第6話

 


 人間の感情と言うのは、万国共通であるらしい。


「もうこっちに来ていたのか。呼びに行ったのに」


 到着したエドワードが、壁に沿って控えるメイドたちに、不思議そうに目をやる。


「少しは落ち着いたかい?」


「ええ、とても。貴方のお陰様で皆様、とっても良くしてくださっているから」


 間もなくして、国王、王后両陛下が入室する。


「なんだ、二人とももう揃っていたのか。さあ、掛けなさい。仲が良いのは結構だが、並んで立っていることはない」


 両陛下は、一目見ただけで血のつながりが分かるほど、エドワードとよく似ていた。髪の色と瞳の色は同じ漆黒で、顔立ちも非常によく似ている。


 しかし、醸し出す雰囲気は全く違っていた。


 王は堂々とした威厳があり、口元に刻まれた深い笑いじわが印象的だ。しかし、その割にどこか親しみの湧く風貌をしている。


「ご挨拶が遅れました。エミリア・アルデンと申します。この度はエドワード殿下のご厚意により両陛下と拝謁の機会を賜りまして、大変光栄に存じます」


 エミリアは前に進み出て、深々と頭を下げた。


「堅苦しいのは抜きでと思ったが、后の紹介がまだだったな。妻のソーニャだ」


「エミリアさん、はじめまして。お会いできて嬉しいわ」


 ソーニャは少し考えるように間を置き、やがて微笑んだ。


「ご挨拶に手間取らせては申し訳ないわ。どうぞ、お掛けになって」


 ソーニャは上品で柔らかな口調ながら、威厳にも溢れていた。


 女性の割には高身長の持ち主で、国王と異なり、瞳にはやや苛烈な色を宿している。


「失礼致します」


 今度はエドワードがエスコートしてくれる。エミリアは勧められるまま、着座した。


 すると、ソーニャの目から警戒の光が消えた。


「エドワードが突然女性を連れて来たので、どのような方か気にしておりましたの。でも、安心しました」

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