第9話 投稿の準備って地味に面倒!

 私は現在、アーカイブの切り抜きの制作に追われている。


「切り抜き動画の投稿設定をしてね!」


 帰宅後、ゆっくり休もうと思っていた私に向かって放たれた指令。

 ナギは家に着くとすぐに手洗いうがいを済ませ、配信動画の切り抜きを作り始めた。


 切り抜き動画は配信のアーカイブから面白いところを抜き出したもの。

 だが配信時とは動画の縦横の比率が違うのでそこを調節したり、字幕を入れ直したり、タイトルをつけたりとなかなかに大変だ。

 私はその動画の投稿設定を頼まれた。


「ええっと? 地味に設定することが多いな。これはこのままで良いのかな?」


 地味のこの投稿設定が大変なのだ。しかも量がある。疲れた体に鞭打って、何とか作業を進める。




──投稿設定──

タイトル:【切り抜き動画】彼女のポトフのためなら頑張れる!

説明文:召使いの彼女が頑張ったら大好物のポトフを作ってくれるって言うから頑張ったら多すぎると笑われちゃいました。でもちゃんと全部食べました。By天才探索者ナギ

対象年齢:全年齢

タグ:#ダンジョン配信 #野菜系ダンジョン #ガールズラブ #百合 #ノルマ達成者 #切り抜き動画

予約時間 7:30




 特にこのタグをつけるのが大変だ。なにしろ書くことが多い。

 それでもナギはもっと頑張っている。ならば私がサボっていい訳がない。

 命の恩人である彼女を助けられるよう、もっと頑張らなくては。


「次の動画できた。予約よろしく! 後できたら宣伝の予約も入れといて」


 ナギは楽しそうに作業をしている。

 私はこの笑顔が大好きだ。この笑顔を見ると元気が出る。


「わかった。予約は後でも良い? 投稿終わったら買い物行って、夕飯の準備したいから」

「りょーかい! 夜ごはんはそうめんが良い」

「トマトも食べてくださいね」

「それは頑張る」


 可愛らしい返事だ。これを聞けばこの作業も、夕飯を作るのも頑張れてしまう。

 キリの良いところまで頑張って、買い物に行こう。

 そうそう、夜食のお菓子も買いにいかなければ。

 もうほとんど残っていなかった。チョコとグミとラムネが夜の作業のお供だ。

 確かグミに新しい味が出ていたからそれも買おう。


 明日の朝ごはんも買わなければ。

 おもちみたいなチーズパンが復活していたからそれにしよう。

 ナギのお気に入りなので今のうちにいくつか買いだめしておいた方がいいだろうな。


 今日の買い物の計画を立てているとあっという間に12本の切り抜きの準備が整った。


「ナギ、ちょっと買い物に行っていくるね」

「はーい。行ってらっしゃい!」


 ナギの笑顔を見るために買い物も頑張ります。

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