どうか会えますように
八月六日
第1話
あなたは今日も眠りにつく。
冷たい草に潜り、小さな段ボールを、頭の下に敷く。
草が体に触れると、少しチクチクとした。
あなたは横になるとすぐに目を閉じる。
今日は空が光っていないからだ。
空が光っていないなら、目を開けていても閉じていても、あまり変わらないからだ。
あなたは深い眠りにつく。
久しぶりに、夢を見る。
あなたは、誰かの手を握っている。
彼(あるいは彼女)の顔はよく見えない。
ずっと手を握っていたかったが、唐突に引きはがされた。
あなたはもう一度手を握ろうとしたが、手が届くことはない。
あなたは光に包まれていく。
最後に、何か声が聴こえた。。
目を開けると、光が目に飛び込んできた。
あなたは思わず目を閉じる。
ああ良かった、と聞こえた。
もう抜け出さないでね。と彼は言う。
あたりを見渡すと、見知った顔が数人並んでいた。
こんな遅い時間に、あなたを探していたらしい。
次はどうやって逃げようか、とあなたは考える。
だが眠くなったあなたは、もう一度目を閉じた。
次に目を開けとき、どうか死んでいますようにと願いを込めて。
どうか会えますように 八月六日 @ayatyou
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