第2話 撮影準備だよ!
翌日、私はさっそくナギとともに撮影機器を買いに来ていた。
「可愛いルルを綺麗に映すんだ。できるだけ性能の良いものを買うぞ!」
「可愛くて強いナギを追いかけられるように、ね」
最強の彼女は週末ダンジョンで荒稼ぎをすることで大金を得ていた。
だから最高の設備を持って配信に挑むらしい。
「もうちょっと画質良いのない? お金はいくらかかっても良いから」
「もうちょっと速く動くやつをお願い。あ、オプションの追従プログラムはいらない。自分で組むから」
彼女の手にかかれば美しい追従プログラムが30分もかからずに作れる。
プロの人たちも涙目だ。
「ありがとうございました」
私とナギは高性能ドローンを三台購入し、帰宅した。今は11時。帰ったらお昼ごはんの時間だ。
彼女は撮影用のドローンと配信サイト以外は基本的に自作でいくらしい。
配信画面も、撮影プログラムも、もちろん宣伝も。全て自作。
しかも明日から早速配信開始したいから今日一日で全てを作るらしい。
もちろん、私も手伝う。
だが、その前に。
「お昼ご飯何食べたい?」
「トマトスープ」
「わかった」
と言うわけで彼女が買ってきたドローンを開封している間にお昼ごはんの準備をします。
いや、本来の私の仕事はこれなのだけれど、同い年に雇われているせいで、そして同僚がいないせいで、ナギの召使いということを忘れてしまう。
とにかく私はナギの満足いく料理を作らなければならない。
まあ、魔法系ダンジョンから出てきた魔法道具を使うから簡単なのだけれど。
とりあえず、トマトを調理用の包丁で切る。鍋に入れる。
市販のスープの素を入れて煮る。
思うままに塩コショウを振り入れる。
ただのスープである。
だが私にはとある秘密道具がある。
【想いのオボン】だ。
これはナギが持ってきてくれたものなのだが素晴らしい機能が付いている。
だからレア度が5段階中最下位の☆1なのに売らずに使っている。
── ステータス──
名前:想いのオボン
レア度:☆
レベル:15
機能:料理に想いを味付けすることができる。
「美味しくなれ」と思えば美味しく、「不味くして」と思えば不味くなる魔法の箱だ。
(美味しくなーれ!)
完成したスープを鍋ごとオボンにのせ、その箱を持ったまま心の中で唱える。
するとぼんやりと桃色に発光した。これは甘みが強くなった合図だ。
多分トマトの甘みが強くなった。
食べてみないとわからないけれど。
スプーンで味見する。これは多分成功している。
お皿に盛り付けて、テーブルに運ぶ。スプーンとお水も運んだら完了だ。
「ナギ、お昼できたよ!」
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