　それは意思を持ち、固執する。

　ただ、あの自分と同じであったはずの存在に。

　いや、本当は違ったのかもしれない。

　ただ、自分が仲間意識を作っていただけなのかもしれない。

　それでも。

　その存在が、自分には大きく、ひとり歩き出した時は羨望と嫉妬と、憎しみが入り混じった。

　ああ、ああ、なぜ。

　だからそれは、手を取った。

　あの青年の甘言に吸い寄せられた。

　今ならきっと、

　そう、きっとだ。

　あの存在と並ぶ、いやそれ以上になれるだろうと確信している。

　自分を目にしても、歯牙にも掛けないのは腹立たしかったが、これできっと無視などできないだろう。

「おまえは、わたしを存在を無視したことを後悔する」

　喉が鳴る。

　さあ、もっと力をつけなければ。

　全てがもう、自分の手の中だ。

　来い、お前という存在を喰らってやる。

　そしてわたしが、なりかわる。

　ただ一つ存在できる者に。

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