第10話 お買い物に行くと……!
「えーと、そうめんは買った。麺つゆあったっけ? 多分無いな。あれはたしかこの辺りに……」
スーパーで買い物をする。
きっと今頃ナギは来週の配信の準備をしているだろう。というかそうでないと困る。
「あ、フウカ!」
麺つゆは見つからないが、クラスメイトは見つけた。麺つゆ忘れないようにしないと。
「お、ルル! あれ、今日はナギちゃんも一緒じゃないの?」
「ナギは今来週の配信準備してるみたい。一昨日急にダンジョン配信をやってみたいって言い出してね」
彼女はそこそこ人気のダンジョン配信者。両親はおらず、中学生ゆえバイトもできないので配信で生計を立てている。
彼女に相談に乗ってもらうのもアリかもしれない。
「ねえフウカ。今日うちに夕飯食べに来ない? ちょっと相談乗ってほしくてさ。明日渡そうと思ってたダンジョンのトマトもあるし」
「え、いいの?」
節約生活を送る彼女はやはりタダ飯で釣れた。二人ではそうめんが余ってしまうのでちょうど良い。ナギも明日フウカのところに取引に行くとかなんとか言ってたからきっと歓迎してくれる。
「ちょっとナギに電話するね」
フウカに断りを入れてナギに連絡をとる。
「うん。そう。──わかった。すぐ帰るから。はーい」
「ナギちゃんなんて言ってた?」
「OKだって。どうせなら泊まりできてほしいって」
「わかった。じゃあ荷物取りに行ったほうがいいかな」
「お願い。またスーパーの前で待ち合わせで」
「はーい」
こうして急遽お泊まりパーティーが決まったのでチョコとグミとラムネの他にポテチやポップコーンなんかも買い足して、もちもちのパンも買い込んで。
ふと思い立って牛乳と卵と食パンを追加する。バニラアイスとハチミツは家にあるはずだ。あ、ヨーグルトを忘れていた。
最後に追加のそうめんをカゴに入れてお会計。
外に出るとお泊まりセットを持ったフウカが待っていた。
「お待たせ」
「夕飯食べさせてもらえるならいくらでも待つさ」
今日は賑やかな夕食になりそうだとワクワクしながら自宅へ戻る。
「それにしてもナギちゃんが私に泊まりがけできて欲しいとは。どんな要求を課してくるのやら」
「ナギは言い出したら止まらないから、よろしくね」
「お食事分は働きます」
フウカは本当に明るくて愉快な人だ。どんなに重い事情があってもすぐに立ち直るタフさ。
こういうところが彼女の人気の秘訣だったりする。
「明日の朝ごはんはフレンチトーストにしようと思ってるんだ」
「マジ! それはなんと豪華な」
「ナギの要望が大変そうだからね」
買い物前の編集作業を思い出して、ため息が出る。
帰ったら宣伝の予約しなくっちゃ。
帰宅後、めんつゆを買い忘れたことに気がつき宣伝どころでなくなる、なんて私はまだ知らなかった。
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