第15話 電気
俺とスピカは、リオ兄と暮らす家まで歩いた。家といっても、家があった場所だけど。改めて、村が瓦礫の山になったことに胸が痛む。
俺の家は、思ったよりも被害がすくなくて、家の形をなんとか保っていた。
リオ兄が明るく灯された家の中で何か機械をいじっていた。リオ兄の手の動きは、驚くほど早くて正確だった。
「コフィ、おかえり。ちょうどよかった。家中むちゃくちゃになったおかげで、仕舞い込んでいた昔のビデオ映像が出てきたんだよ。
プロジェクターもあるから、みんなで一緒にみよう。スピカ、バオウとサラも呼んできて」
リオ兄は、異星人だから電気を自由に扱える。
地球の生き物が使う魔法は、大きく分けて熱エネルギー(炎、氷)、重力、生物(治癒、身体強化)の3つだ。
残念ながら、俺は、魔法は一切使えない。唯一、水耐性だけ誰にも負けない特性だ。水さえあれば落ちても無傷だし、水の中でも溺れ死ぬことはない。熱耐性や重力操作無効の特性を持つ人もいる。
古代文明の機械は、ほとんどが電気を必要としている。奇跡的に壊れていなくても、今となってはガラクタでしかない。電気は、インフラを失った人類にとって、縁遠いものになっていた。今では、電気を使うことができる少数の異星人の収集物になっている。
スピカが使っていたビデオもリオ兄から借りたものだった。
リオ兄だけがガラクタの仕組みを理解して動かしたり、充電することができる。いつの頃からか、用途不明のガラクタの山ができていた。
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