第10話

「石田…保健医居ないからっておっぱじめるのは良くないぞ」


「なにもしてないですよ…吉田先生」


バツが悪そうにしている吉田先生にそう声をかける

……実際何も無かったのだし


「……とりあえず血は止まったか?痛みとか腫れは?」



「血は一応止まりましたが、まだ痛いです……もう少し休んでもいいですか」


さっきの未来さんの様子を見て少し考え事をしたかった為言い訳を用意して吉田先生を見る


「あー、石田なら大丈夫だろ……裏口入学だし」


「……時期はズレましたけど学力試験は受けました……大丈夫なら休みますね」


……ちゃらんぽらんな雰囲気を感じたがいいなら休もう……今未来さんの前に戻ったら私がどんな顔をするか分からない…


「じゃあ何かあったらそこの電話の内線で職員室まで繋いでくれ……戻る時間はまあいつでも大丈夫だろ…」


吉田先生はそう言ってもうは済んだと出ていってしまった


「……適当な人っぽいですね…やっぱり」


私は少し溜め息を吐きながら…さっきの出来事を考えていた…

……私はそこまで鈍くなかったのだ…


「…未来さん私の事を…」


素直に嬉しいと思ってしまう…

違う…駄目…私は石田望海じゃないんだ…

でもあの子のことを泣かせたくない


「どうしよう…どうしよう…未来さん」


……なんで…なんで私は前世の記憶なんて持っているの…

これがなければきっと…いや私が未来さんが好きなのは…女なのに女の子が好きだと素直に言えるのは男の意識が残ってるからだろう…


でも…でも…


「……気持ち悪い」


浮かぶ記憶は襲われたあの日のもの

女として…男としての性欲を身勝手にぶつけられたあの日私は思ってしまったのだ


……心底気持ち悪いと…

そして……元々男だった自分は…あんなものを持っているんだと…

それがたまらなく嫌で…でも抑えられなくて…


悶々としたものを何とか自分一人で発散してその度に自己嫌悪で吐いていた


「……未来…私は…」


…告白されたら断らなきゃ…


「…俺は…あなたの考えているような子じゃないの……」


それがどんなに辛くても



───────


先生に望海を任して逃げてしまった私は廊下で1人頭を抱えていた


「……私…そうだったんだ……」


私は望海のことが好き……それも付き合いたいとかそう意味で…不意に自覚してしまった

……望海も私の事は好きだとは思う……でもその好意はどっちの……?


……私は彼女が何か線引きをしているのは感じてるのだ


「いいのかな……私…」


私が告白したら彼女はどう思うのだろう

受け入れくれるのだろうか

それとも断られるだろうか

……女同士なんてとか言われるだろうか…


……不安が頭を占める…


「……とりあえず授業受けなきゃ」


集中出来ないであろう授業へ戻る為私は早足で廊下を歩いた



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2度目の人生でTS転生して女子校に通う話 ザコンディ @kirieereison0605

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ