第7話
ついに授業が始まった
私は丁寧に黒板に書かれていく字を板書していく…2度目の人生で…アドバンテージたっぷりかと思いきやそんなことは無い…男だった時の私は学習能力は中の下…平均より下ぐらいだった
そして…ここは進学校とまでは行かないまでも結構頭がいい方なのだ
しっかりと勉強しなくてはすぐに置いてけぼりを食らってしまう
だから真面目に受けなければいけない…
後ろから肩をトントンされる…無視だ無視…
私が無視を決め込むと今度は私の背中に文字を書き始める…
す…き…
なんなんだこの人…
堪らず振り返って問題の王子様に注意する
「涼風さん…ふざけた事やってないで授業を真面目に受けてください」
「私はふざけてないよ、望海くんへのアプローチさ…受け取ってくれるかな…?」
「…少なくとも授業を真面目に受けない人のアプローチは受け取りません…」
それを聞いてやれやれと大袈裟に肩を竦めて見せる涼風さん…こんな感じで授業中も休み時間も私をからかって遊んでくるのだ…
最初は顔の良さにドギマギしていたが…もう慣れた…というか慣れざるを得なかった…だって未来がすっごい怖い顔でみてくるんだもん…
前に向き直る…未来のオーラが黒くなっている気がするが気のせいだろう…と思っていたら
「…ひゃ!」
耳に息を吹きかけられて…思わず反応してしまう
ほんとになんなんだこの人!
周りの目が集まってしまう…未来がめちゃくちゃ涼風さんを睨んでる…怖い…
教師にどうしましたか?言われたので、すみませんなんでもないです…と言っておく
…授業が終わり休み時間に入る
「涼風さん…望海にちょっかいかけ過ぎ…望海が迷惑してるでしょ」
「はい、迷惑してますやめてください涼風さん」
すぐに未来が涼風さんへ注意する私は全力でそれを肯定して責め立てる…しかし
「…2人とも辛辣だね…まあそれもいいものだね…」
無敵か…こいつ…
未来がますます鬼の形相になっていく
「……すまない…だってしょうがないじゃないか…望海くんの反応が可愛くてついね…」
「望海の反応可愛いのは分かるけど…限度があるでしょ…」
「そこで緩めないで下さい未来さん、この人絶対反省してません」
結局有耶無耶になったところで次の授業が体育だった事を思い出す
今回が初回だったな…と思い、着替える為にトイレに行こうとする
しかし…
「…どこへ行くんだい望海くん一緒に着替えよう」
「お花摘みです…手を離してください」
「花を摘むのに荷物はいらないだろう?」
教室を脱出しようとする私を捕らえる手が1つ…
ほんとになんなんだこの人…!
「嫌がってるでしょ、辞めなさい」
今度は有無を言わさない未来のカットが入る
助かった…と思ってすぐにトイレへと逃げて着替えることに成功した
―――――――――――――
「同性なんだから…一緒に着替えるくらいいいだろうに…」
「望海は昔からああなの…後そうじゃなくてもあなたの近くでは絶対に着替えさせないから」
私は涼風彩奈を睨みつける
彼女の望海への態度はとても私の気に障る…しかも彼女はそれを分かってやっている節がある…
「過保護だね…」
「過保護で結構です」
彼女の隣で着替えながらそう答える
何故彼女の隣かというとこのクラスは入学式の時から私たち3人とそれを遠巻きに見てる人達みたいな構図になってしまったのだ
だから…本気で望海が嫌がっていること以外は放置気味になっている
彼女は積極的に人と関わろうとしないからこんなのでも近くにいた方がいいだろう
しかも、彼女がああいうアプローチしてるおかげで彼女以上に変なのも寄ってこないし
でも…
面白くない…モヤモヤが止まらない…この感情の答えをこの涼風さんは知っているのだろう
とてとてと着替え終わった望海が帰ってくる
「ジャージも似合っているね、望海くん」
「お世辞ありがとうございます、未来さん行きましょう」
望海がわたしに笑いかけてくれる…
「うん、こんな人放っておいて行こっか」
…まあ…今はいいか
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