第5話

入学式の列の整理中

…私はとても不安なことがあった…

元男なのに…私は男性恐怖症…なのだ


たまたま1人で帰っていた所を暴漢に襲われて以来なんと…視界に入るだけで過呼吸になってしまう…まあこれがこの女子校に入る最終的な決め手だったのだ…ちなみに襲われたと言っても体を触られただけだ…

私はすぐに助けられた…未来に…なんとも情けないですけど…


なんで男性恐怖症で不安かと言うと…だって来賓やら保護者で男性が確実にいるだろうと思ったからだ…


想像してしまってから既に体が震える…呼吸が浅くなって…顔が青くなる…まずい…まずい…!


「…!…!」


誰か私を呼んでる気がする…けど耳に入らない…


「望海…!大丈夫…!大丈夫だから…」


「あっ…未来…」


気づいたら未来に抱きしめて撫でられていた…彼女の撫でる手が…匂いが…感触が…とても…落ち着く…


「大丈夫…大丈夫…」


「うん…うん…」


…落ち着く…………ッ!

なんてことをして貰ってるんだ私!


「あああ…み…未来さん…」


「どうしたの…望海…」


どこまでも優しい彼女…しかし私の頭はけたたましく警鐘を鳴らしている…!

さっきまで落ち着けた彼女の匂いが…感触が…全然落ち着けない…!


「…未来くん…離してあげた方がいいと思うよ…別の意味で倒れてしまいそうだよ…」


私の後ろから涼風さんが助け舟を出してくれたようだ…


「いや…でも…」


しかし過保護な未来はまだ離す気はなさそうだったが…


「ほんとにもう大丈夫ですから…!」


自力で脱出してその場に少ししゃがんで顔を隠す…危なかった…でも…色々と後で思い出しそう…ううう…


「未来くん、望海くんは何か事情あると見たけど…大事をとって保健室へは連れていかないのかい?君が熱い抱擁をするまで過呼吸で顔が真っ青だったし…」


「うん…そうした方がいいかな…望海立てる…?」


熱い抱擁とか言ってる涼風さんとその一切を無視した未来…


「……いや…大丈夫です…入学式には出ます…」


「でも…」


私をじっと見つめる未来…でも恥ずかしがって目を逸らしたりもせずに意志を伝えるために


「うん…わかった…でも望海…きっと視界とかに入ったらまただめでしょう…だから…」


私の様子にやれやれと言った様子で了承してくれた未来…入学式に無理してでも出る必要は確かにないと思う…けど両親も来てるし…石田望海だけど石田望海じゃない私が少しでも報いる為にはしっかりしなきゃ…そう思ってると未来が少しためていた言葉を続きを…


「…私だけを見ててね」


笑顔でそういう彼女が………かっこよくみえて…


「はい…」


反射的にそう答えてしまった…私は悪くない…悪くないですよね…


後ろの方でヒュ〜と少し茶化すような涼風さんの口笛と周りの女子からの視線が少し痛かった


―――――――――――――


望海が青くなって過呼吸になる…私はそれをみてしまったと思った…きっと入学式で男が来ると思ってそれを想像してしまったのだろうと男性恐怖症を知っていた私はそう思い至った


声を掛けるても…どんどんと呼吸の浅くなって震えて顔が青くなる望海が見てられなくてあの日と同じように抱きしめて撫でた


少しして青くなってたはずの顔が何故か真っ赤だったけど…落ち着いたようだった

こうなら休んで欲しいなそう思ったけど…どうやら彼女は入学式には出たいようだった…だから


「私だけを見ててね」


そう本心からの言葉を告げる

私だけ見れてばきっと彼女も落ち着ける…告白っぽくなって言ってから恥ずかしくなったし、涼風さんは茶化してるけど…大丈夫!間違えてない!


だっていっつも思ってるし…それはそれでどうなんだろうと思ったけどこう思うきっかけを忘れられないあの日を思い出す…



―――――――――――


あの日一緒に望海と帰らなかった日…彼女は暴漢に襲われた…声すらあげることも出来ずに…それを見た時私は頭にかなり血が上った


「何してんだァァァァ!」


自分でも聞いた事のないの声で絶叫しながら思い切り男の急所を蹴り上げ、それで倒れたので顔面も思い切り蹴った…かなり悶えていたが無視して


…震えている縮こまっていた彼女へ駆け寄りそして抱きしめる


「ごめん…ごめんね…望海…!」


「未来…!未来!未来!」


私がそういうと震えながら望海は私の名前を私を強く抱きしめ返してくれた


「てめぇ!許さなねぇぞ!」


「ひっ…!」


男が立ち上がり忌々しげにこちらを見てそう吐き捨てると腕の中で震えて更に私を強く抱きしめる望海

まずいと思ったとその時


「こっち!こっちです!!」


私の絶叫を聞いた誰かがどうやら現場を確認して警察を呼んでくれたようだった…


そうして事件は解決…ではなく彼女は周りの男に酷く怯えて私の腕から離れられなくなっていた

しょうがなかったので一緒に女医の先生がいるところに連れてかれ…彼女はPTSDで男性恐怖症になったと聞かされた…

その日から余計に私は彼女に過保護になった


その日ことを彼女あんまり覚えていないようだったけど…誓ったのだ…私はこの子を守るのだと…

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