれない」


 蒼白い幽体がホルトのまわりを、ぐるぐるとまわりはじめた。

 そしてそのまま竜巻のように、上にあがっていくと、空の上で、パーーンとはじけるように飛び散って消えた。

 

 それはまるで夜空に打ち上げられた花火のように見えた。

 そしてそれはとてもあたたかな光だった。


 

 ホルトはその光を見あげたまま、気をうしなった。



 ホルトは広場のまんなかで倒れていた。

 すでに日が傾きかけて夕陽が、野原に赤々とした日差しをなげかけている。


 起きあがろうとしたとき、ホルトは自分がなにかを握っていることに気づいた。


 それはちいさなブローチだった。

 青色の石がついていた。まるで蒼い炎のような、妖しげな色の石——

 

 夕陽が照り返して、ブローチの中に光がさす。

 それはまるでいくべき道を指ししめしているようだった。


 ホルトはからだについた土をパンパンとはらいながら立ちあがると、広場全体にとどくような声で言った。


「シーランを探してきます」



「そして、お母さんたちがいるこの場所へ、かならずシーランを連れて戻ります」



 ささやくようなさわさわという音がして、広場をさわやかな風が駆け抜けた。

 

 そしてまるでホルトをうながすように、やさしくその背中をおした。



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いかがでしたでしょうか?

もっと怖い話が読みたい?


では次のお話はどうでしょう




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