第40話 共鳴

 俺は、建物の外に出て、海を見上げた。ドーム上の膜の上の海がキラキラと光っていた。村の中心には、トゲトゲしたサザエのような形の魔石が光っている。あの魔石が海中のドームを作り出しているんだろう。その美しい光景に心が癒される感じがした。

 すっと、ユモが俺のとなりにやってきた。


「綺麗でしょ?夜光る魚たちが多いんだ、この海域は。ねぇ、部屋に戻ったらコフィがいなくて、驚いたわ」


 俺は、なんとなくそわそわして、ユモの顔を見ることができない。


「ごめん、勝手に外に出てしまった」


 心配そうな声でユモが俺に聞いた。


「コフィ、何か心に重いことでもあるの?」


 俺は、やっとユモの顔を見た。ユモの目がキラキラと輝いてドキドキする。


「なぜそんなことを聞くんだ?」


 ユモが俺の目を優しく見つめて言った。


「コフィの目が、何か悲しげに見えるから」


 ユモの優しさと可愛らしさに、なんだか心が無防備になってしまう。なんて答えたら、いいんだろう。

 俺は、自分の声でないみたいに、勝手に言葉をこぼしていく。


「最近、亡くなった両親のことをよく考えるようになったんだ。今までは無理にでも忘れようとしてたのに」


 ネモの声が震えだした。


「そうだったのね...私も、両親を亡くしているの。それを忘れるようにしているけど、一度考えはじめると....」


 あぁ、しまった。話すことを間違えてしまった。

 どうしよう。共鳴するように、俺も心が震える。

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