第9話


体育は全員の測定を終えても時間があったため、残り時間をサッカーで消化することになった

私は足も早くないし、ボールを蹴るのも得意ではないので別にいてもいなくてもいいと言われたキーパーをすることにした


そして…試合の状況は…御堂さんと涼風さんがバチバチにやり合ってる…2人とも運動神経が良すぎる…


周りもそんな2人の対決が見たくてボールが自然とそっちにパスされていく


ちなみに御堂さんの方が優勢に見える…涼風さんも食らいついてはいるが、フィジカルが御堂さんの方が上って感じがする


それでも遂に御堂さんを躱して…ゴール前でシュートを放つ涼風さん……真剣さも相まって王子様はかっこよく見えた…


そのボールはちょうど顔の高さ…威力は女子高生とは思えない威力…正面ボール来たわけではないが反射的に正面に入ってしまった


「へぶ…!」


左手は咄嗟に出たけどほぼクリーンヒットで食らって圧倒的な威力をその顔面に受け…しゃがみ込む…いたい…


「望海!」


「げぇ!石田!」


駆け寄って来る未来…そしてなんか変な声を上げてる吉田先生…そして…一瞬唖然としていた涼風さんも焦ってよってきていた


「望海!大丈夫!?…あ…鼻血出てる!」


「ありがとうございます…私は大丈夫……」


食らったの顔面だったせいか若干頭がボケっとしてたが未来さんから言葉に返事する…ん…なにか違和感があった気がする…


「すまない…望海くん…」


「涼風さん気にしないでください…正面に入った私が悪いので…」


しょんぼりしてる王子様に…大丈夫だと笑いかける為に顔を上げる


「……望海くん…とても大丈夫の顔にみえないよ…」


「先生、望海保健室に連れていきますね」


「……そんなに酷い顔でした…?」


安心させる為に顔を上げたが…逆効果だったらしい…しょんぼり王子様はさらにしょんぼりしていた






――――――――――――――――



望海を保健室へ連れていく…鼻血はとりあえずハンカチを貸して抑えている


「未来さん…1人で大丈夫ですよ…?」


「ダメ…私、望海の大丈夫は信用してない」


渋々といった様子ながら手を繋がれて保健室へと向かう


そして保健室に到着するも先生は不在だった


「…いませんね…」


「とりあえず望海はそこに座って…冷やすもの用意するから」


私は望海にそう言って氷袋とティッシュを用意し…望海へ持っていき、そのまま赤くなってる鼻へ当てる


「ひゃ…ちべた…」


可愛い…じゃなかった


「ごめんね?冷たかった」


「…冷たいですけど…ちょうどいいです……未来さん…あの…自分で持てます…」


「…私が持つ」


「でも…」


「いいから…」


「…はい」


…距離が近いけど…離したくはないから耳が真っ赤な望海の要望を断る


「………」


「…………御堂さんと涼風さん2人とも凄かったですね」


沈黙耐えかねた望海そう話題を振るが…私少し面白くなかった…御堂さんはともかく涼風さんの話題が望海から出るのが多分面白くない


「ねえ…望海…」


「え……未来さん?」


私は話題に返事をせずに望海に近寄る…望海…私…わかったかもしれない…その時


「……あー…邪魔したな…今保健医がいないって聞いて手当しに来たんだが…必要なかったか………」


吉田先生が勢いよく扉を開けてきた…バツが悪そうに頭をポリポリとしている………そして距離を少しだけ望海から離す…良かったかもしれない…私今勢いに任せてとんでもないことをしようしていた…


「吉田先生…ありがとうございます……後お願いしてもいいでしょうか」


「……分かったから山本は次の授業準備しとけ…体育は終わりの時間だから戻らないでいいぞ」


「分かりました」


私は望海の顔を見ないで早足で逃げていった


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