第4話 責任

「リオ兄、ごめんなさい。俺は、グインにやりすぎてしまって....でも....」

 マツモト城の最上階には、リオ兄、ゲルンさん、パバリ師匠、スピカが集まっていた。

 リオ兄がまっすぐに俺の目をみて、やはり厳しい表情でゆっくりと口を開いた。リオ兄の声が俺のお腹に、重くずしりと響く。


「コフィ、力の使い方を学ぶことだよ。10歳でも、ちゃんと責任を取らなくては。でも、その話は、もう済んだ。ゲルンさんにちゃんと謝りなさい」


「どうして、みんな俺ばかり責めるの?3人で襲ってきたのは、グインの方じゃないか。溺れさせたのは悪かったけど、それだって...」


リオ兄は、さっきと違い優しい目で俺の目をしっかり見ながら言った。


「僕の育てた勇敢なコフィは、あの状況で完全に勝利して、グイン達をやっつけたように見えたけど、違うのかい?」


 俺は、リオ兄が俺の力を認めてくれているのが、やっとわかって、涙が出てきた。そして、ゲルンさんに深々と頭を下げて謝った。


「グインを傷つけてしまって、ごめんなさい」


 ゲルンさんは、リオ兄とのやりとりを確認しながら、心から納得したようだった。

 俺は...いや、もういい。

そして、尊敬を集める村のリーダーとして、堂々と言った。


「こちらこそ、息子が迷惑をかけたようだね。スピカの撮ったビデオを見たよ。3人でコフィ1人を屋上に追い込んだのは、うちの息子だったみたいだ。あの屋上がコフィのお気に入りの場所だったとしてもね。グインをちゃんと叱っておくよ。

 それより、創世のパバリ様、遠いメキシコ村の視察から、ご無事でのお戻りなによりです。

 そして、巨人と人間の子、スピカよ。森の賢人、一つ目巨人からの伝言を預かっているそうだね?先に教えておくれ」


 スピカが慎重に口を開き、ゲルンさんに丁寧な言葉で報告した。


「ご報告いたします。森の一つ目巨人は、何か大きな危険を警告しています。今は、私の父、バオウと共に、森の動物たちやモンスターをできるだけ遠くへ逃がしています。危険の正体は、まだわかりませんが」


 パバリ師匠が辛そうに話す。


「ふむ。やはり、ここにも危険が迫るか。わしも危険を伝えるために、予定より早くここに戻ったのじゃ。

 悪魔アスタロトが復活した噂は本当じゃった。1か月前、冒険者ザイドが封印されていたアスタロトを海底から引き上げて、解放したのじゃ。

 アスタロトは、ザイドを腹心にして、瞬く間に悪の教団を作り魔王を名乗った。そして、浮遊する魔王城に悪人と邪悪なモンスターを集め、力を与え、人類から魔石を奪っている。

 人類最大の集落、メキシコ村は、アスタロトと邪悪なモンスターの来襲を受けて、3日前、全て滅んだ」


 その場にいた全員が息を呑む。

 スピカが驚きながら言った。


「でもゲルンさん、メキシコ村には、マツモト村より、もっと強力なバリアがあったはずですよね?確か世界最強の魔石によるバリアだったはず....」

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