第6話
結論から言えば…私気張る必要なんてまったくなかった…
来賓も保護者も女性しかいなかった…なんで?と思ったけど元々私のような子も通えるように作られたらしく当然の配慮らしかった…
そう…だからさっきのやり取りはただ私が勘違いして未来に慰めてもらって周りの人たちに私たちの仲を…見せつけただけなのだ…うう…恥ずかしい…
そして…ここは女子校…話は既に学年どころか学校全体に広がってしまったのです…
曰く初日からみんなの前で告白したとか、既に付き合っててイチャイチャしてただけとか噂の尾ひれはでかくなっていく…
「未来さん…ごめんなさい…」
「私もここまで話が大きくなるとは…思わなかった…」
入学式を終え、放課後クラスの人たちからの質問攻めに四苦八苦していた
「どっちから告白したの!」
とか
「いつから一緒なの!」
とか
「タチネコどっちなの!まあ、でもどう見ても石田さんがネコよね!そうよね!」
とか
元々人付き合いが苦手だった私は苦笑いしか出来ていなかったし、未来も質問攻めは苦手だったようで同じようにこっちを見て苦笑いしていた
そんな状況だったけど…
「はい、はーい!君たち2人共困ってるからね!私から事の全容を説明してあげよう!」
手を叩いて涼風さんがみんなを割って出てきた
全容を説明ってあの人知ってるわけではないですよね…と思ったけど割って入ることも出来ずに説明を聞くことにした
「まず、望海くんが訳あって過呼吸を起こしてしまってね、彼女の幼馴染みのである未来くんが落ち着かせる為に抱き締めて落ち着かせた…こうしてあげれば落ち着くって知っていての行動でね」
普通の説明です…安心した…と思っていたけど涼風さんがこっちに寄ってくるいやー身長も高くてやっぱりイケメン女子だな…なんて呑気に思っていたとが
「でも…1つ確認したいことがある…抱きしめるのは未来くんじゃなきゃダメかな…?」
そう言って私を抱き締めた……
頭が追いつかない…ちなみにわたしと彼女の身長差およそ20cmぐらいそうなると…目の前で視界を埋めてるところは…胸だった…
あ…凄く爽やかないい匂い…未来とはまた柔らかな感触…じゃない!じゃない!
バクバクと心臓が高鳴る…イケメン女子とはいえ女子その胸の感触が顔面に直に来るのは威力が高過ぎる!
辺りの女子からキャーキャー!と黄色い悲鳴が上がる…!なんで初日からこんな目に…!抜け出さなきゃ色々とヤバい…!
「涼風…さん…私の望海に何してるの…?」
「おっとっと本物の王子様がご機嫌ななめだね、はいどうぞ」
抱き締められてる状態から解放されてそのままどんと未来の方へ押される!いや力強い!あの細腕になんて力が…!
そんな感じでバランスを崩した私を未来が抱き止める
…あ…未来の匂いの方が安心して…好きかも…感触も…ええへ…未来…
じゃない!あわあわあわあわ
もっと真っ赤かになっていく私だが未来はそんな私に気付かずに…キッと涼風さんを睨みながらぎゅと抱き締めて離さない
「うーん…入る余地はなしかな…残念」
「残念じゃないです!望海?大丈夫だった」
「…未来さん…も…もう離して…限界…」
「あ、ごめんね!望海!」
パッと手を離しくれた未来…多分私は既に茹でダコ状態だ…
そして…結局この噂は未来と涼風さんが私の取り合いをしてる状態に切り替わってまた広がっていった
…私は…この湧き上がってしまった気持ちを寮生活でどう発散すればいいのか悩みに悩むことになった…
―――――――――――――――――
第一印象は好みの小さくて可愛いロングの女の子
後視線の感じからして彼女も恐らくそう…同性愛者の気があると踏んでアプローチをしてみた私だったが…
「……望海くんは何かが変なブレーキがあるね…」
私の抱擁も未来くんの抱擁も途中から本気で嫌がっていた
まるで自分は触れていけないと思っているように
同性愛者であることの後ろめたさか…と思ったけど何となく違うような気がして…
「でも…あれは勝てそうにないな…困った…困った…」
未来くんに抱き止められた時の望海くんの表情を思い出す…あれはどう見ても恋する乙女だったし…未来くんの方も嫉妬が物凄かった…でもあれは自覚無しらしい…ほんとに…?って思ったけど
「でもちゃんとくっつかないなら…私が貰ってしまおう…」
王子様はそう笑った
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