第2話 開封
アンドロイドを買った翌日の休み、YouTubeで情報収集していく中で、分かったことが沢山ある。
動きはほぼ人間であることと、お風呂に入れると低確率で故障すること、話し掛け機能の存在や、転けても自ら立ち上がることが出来ることに、定期的な充電が必要だということと、充電中は眠ってるようで可愛いこと。
そして、WiFiに接続すると定期的にアップデートしてくれることと、スマホと連携する事で専用アプリを獲得できる……など、どれも驚かされるものばかりだった。
こんなものを見てしまっては、よりあの子の到着が楽しみになる。
まあ、八万円で買ったという事もあるから、過度な期待はしないけど。
しかし、私の中でアンドロイドは、チャットAIの延長線に、リアルな皮が出来たロボットくらいの認識だった。それが、まさかここまでの進化を遂げていようとは。
この前、店で見かけたアンドロイドで抱いた先入観は、容姿と動きがかなりリアル、けどどうせ、それはこの場だけで、他の場所に持っていったら、たちまちペッパーくんと大差なかったんだって思わされる。そんな冷めたものだった。
勿論、昨日買ったアンドロイドにも、そのような先入観を抱いていた。まあ、目の保養として一生大切にするつもりで買ったから、それでも良いのだけど。
そんなことを思っていた時に見たのが、このYouTube。 私は愕然とした。
いつの間にか、凄い進んでると。
まさに、コペルニクス的転回と呼べる衝撃が、頭を駆け、私の景色をより鮮やかなものへと更新したようだ。
こうなれば、今のうちに、準備を済ませておくか!
まずは、今のうちにエレキギター投稿しとくか。
動画を投稿し終え、昼、夜ご飯も済ませて万全な準備が終わった、八時半頃。
玄関のチャイムが鳴った。
インターホンを確認すると大きな箱を持った男性が佇んでいる。
どうやら、アンドロイドが届いたようだ。
遂に来たか!と、軽快なステップで、玄関の元へ行くと、ドアを開け、廊下のスタート地点まで運ばれた荷物を受け取った。
そして、「こんな重いものを、お疲れ様です」と一言、トーン高めな挨拶を投げると、アンドロイドを部屋へと招待する。
背中や肩、突っ張りで押して行き、部屋の入り口の段差で、つい盛大に倒してしまったが、何とか、中まで運ぶことが出来た。
壊れてないかと不安になりながら、ダンボール箱を固定する紐やテープをカッター、ハサミで切り、開封する。
ついにこの時が……。
その開封されたダンボールの中に、ハッポースチロールに包まれた愛らしいアンドロイドが、眠るように目を閉し、手を上品に前で組んでいた。
アマゾンの購入ページで見た画像そのもの、いや、もっと綺麗に思えるその彼女の風采は神々しく、私に感動を与えるのと同時に、触れることを烏滸がましいことだと思わせた。
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