受け入れる時
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修二も疲労の顔を見せる。
それでも衰えることの無い性欲。
里美の一言は一気に修二をその気にさせた。◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
翌日、仕事を終えた修二は疲れた表情で面会に現れた。
いつもと変わらない子ども達の世話に、日々多忙な勤務。
また色々と感じているのであろう子どもたちの癇癪も酷く、昨日の出来事を引きずったまま修二は今日を迎えていた。
「昨日は悪かったな、怖い思いさせて。」
「大丈夫よ。今日ね、昼間診察があって昨日の事、話した。」
「あ、あぁ…で、何だって?」
「私ね、昨日の事があって良かったみたい。何かが分かったというか、腑に落ちた部分があって凄くスッキリしたの。先生がね、急に私の表情が変わったってビックリしてた。」
修二は昨日の行動がより悪い方へ変わってしまうのではないかと気になっていたが、寧ろ良い方へ向かっていることに驚いた。
「もう少しでプログラムも終わるから退院を視野にいれましょうかって。」
修二は退院することに不安を抱いたが、里美の表情や目つきは確かに変わり、ハッキリとした顔つきへと変わっていた。
…
「それからさ私、避妊リングを入れようかなって思うの。」
「この間のやつだよな。桃瀬がそう言うなら、俺も良いと思う。」
「私たちたぶん相性が良いんだろうね、出来やすいんだと思うんだ。修二くんとはこれからも、そういう…夫婦としての行為も続けたいし仲良くしたい。
今は自分の身体と子ども達を一番に考えていきたいと思う。」
「桃瀬に負担はないんだよな?」
「生理も軽くなるみたいだし、育児の煩わしさもなくなるしいいんじゃないかな。」
「俺がちゃんとコンドーム着けて避妊すればいいんだろうけど。意思が弱くてみっともないよな。」
修二は自分のしてきた行為に対し、ここに来て初めて後悔と恥を感じた。
里美の現状を見れば、避妊できるのならば賛成だし反対する理由もなかった。
いずれは再び授かりたい命。
家族の状況が再び良く整うことを目指し、その時を待ち侘びる事も悪くないだろう。
「念の為確認するけど、子どもはまた望めば作れるんだよな。」
「その避妊具を抜けばね。」
「桃瀬はこの間の流産の事、自分を責めるなよ。全部俺が悪いのは分かってるから。」
どう考えてもあの日に授かっていたのだ。
数ヶ月ぶりに里美を抱いたあの日、たった一日の行為でこうなるとは想像していなかった。
ただ、その日は避妊具を着けぬまま行為を終えた唯一の日だったのだから。
「修二くんが悪いとかじゃ無い。二人の責任だよ。それにあの日は…」
きっとこれからも性については真面目に向き合わないといけないだろう。
「また元気になったらしてくれる?こんな私、もう欲情しない?」
「そんな事ないから。大丈夫だ。」
「退院したらいっぱい抱いてね。いっぱい繋がって満たされたいの。」
修二は驚いたが、今の里美だって一人の人間なのだ。
そういう欲もあって当然だろう。
「あ…え、分かった。今もしたくなるの…か?」
「なるよ。一人はすごく寂しいけど、いつも修二くんを思ってる。けど本当は出来たらいいのに…」
こんな精神状態でも欲は衰えないのか。
そして発散出来ないもどかしさを抱いているのは自分だけでは無いのだと修二は知った。
いつもの里美に戻って、元の愛らしく快活な彼女の姿でもう一度抱きたいと願った。
修二は里美の手を握り、髪を撫でながらそっと口付けた。
このままでは修二も抑えきれない。
里美が更に求めてくれば、きっと応えてしまうだろう。
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