彼女が私とガールズラブを売りにダンジョン配信したいらしい
橘スミレ
第1話 ナギの思いつき!
「あたい、ダンジョン配信ってやつをやってみたい!」
翌日からの休日に胸を躍らせる金曜日の夕飯時。
私が冷製パスタを食べていると、彼女が突然言い出した。
まただ。自由奔放な彼女はいつも突然何かを始める。
「今度は何があったの?」
「あたいは、流行に乗りたいのだよ!」
確かに彼女は女子中学生。流行は気になる。
私も流行り物はチェックするタイプだ。
「でもSNSでバズってる料理よりもルルが作るの方が美味しいし、どんな景色よりもルルが綺麗だから面白くないの」
ナチュラルにすごく褒められた。
多分これは無意識でやっているのだろう。
可愛いけれど、タチがわるい。
「それでダンジョン配信を?」
「そう! この天才ダンジョン探索者ナギ様にぴったりな流行だと思わないかい?」
なるほど。
確かにナギは中学生ゆえダンジョンでの出現率が低く、世間に名前こそ知られていない。
だが探索者の中でも数少ない「ノルマ破り」なのである。
突如世界中に発生したダンジョン。
そこからは無限の資源が取れるため、各国が厳重に管理している。
基本的に資源の持ち帰りは禁止で全て換金される。
だが、超ハイレベルなノルマを達成すれば、許可されるのだ。
大抵の探検者は高すぎてノルマを達成できない。
だがナギはそんなノルマの数倍もの資源を、わずか三十分で獲得した化け物級の探索者。
彼女ならきっと上手くいくだろう。
「やってみたら?」
「何言ってるの? ルルと二人でガールズラブを売りにダンジョン配信するんだよ!」
「え、なんで私も?」
「ガールズラブで売るため」
「普通にしたら……」
「インパクトない。却下」
自由奔放でちょっと頑固な彼女。
これは、私も参加確定らしい。
明日は撮影器具と一緒に仮面も買いに行こうと思った。
だがナギには全てお見通し。
「あ、顔隠しちゃだめよ。ガールズラブで売るにはルルの可愛さが必要なの!」
彼女に必要とされるのは心の底から嬉しいが、顔出しは怖い。
今の時代、顔出しして何があるかわからない。
「大丈夫。あたいが上手くやるさ。この天才にできぬことなどない」
確かに彼女は勉学・ダンジョン探索以外にも体操・歌・イラスト・柔道・プログラムの作成・電子工作などと思いつくままに色々なことを経験し、ある程度の成績を残していた。
ナギの辞書に不可能の文字は無いだろう。
それに彼女がやると言い出したら成功するまで終わらない。
ついでに言うと一応は断れる立場でもない。
「じゃあ、やりますか」
こうして、私のダンジョン配信生活が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます