熱発
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入院から一ヶ月、里美は発熱と腹痛により病室のベッドで寝込んでいた。
後日利佳子は久しぶりの再会を果たす。
すると里美はとあることを打ち明けた。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
入院から一ヶ月が経った頃。
「ご主人、里美さん昨晩から微熱があって吐き気を訴えていまして。今は特に服薬などはせずに経過を見ている状態です。」
「そうですか、色々とありがとうございます。様子見て来ますね。」
今日は子ども達のお迎え前に一人で見舞いにやって来た修二。
里美の状況を気に掛けた。
「よっ、熱があるって?どうした?」
「修二く…」
里美はベッドの上で横になり、布団を肩深くまで掛け身体を抱え込んでいた。
「気持ち悪いの…あと熱もある。」
「らしいな。また気分落ちてる?しばらく調子良さそうだったのにな。」
入院してからというもの、治療プログラムを順調にこなし本人の体調もかなり良さそうに見えていた。
なのにここに来ての体調不良。
見る限り、恐らく精神的なものというより風邪に近いように感じる。
「昼ごはんは食えたのか?」
「あんまりかな。お味噌汁とお野菜だけ少し。」
「熱、計ってみ?」
修二が体温計を手渡し計測すると、39度も手前まで上がっていた。
「おい、これは微熱じゃないだろ。」
修二は看護師を呼ぶ。
「賀城さーん、ちょっと熱高そうね。先生に解熱剤出して貰えるようにするから待っててね。冷たいのも用意するわ。」
熱った顔に荒い呼吸が高熱の辛さを物語る。
里美の顔に掛かった髪を避けてやり、手が首元に触れるとその身体の熱を感じた。
「生理も始まっちゃって最悪なタイミングよ。しかも今回量が多くってお腹痛いし。」
修二はこの時、何の異変も感じず『いつもの生理』程度に捉えていたが、後に納得のいく事態に陥るのだった。
…
冷たい氷枕にほっとした表情を見せ、すっと眠りにつく。
「また明日な。」
少しだけでも顔を見られて良かったと思いつつ、子ども達も連れて来たいが暫くはそれを見送る事にした。
病室を出ると、とある人物からメッセージが入っていた。
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お疲れ様。里美の調子はどうかしら?
可能であれば一度お見舞いに行きたいと思っています。
都合の良い日を教えて貰えれば、その時間に訪ねます。
進藤利佳子
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「利佳ちゃん…」
この知らせは、きっと里美も喜ぶだろう。
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お疲れ。
連絡ありがとう。桃瀬も喜ぶよ。
俺も基本的に毎日顔を出すようにしてるから、仕事の日だと夜かな。
明後日、その次だと16日が休みなので14時の面会時間から俺も行かれると思う。
ただ今日、熱が高かったから明後日だと良くなってもまだ微妙かも。
————————————
修二はその場で返信すると、早めに子ども達の迎えへと車を走らせた。
後日、里美の病室には修二、利佳子、里美の三人が揃っていた。
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